第102話 ソウヤ(笑)
(そいえば、エントリーした時に番号札みたいのを渡された俺たちが最後にエントリーしたはずなのだが16番と書かれていた。こんな大掛かりなイベントなのに対して人数が少ないような気がするのだが。)
ソウヤは自分のもらった番号札とにらめっこしながら考え事をしていた。そんな考え事をしているとリングのほうから太鼓の音がきこえはじめた。
「そろそろ、第一試合目が始まるね。」
「そうじゃな、早く戦いたいな!」
「まちきれないよ~」
うちの交戦的な子たちが体をうずうずさせて自分の番になるのを待っている。そういえば、試合の順番は神父様が箱の中から番号の書かれた紙を二枚抜き取りその番号の人たちが戦う。そんな感じ。
ソウヤは観客席のほうを眺めていた。そこで気づいたことがある。明らかに女性の数が多いのである。だいぶ前に、闘技場で戦った時の観客は男性のほうが多かった。こんな暑苦しいものに女性が見に来ると言ったらやつみたいにアイドル的存在がこのイベントに出場しているほかあんまり考えられない。
「あ、一番のほうが勝ったよ。」
「あんまりおもしろくないの」
「たたかいた~い」
なんだか物足りなそうに交戦的な子たちがぶーぶー文句を言っている。そんな子たちと反対にガルはソウヤの膝の上で静かに相手の分析をしているのかと思いきや頬杖をして寝ているだけだった。お昼寝の時間かな?
ソウヤはそんな子たちを眺めていると隣からちょんちょんとソウヤの肩をエルンが叩いてきた。
「ソウヤ」
「どうしたエルン?」
エルンは小声でソウヤに話しかけた。
「さっき、エントリーシートに名前を書いたときに3番目の名前が…」
エルンの声が女性たちの大歓声にかき消されてしまった。しかしソウヤはエルンが何を言おうとしていたのか大体わかった。
「第二試合!エントリーナンバー3!なんとこの大会史上最高の大物冒険者。多くの街と村を救い出しあの魔王ですら手懐けたともいわれているあの勇者にも匹敵するのではないかといわれている最強の冒険者~!」
その掛け声とともにある人とほとんど同じような装備を纏っている男が出てきた。
「その名も~クロイ~ソウヤ~!」
「「「「「「きゃぁ~~!!!!!」」」」」」
観客席にいた女性たちが黄色い歓声が上がる。それにこたえるようにソウヤ(笑)が手を振るとさらに黄色い歓声が大きくなる。ソウヤはわかっていたけど思わず吹いてしまった。それに対してヴィルナたちは口をぽかんと開けていたしかも目が白くなっている。ガルはまだソウヤの膝の上で寝ていた。
「その対する相手!勝てば、歴史にすら名を残すかもしれない!エントリーナンバー16!おっと、こいつは何という偶然だ!こちらの名前もクロイソウヤだ!」
「「「「「「ぶぅ~~~!!!」」」」」
ソウヤは膝の上にいたガルを椅子に座らせリングの上に上がった。
「俺が本物なのにひどい扱いだな。」
ソウヤは小声でつぶやいた。さすがのソウヤでもこの扱いは傷ついたようで落ち込んでいた。ちなみに、ソウヤ大好きヴィルナたちは何かに化けそうなほど殺気を漏らしていた。
するとリングにいたソウヤ(笑)が話しかけてきた。
「やぁ、この俺にあこがれて嘘ついちゃったのかな?やめときなよ女の子たちを敵にまわしちゃうぜ。」
うえぇ。なんだか自分の名前だけにそういうことを言われると吐きそうになる。というか多分今言ったことは、ソウヤ(笑)が自分で思っていることなんだろう。
「まぁ、手加減してあげるからどこからでもかかってきなさい。」
ソウヤはレビールを鞘から抜いてソウヤ(笑)に向けた。
「未来視をしてやろう。本物を馬鹿にした罪は重いからな、数秒がお前は俺に膝まづいている。」
「何を言って・・・!」
ソウヤ(笑)が言葉を言おうとした瞬間、膝の裏に強い衝撃を喰い膝カックンの要領で、ソウヤ(笑)は膝を地面につけていた。
「なぁっ!」
ソウヤ(笑)は、何が起きたかは全く分かっていない。何せソウヤ(笑)の視界からソウヤの姿はいなくなっていないはずなんだが、攻撃を喰らった。しかし、ヴィルナたちの目ではソウヤが超高速で動きソウヤ(笑)の膝の裏を蹴り飛ばしたのが見えていた。
「何をした?」
「何をしたかわからないようだったら、まだまだだな俺の名前を言うのはやめてくれよな。」
「何を言ってるんだ貴様!」
どうやら、ソウヤ(笑)のことを怒らしてしまったようで剣を鞘から抜き取りソウヤに切りかかってくるがソウヤはレビールで弾き飛ばしソウヤ(笑)の喉元に突き立てた。ソウヤはソウヤ(笑)の耳元に顔を持っていき。
「本物をあんまりなめるなよ。あこがれるのは勝手だが、俺の名前に泥を塗るな。次こんな事したらただじゃおかなぇからな。」
ソウヤが言い終えるとソウヤ(笑)はへたり込んでしまった。
「勝者!エントリーナンバー16!クロイソウヤ!こっちが本物なのかもしれないな!」
なぜか歓声がなかった。悲しい。




