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ウェイトが上限でも下限でも、苦労が絶えません

帰国したら俺はまた、朝から晩まで練習の毎日となった。


帰国した翌日の夜。

練習が終わり、佐藤さんに食事の摂り方を聞いてみたが、

「上限が無いなら、食べればいいんですよ。食べれば」


参考にならなかった。

そもそも聞く人を間違っていたかもしれない。


通信を切ってすぐ、音羽伝いに壱会に連絡を取る。

「食事メニューなら余計、月花(つきはな)さんに聞いたほうがいい」

(ん、月花さんって誰だ?)


俺が記憶に無い人物の名前を考えていると、

「悪い、元押強さんの名前だけど、押強さんのほうが覚えやすいよな」

数ヶ月前にクリンチ対策の協力をしてくれた元力士の事だった。


「少なくとも、1週間は待ってほしい。力士時代の食事だと太るだけだから、住坂用に筋肉版にアレンジするのは時間がかかると思う」

壱会はすぐに理由を答えた。


「分かった。最近、壱会には助けられてばかりだな、本当にありがとう」

俺は壱会にお礼を言った。


「それまでは普段通り、練習メニューをこなしていてくれ。どうせ、食事メニュー変えたら練習内容を変える事になると思うから」

「ああ、頼んだ」


俺は改めて、壱会にお願いする。


「それじゃあ、今日は連絡を切るからそっちに行く日は後日、連絡する。またな、住坂」

「筋肉を保てるようにしっかりと練習してるよ。またな、壱会」


俺達を通信を切り、この日は寝る事にした。


■■■ 


数日後、押強さんから連絡があり、壱会に連絡してから1週間後の今日、食事メニューの変更提案する日時となった。


俺はいつも通り、朝6時に起きてから準備をし、走り込みを1時間こなす。


本来は着替えて、ジムに入るのだが、ここではまだ朝食を摂らず、押強さんの話を聞いてから食事メニューを実施すると言う流れになった。


7時30分。ジムに入り食事を摂っている3階に移動すると、壱会と押強さんが椅子に座っていた。


ここで押強さんを改めて、注意深く見る。


体型自体は腹回りが出てると言う事は無く、安定感があると感じなのだが、これでは俺の圧力を容易に耐える事が出来るのは納得と言ったところである。


「これから、食事メニューの提案と言う事で、色々と説明するよ」


俺は空いている席につき、話を聞く。


「今、住坂さんの食事回数は6回。1食分の量としては一般人とほぼ同じまで摂っている。と言うことなので大体4000kcal以上になっている。この状態で現在は5kg以上は少ない」


押強さんは次に力士の場合を説明する為に、壱会からノートを借りて、少しずつメモをし始める。


「力士の場合は8000kcal辺りと言う事になるから、力士スタイルの食事はとる必要は全くない。しかし、内容自体を聞くと、煮干しと牛乳はやめたほうがいい。と言うのも、理由を聞けば身長を伸ばす為だと言っていたから、今の身長で十分だと思う」


ここで壱会が話を挟む。

「ご飯を積極的にとったほうがいいとも思ったけど、カロリーがすでにオーバーしてるから勿体ないな」


再び、押強さんが話を始める。

「私の提案として、魚とステーキを摂りましょうと言う事だけだね」


あっさり終わってしまった。俺は気になり、質問する。

「この2つを入れただけで本当にいいんですか?」


「煮干しと牛乳は今はそこまでと言う事。魚が優先度は高いけど、ステーキを食べれば、十分なカロリーは確保でき、ウェイトも自然と上げられる。何より、ウェイトを上げて動きが遅くなるじゃ、本末転倒だからね」


これが筋肉版にアレンジと言っていた内容になるのだろう。


「幸い、近くにはスーパーがあり、魚とステーキの確保は容易に出来る。食料確保と調理は浜崎さんにやってもらったほうがいい。今まで、料理はした事ないんだろう?」


押強さんが聞いてきたので、俺は黙って首を縦に振る。


「随分と徹底した食生活だったから、私もあまり考える必要が無くて驚いたくらいだよ。並の選手なら、ここまではまず不可能だから。ほら、料理するスペースならそこにあるから」


押強さんがドアと反対側にあるコンロを指した。


再び、話を続ける。


「これで、住坂さんの食事改善の提案は終わりになるから、後は普段通り、練習すればいい。私達はこれで失礼するから、後は浜崎さんと情報交換しながらやっていってよ。じゃあ、ヘビー級の体づくり、頑張ってね」


2人は俺に挨拶して、3階入口から出て行った。


数分後、入れ替わるように展数さんが入ってきて、俺に笑顔で言ってくる。

「ステーキと魚はすでに冷蔵庫に入れてるから、これからは俺が調理して、ガクに食わせるから心配するな」


「ありがとうございます。ヘビー級のチャンピオンになるまで、迷惑をかけると思いますが、よろしくお願いします」

俺は礼をして、この件は終了した。


ここからは普段通りの練習メニューとなり、違いがあるとすれば、今までは冷蔵庫に入っている物を食べるのがメインとなっていたが、食事のたびに展数さんも3階に上がり、調理をすると言う流れになったくらいである。


今日も夜まで練習し、2階住居に戻って寝る事の繰り返しとなった。

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