一方、衝撃のTKOを見た人達からはこう映っていた
いつもは佐藤波木の様子を外でこっそり撮影して、動画をあげている一人だ。
今日は試合会場から正式に許可を取り付けての試合撮影をした。
残念ながら、我らのオモチャである佐藤波木選手については、特に動画に起こす程度ではなかった。
だが、今日は彼の弟?兄?弟子と言える住坂雅玖選手の試合で見れた物があまりにおかしかった。
何がおかしいのか?人はあんなに浮き上がる物かと。
試合時間はたったの24秒だったが、普通の人には到底できない現象を見て、私は居ても立っても居られなくなり、ネットに動画をあげた。
動画のタイトルは『この選手の素材は何で出来ているのか?』にした。
日本タイトルマッチが終わった後の為、早速コメントが入ってくる。
「人と言うのはリンが(ry」
「普通に返すと水が一番多いからな」
「で、あれは何?羽を適当に浮かせているのか?」
「そんな訳ねえだろ、あれは間違いなく人間」
2分後に確認すると、
「で、あれは本当に、いやどうでもいい」
「どうでもいいって酷くない?」
「いや、そうじゃなくて、高さってどれくらいなんだろう?」
「俺も気になった。誰か調べてくれないか?」
さらに3分後、
「今、動画のリングの大きさ、浮き上がっている高さ、人の数などを目安に解析してみた」
「で、結局どれくらいだったの?」
「少なくとも2m50cm、もっと詳しく調べたらそれ以上になるのは確実」
「確か、走り高跳びの世界記録って」
「2m45cmだな、世界記録更新。非公式だけど」
「午前0時ちょうどに唐塚孝軌選手をお祝いしてやらないとな」
さらに2分後、
「それ見たら、本人が恥の極みで死んでしまうからやめろ」
「なお、現在の唐塚選手はぐっすり眠っている模様」
「あんだけ高く飛ぶくらいだから、顎破壊されてそうだけどな」
「本人が起きれば、聞けるんじゃない?」
「とりあえず待つか、ダメな時は訃報だろうし」
「縁起でもない事を言うのはほんとにやめろ」
ここから1万ほどのコメントが付く。午後7時を過ぎ。
「唐塚選手、意識戻ったみたいだぞ」
「え、なんで分かった?」
「いや、俺一応はBOX FINEジムの関係者だし」
「内部情報漏洩はやめてもらっていいですか?」
「それは後。で、どうだった?」
「アッパーもらう直前に死ぬと思って体を上に浮かしたらしい」
「じゃあ、走り高跳びの世界記録更新じゃないか」
この後、さらに5千のコメントが付き、午後8時ごろ。
「あのレフェリーが居なかったら、今頃死んでたって言ってた」
「ああ、あの衝撃吸収マットレベルの神キャッチしたあの審判か」
「あれも凄く話題になってるな」
「異変に気付いたのが誰よりも早かったからな」
「同時に住坂雅玖も気づく」
「いや、やった本人よ。気づくの遅くね?」
「デビュー戦の時よりぎこちない動きだったけど、何かあったか?」
さらにコメントが付き、午後8時30分。
「調べた限り、例の七見一族による大量殺人事件が関係してるらしい」
「ああ、あの政治家の権力で全て自分達の犯罪をねじ伏せた奴ね」
「どうやら、知念社長に助けを借りたらしい。それに連動して現会長は今も動いているから、祖父と孫の共同作業と化してる」
「情報が全く処理出来ないんだが、説明しろ」
「要は長平って元選手が被害にあった。当時居たジムの人も死ぬ寸前までのところまで追いつめられて、実質被害は全ては把握できない状況。まあ、これは別タイトルのコメントサイトに色々情報交換したほうがいいからここでは話さない」
「で、それと住坂が何の関係が?いや、トランプで言えばジョーカー52枚を切って、おまけとしてジョーカー54枚を手札に収めている状態なんだが」
「いや、本人の知らないところで解決の方向に走ってるから、プラス54枚が場に出てるようなもんだぞ?」
何の話をやっていたのか分からなくなり、午後9時ごろ。
「で、知念一族と七見一族の国を潰した戦いは分かったから、いいかげん雅玖選手の事話せや」
「簡単に言うと、貧弱だったガク少年がこれを機に大半の記憶を失って、練習バカになる。今年8月末に憎き相手の七見家が逮捕された後、とある国に渡されて行方不明になる、後は、分かるな?」
「分からねーし。待った、大半の記憶が飛ぶって相当にマズい精神状態な気が」
「で、行方不明になった結果がどうなったか、教えろ、政治批判勢が」
「まあ、大した事じゃないけど。練習バカになってた状態が強力なデバフ状態で、七見一族が滅んだ(今はここの状態)事によって、デバフ状態が解除された結果、空高く舞う。と言うところだね」
「つまり、70%以上の強力なデバフかかったまま、練習してありえないほど強くなり、それが解除されたから、人間とは思えない力を手に入れたと?」
「普通は落ち込んで自死するんだけどなあ。まあ、それなら頭がぶっ壊れて強くなる事しか考えなかった結果って言うのは納得出来る。出来る?いや、出来た事にしよう」
ここから、なぜかコメントが進まず、午後10時になり、
「例のコメントサイトで、該当スレ見てきたんだけど、七見家、本当に酷いな」
「涙無しにはって軽く言えるレベルではないな。少なくとも」
「1万人が息のかかった一般人らしいね。いつからこんな国になったんだよ」
「元々からこんな国やぞ」
「そして、ここからまだまだ引き渡しが増えるから最終的にどれくらい?いや、それ以前にゴーストタウンできそうだが?」
「ああ、それならすでに2つほどの5千人単位の町がゴーストタウンと化してるぞ」
「2×5000ですごく分かりやすい」
「うん、もう何か、この話題どうでもいいから早く終わらせよう」
「唐塚『俺の事を忘れんといて』」
これ以降は、コメントが追加されなかった。
私が今回、物語を進める上で『夏のホラー2026』に出す予定だった内容の傾向となります。
勿論、SNSのような方式ではなく、ガクとアカがそれぞれに音を聞いて怖がって会話が進むと言う展開で仕上げる予定でした。
作品の作り方を根本的に変える工程で四苦八苦していた為、今回の作品は色々と勉強になりました。




