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婚約会見のわずかな裏側と、双冶の卒業までの話

高卒3年目の夏、いつものように仕事から家に戻っていると、

「初めまして、桃山透乃さん。実は耳に入れたい情報があり、ここに来ました」


今回はまったく、記憶に無い男性。

しかし、服装自体はカーキのカジュアルスーツに黒のスニーファー。


「もしかして、知念社長に協力している隠し撮り勢の方ですか?」

正式な新聞記者ではない為、予想を相手に伝えた。


「ご名答です。それで今回、あなたに接触したのはつい先ほど、住坂選手と知念社長が婚約する事が分かったからなんですよ」


2人の婚約自体は別に驚く事は無いけど、どうして速報として分かるのかが不明。

「婚約発表もしていないのに、どうして分かるんですか?」


すると、彼は飛びっきりの笑顔で答える。

「それはもちろん、隠し撮りですよ。まあ、今消されてないと言う事はあなたに伝えて問題無いと言う事なんでしょう」


私は彼らに助けてもらった過去がある以上、無下には出来ない。


少し、相手を見ながら考えてしまう。


「ただの接触じゃありませんよ。実は翌日、婚約会見を知念会長だけが出席して、詳細を伝えると言う事になりまして、ぜひとも、桃山さんから質問があれば、代行しようとかと思いまして、まあ、何でもいいです」


どうやら、別の人にも同じような事をやっているみたい。


ならばと、私も何か質問をする為に考えた後、

「それでは一つだけ。彼と彼女は本当に幸せか、どうしても気になっていましたので、上手く質問して頂けないでしょうか」


彼は私の考えた質問に笑顔になる。


「知念会長も同じ事を思っていたみたいで、心理テストと言う形で住坂選手を試していたようです。分かりました、具体的な質問内容はこちらで考えますので、用件は以上です。本日はありがとうございました」


私にお礼を言って、一礼した。


相手はその場から去って、私はまた、一人となる。


変わった出来事と言えば、今起きた事ぐらいだと思う。


■■■


あれからは特に何も問題も起きず、順調に。とは言っても、主に双冶の学力の件で問題が起きているが、都度、何とか切り抜けている日々。


3年以上が過ぎ、あっという間に9月となり、双冶はTrulyOwnsの筆記試験に臨んだ。


結果は合格ではあるが、まだまだ学力不足と言う事で、不足部分の教材を川名さんから渡されて、私達が色々と不足している部分を継続で教える事になった。


試験会場となった関連会社の施設内では、双冶だけが午前から午後を通しての試験となり、一般就活生にとっては奇異の目で見られる物だったと言う。


当然、一般人に関しても数人は特別に詳細を知る為、追加試験が行われ、無事に合格してから関連会社への配属が決まった人も居た。


企業としては通常が6月だったり、かなり早い時期にやっているところは多いが、TrulyOwnsの場合は一番人気と言っていい為、他社で滑り止めをやってから試験と面接に臨む人が多かったと言う事である。


ただ、そう言った人達は試験の結果を参考にしながら、容赦なく落としたと知念社長に説明されていた。


勿論、今の条件で数人合格にした人も居るがすべて、関連会社への配属となったみたい。


双冶自身は高校時代の約束もあり、必死で勉強した結果を報告する形の為、筆記試験の結果を見て、TrulyOwnsのビル3階にある『マーケティング部』に配属される事が決まった。


双冶が偶然出会った、一般就活生で滑り止めが無く、一発勝負に臨んだ学力低めのFランク大学の生徒。


結果は関連会社でも、今後、力を入れる通信機器製造の会社への配属が決まったようで、生徒自身の実家と同じ県への配属になったらしく、とても喜んでいたと言う。


(さすがに片手間な人を厚遇する事は無いよね)


当然の結果。

滑り止めを確保しているなら、該当する会社に行けばいいだけ。


12月末になって、ようやく宝石店に関しての知識が蓄積されたある日。

今度はベテランの女性社員との会話をする機会があった。


彼女はこの道30年で、買い付けや大型客への商談にも関わるような人。


宝石自体はワンポイントで身に着けているが、体格自体はやせ型、基本的にスーツのみの正装で、統一してるみたい。


「来年3月であなた達もここを卒業ね。2月の受験、頑張ってね」

「あと3ヶ月で、ここも卒業する事が出来ます。今後、もう少しだけお世話になりますが、今までありがとうございます」


私は彼女に礼をして、改めて感謝の意を述べた。


「ただ、もう少しだけ教えたほうが良さそうな事があるから、残りの3ヶ月はその点を教える事になりそうね」

「まだまだ、色々と学びたい事がありますので、是非ともよろしくお願いいたします」


ようやく、宝石店の全社員と上手くやれるようになり、後は私達の欧渓大の受験合格にひたすら走る事となった。


私達の受験日は先輩にシフトに入ってもらう事となり、受験に臨んだ。


結果は言うまでもなく、2人とも合格し、3月初めに入学関連費用をすべて、大学に収めた。


3月27日。

土曜日に私達は宝石店での業務が最後となり、先輩達や店長に惜しまれつつ、私達は店を去る事になった。


帰って翌日の日曜日から入学に向けての準備と双冶の引っ越しの手伝いをし、期限いっぱいの3月末でようやく、双冶の引っ越しが完了した。


明日からは私達が欧渓大の生徒となる為、双冶と会うのは土日だけにしておけと知念社長から念押しされていた。


そして、4月1日。


欧渓庭鴎大学の入学式を迎えた。

私達の学部は同じ物となるが、私は設計工学科、雫は情報物理科で今後は学ぶ事になる。


ただ、学部自体は同じなので、今後もお互いに協力する場面は多くある為、孤立する事も無いと思う。



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