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俺の中でのエピローグ

翌日、中山が卒業式を終え、TrulyOwnsビルへ勤務する為の引っ越しをした。


桃山と鳰入は自分達の入学の為に色々と準備をして、4月1日の入学式を迎えた。


4年間、生活費以外はすべて、知念家が支援をするらしい。

生活費は中山が通学していた4年間の貯金を切り崩して、どうにかさせる方針でやると言っていた。


俺は試験が実施される6月中旬まで、しっかりと音羽に教えられながら勉強し、何とか秋入学試験に合格した。


そして、入学式を終え、数日が過ぎたある日。


桃山と鳰入に大学の敷地内で偶然出会った。

「ガック、久しぶりだね」

「久しぶり」


俺達は休憩がてら、近くにあったベンチに横並びに座った。

「それにしても、4年間で大きくなったよね」

「そして随分と遠くなった」


俺は2人の言葉に改めて、これまでの辿ってきた道を思い出していた。


「私たち、入学してから土日だけ双冶のところに行って泊ってるんだけど」

「大変そうだった。社長から見ても、双冶を見ても」


今の近況だけで、何となく状況を察する。

(俺も似たような物か、学力だけで言えば)

音羽から俺に対しての献身的指導を考えると、中山に同情をせざるを得ない。


「まあでも、ガックの入学時期って『海外受験組』でもあるから、合格するだけで難しいんだよね」

「私たちや双冶の受けた学部は、倍率が低いほうだから」


「でも、俺は4年間で、無理にでもどうにかしないと、音羽に影響が出るからな」

そう、俺だけの為ではなく、知念家の将来を左右する大事な時期となるからだ。


「ガックはもう、知念雅玖だからね」

「今も注目されている」


鳰入の言葉に周囲を見渡すと、数人は面白くない表情をしていた。

「日本で活動して思ったんだが、テキサスの人達のほうが人間性が良かった気がする」


ボクシングの試合に勝って行くにつれ、地元の人達が応援してくれていったからだ。


「それにしても、ガックの英語力って正直どうなの?」


自動翻訳セットなしでは話せない為、素直に感想を言う。


「自力では無理だな、翻訳機のおかげとしか。ただ、最終的には評価してくれていたから、成績さえ残せば地元の人達は優しく接してくれた。音羽の根回しがあったからだが」


自嘲気味に2人へ答えを返した。


「そうか。そうだ、知念社長からは今も大事にされてる?」

「一般からは冷血サイボーグと評価されてるから気になる」

俺の事を心配してくれてるみたいだ。


2人の問いかけに音羽や川名さんと一緒に生活した4年間を思い出していた。


思い出してる中で、素の音羽の言動を数多く思い出し、含み笑いをしてしまう。


「私たちといる時の双冶と同じ顔だ」

「今ので、大体想像ついた」

2人は何かを察してくれたようである。


「でも良かった。今のガックって、大変そうだけど幸せそうだから」

桃山が何かを納得したように俺を気遣うと、鳰入は言うべき事を促す。

「こないだの件、言わなくていいの?」


桃山は「あっ」と思い出したように俺に言ってきた。

「実は、数日前に知念社長と話しをしたんだけど、私に対して謝っていたんだよ。『雅玖を取り上げてしまってすまない』って」


音羽が謝った言葉に俺も、何だか申し訳ない気持ちになる。

「確かに高校入学してから、双冶に会う前までは気持ちがあったけど、俺は桃山の事を覚えていなかったんだ。それに今、このように会える。それで十分だ」


色々な思いを馳せていると、鳰入が唐突に言葉を返す。

「知念社長に会う事があったら、お礼を言おうと思う。『私たちの未来を守ってくれて』と。結局、生きていなかったら、こんな風に話せる事も無かったから」


俺達が様々な思いをしばし巡らせる。


そして、俺は気を取り直して、

「これから3年半だけ、2人にも助けを借りると思うが、その時はよろしく頼む」

微笑みながら、彼女達にお願いする。


「幸い、学部を越えた課題もあるから、その時は協力しましょう」

「私たちも双冶を助けないといけないから、協力してほしい時はおねがい」

2人も俺に今後の協力を頼むのだった。


「じゃあ、俺は授業に戻るから、また」

「ガック、またね」

「救助要請の際は、協力求む」


鳰入だけ、謎の言葉を言っているが、俺達は挨拶してから、それぞれの授業に戻った。

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