夏休み初日、および一日練習メニュー
今日から夏休み。俺にとっては練習時間が増える時期になる。
だが、今年は少し特殊である。今月28日にプロデビュー戦となるからだ。
前日に軽量が行われるのだが、現在の体重は63.1kg。もう少しだけ重くしてもいいとの事だった。
昨日の夜食を少し遅くしたのは、ウェイトを上げる為にやった事だ。
「朝練するか」
いつも通り午前6時に目覚め、外に出てからランニング、インターバル走、30秒ダッシュのメニューを7時までこなし、ジムに入って、1時間筋トレを行う。
8時に朝食をとる為、自宅に戻り、いつものメニューを食べる。
15分から20分で食事を終え、ジムに戻って、8時30分からストレッチを始める。
そこからはいつものメニューをこなし、筋トレを行うまでを1セットとして3時間で練習メニューが終わる。ここまでで11時30分。
ここから30分間、昼食を摂る時間を許されている。
昼食も同じように15分から20分で摂り終え、ジムに戻り、12時から2セット目が始まる。
2セット目以降はミット打ちから始まり、午後2時に筋トレまでが終わる。
ここから30分間の休憩をとる。
午後2時30分から3セット目が始まり2時間でメニューが終わる。
午後5時からの4セット目は通学日と同じメニューになるので、改めてストレッチから始める。
スパーリングまでこなし、午後6時45分から15分までに夜食を摂る。
午後7時からは縄跳び、アフターシャドー、筋トレをこなして、午後8時で一日の練習は終了となる。
今日のような、休日メニューの時は、追加で筋トレなどをやる事は無い。
あまり練習ばかりしているとオーバーワークになるからだ。
今日から練習が終わると、体重を計る事が義務付けられている。
あまりに軽いと相手に攻撃が通じない為だ。
重量オーバーは気にしてはいない。
体重が規定以上に重くなるような生活はしてないと言う自負があるからだ。
親父もその点に関しては、一切不安に思っていない。
不安に思っていないのは俺だけで、他の所属選手たちは毎試合のように頭を悩ませているようだ。
俺と同じ日に試合を組まれている所属選手は規定重量の上限を上回っており、
「ガクさん、どうやったら自分の体重で苦しまずに済むのか教えてくださいよ」
泣きながら、俺にすがりついていた。
この人は8ラウンドを戦う選手で、フライ級の日本ランカーだ。示した体重は51.2kg。
基本的に敬語で話しかけてくるのだが、年齢は20歳で俺より年上である。
次に俺の体重を計ると63.5kg。ようやく、ウェルター級の下限値に到達した。
「もう少し増やしたほうがいいか」
無意識につぶやくと、さきほどの選手が泣き出して、
「この時期に増やそうって言ってるのって、普通は居ないと思うんですよ」
今度は俺のすねをハンカチ代わりにして、涙を流していた。
(さすがに気持ち悪いな)
男同士で涙を肌で感じるのは、正直不快でしかないが、黙っている事にした。
体重も確認した事なので、ジムの人達に挨拶をし、自宅に戻った。
俺は風呂に入って、疲労をとる事も考え、少し長めに入った。
風呂から出たら、着替えてベッドに寝るだけである。
「おやすみ」
自分の部屋には一人しか居ないが、誰に言う訳でもなくただの独り言を言って眠りについた。




