あのKO負けで学習する者、出来ない者
住坂雅玖が元世界チャンピオンに勝利し、帰国したのと同じ時間にスレが立ち上がっていた。
スレタイトル『ガク・スミサカ、最大の敵はやはり、壱会必太だった』
「ああ、既にヒッターちゃんねるの再生回数がおかしな事になってるな」
「さっき見たら、4000万回を超えてた」
「しかもまだ増えてる模様」
「ボクシングの試合中継でもないのに?」
「ある意味、世界的なボクシング中継よりも重要な動画だからな」
「後、ジェイスの人気と2ラウンドを乗り切った事、伝説の生配信と言った事が決め手になってる」
「やっぱりあの動画、研究材料にされてるじゃねえか」
「現世界チャンピオンはこれで弱体化、引退したジェイスはこれで強化され、あれ?」
「やめてやれ、娘に説教されたのをイジってあげるのは」
「あの試合で一気に世界ランキングを5位まで下げたよな」
「当たり前だろ、弱体化して負けた理由が素人の動画を参考にしただから」
「普通は対戦相手のランキングまで落ちる仕組みじゃないのか?」
「ICBOと下位組織になるJBOはよほど、惨敗しなければランキング1位にしか落ちない仕組みだぞ」
「まあ、ジェイスは年齢が37歳だから、挑戦する気もないんだろうな」
「これで選手としての株が上がったし、良かったんじゃないか?」
「1ラウンド負けは即ち、有象無象の扱いだからな」
「でも、次も勝ったらクルーザー級に階級上げるから、倒しにくいんじゃね?」
「次がまた、1ラウンドで倒せるとは思わないほうがいい」
「住坂自身は欠片も考えてなさそうなアドバイスをどうもありがとう」
「それにしても、相変わらず住坂の超反応って頭おかしいよな」
「それを超える反応で、迎撃するヒッターはもっと頭がおかしい定期」
「話は変わる、わけじゃないけど、アメリカのインタビュアーは口悪くない?」
「それは思った。特にジェイスの敗戦インタビューの影に隠れてた住坂の表情が顔芸レベルだったのが印象的」
「消極的って煽ってたしな」
「アメリカのリポーターって、あんな感じなの?」
「ノーコメント」
「あ」
「あ」
「だから、あ、じゃない。もうメンドイわ、このやり取り」
「疲れないで根気よく頑張ってー」
「そう言えば、ジェイスとインタビューのやり取りで普通、一般人の動画の事なんか話すか?」
「普通は話さないけど、あの口悪いインタビュアーですら笑顔になってたから、相当だよね」
「何か、リングアナウンスやってた人がどんな人か気になってきた」
ここから数分が経過して、答えが出る。
「調べたぞ、イーモン・ロクスリー。良く居るタイプの会社員兼業らしい」
「これでプロレスのレフェリーだったら最悪だな」
「拗ねたら1、2、3って超高速のカウントしそうな名前」
「……意外に広がらないな」
「すぐに飽きないで」
「でも、この人は割とタイトル戦のリングアナウンスやってみたいだな、この会場だけだが良く見るし」
「これを日本でやると、一発で首が飛びそうだな」
「日本人が示す、反面教師の代表として紹介されそう」
「まあ、そんな煽るやつですら、思い出し笑いをするって、快挙以外の何物でもない」
「そして、観客の一定数から笑いも起きてたな」
「おそらく、テキサスかぶれのあの衣装が頭に浮かんだかもしれない」
「まあ、そこは腐っても動画配信者だよな」
「ヒッターなんでプロじゃないんだろ」
「だからケガ、もう疲れた」
「勝手に疲れるな」
「次はいよいよ、ライトヘビー級のタイトル戦だな」
「どうなるか分からないが、頑張ってほしい」
「日本人の重量級の道を作ってほしいね、本当に」
「今日はこれくらいで終わるよ、じゃあなお前ら」
「おう、健康そこなわない程度に頑張れ」
「何に対して頑張れなのか、一切不明である」
これ以降は中身のないコメントが続くだけであった。




