2戦目、懸念していた事が現実となる
今日は俺の2戦目当日となる。
同時に佐藤さんのフライ級日本タイトルマッチでもあった。
8月の対戦で佐藤さんのランキング2位の為、本来は挑戦権は得られないが、1位の選手が引退してしまった為、繰り上げで王者への挑戦権が認められた形となったのである。
前日の計量では俺は64.3kg、佐藤さんは例のごとく3%未満の超過となり、水抜きをしてようやく、上限ギリギリのウェイトでパスできた。
それと、デビュー戦と違い、圧倒的な勝利を収めていた俺は隠し撮り勢のネット配信もあり、期待の怪物として世に晒される事になった。
一般のファンの一人から二つ名を頂き、その名も『人型鋼鉄生命体』である。
ジムもこの二つ名を了承し、今回のリングアナウンスで採用される予定だ。
今、俺が居る会場は幸いにもデビュー戦と同じ会場になっていて、今回も青グローブを着用しての対戦となる。
通常は、全国各地の離れた会場を使用するのだが、佐藤さんのタイトル戦をやるには、この会場が都合がいいとの事でここに決まった。
佐藤さんの相手は基本的に、下に見る傾向があるので、対戦者がすぐに見つかる。
俺の場合は、デビュー戦があまりにも強い勝ち方をしてしまった為、佐藤さんのバーターと言う事で、相手にファイトマネーを多めに与える事を条件として合意した。
今日は試合開始時刻が12時20分。今日は第2試合になり、先ほどの試合は特に問題なく終わった。
入場の時間となり、俺は左端の控室から会場口のドア前で待機、対戦相手と思わしき人も会場右端の控室からの会場口のドア前で待機する。
ここでリングアナウンスが流れる。
「両選手、リングに入場です」
点いていた照明が暗くなり、改めてアナウンスが始まる。
「始めに青コーナーより、住坂雅玖の入場です」
係員より合図が出た為、俺は会場内の通路を歩くと照明も追従して、セコンドと一緒にリングに近づく。
今回は、リングに向かって一礼をしてからロープの真ん中をくぐってリング内へと入る。照明が会場全体を明るくする。
また、会場の照明が暗くなる。対戦相手に合わせて、照明も追従する。
「続きまして、赤コーナーより唐塚 孝軌選手の入場です」
俺とは逆側の通路から対戦相手がリングへと近づいて行く。
そして、相手は俺に一礼してからリング内に入り、照明も会場全体を照らす。
両者ともに各コーナーの前に待機する。
今回の対戦も両者ともにガウン未着用な為、すぐにリングアナウンスが進行する。
「本日の第2試合。ウェルター級4回戦を行います」
一瞬の静寂。観客も静かに見守る。
「赤コーナー143.5パウンド。BOX FINE ジム所属、唐塚ー孝軌ィィ」
対戦相手が俺に一礼をして、レフェリーにも一例する。
「青コーナー141.8パウンド。同年8月のプロデビュー戦、1ラウンドKOにて鮮烈デビュー。住坂ボクシングジム所属。『人型鋼鉄生命体』。住坂ー雅ァァ玖ゥゥ」
俺も対戦相手に相手に一礼して、レフェリーに対しても一礼する。
観客はと言うと、一部からはかなり声援が上がった。
どうやら、今日までに知名度が上がっているらしい。
「ジャッジ河野正也、同じく西原徹太、同じく木下海斗、レフェリー上田勘治」
レフェリーは両コーナーを割るように一歩進み、対角のコーナー側に一礼する。
次に両手を両選手に向けて広げ、各コーナーに静止する。
今度は俺たちを自身の近くを寄せ、グローブを確認し、試合の注意事項をひと通り説明する。
次に両選手に対する呼びかけ、
「日本ウェルター級4回戦JBOルールを守って、ベストを尽くし、悔いを残さないように頑張って、以上」
デビュー戦と同じく、JBOによる決まり文句で説明が終了。
レフェリーが両手を広げ、手のひらを上に受けて、両選手は各コーナーへと戻る。
俺はファイティングポーズを取って、試合へのスイッチを入れる。相手も同じ動きをしている。
「ラウンド、ワン」
次の瞬間、ゴングが鳴ると同時にレフェリーもそのまま両手を内側に付け、試合開始の合図となる。
数秒はお互いの睨み合い。先に攻撃したのは相手、左のストレートを浅めに打ってきた。
俺は足を一歩引き、これを回避する。
(フットワークは問題ない)
攻撃できる機会を敢えて、回避速度の確認に使った。
今度は俺も攻撃。右の浅めのジャブを打ち込み、相手のアクションを確認。
相手はガードし、特に問題無い。と思ったが、後ろに数歩分、吹き飛んだ。
(あれ、効いてるのか?)
試しの一打だった為、相手のリアクションは予想外である。
10秒ほど睨み合いをした後、相手がまた攻撃する。
今度は右フック。当然ガードで受ける。次は左フック。これもガード。さらに右の素早いストレート。これを右に踏み込んで回避しつつ、左の浅めのジャブで相手をけん制、のはずが結構効いたらしく、相手は大きく一歩後退し、よろけている。
(まだ、様子見なんだが)
そう、俺の攻撃はまだ見せの段階で、実質的な攻撃は1つも入れていない。
3秒後、相手が何を思ったのか、下手な大振りの右フックで俺に打撃を行おうとした。俺は素早く屈んで回避し、思い切って左アッパーを繰り出して、相手の顎を捉えた。
すると、相手は宙を高く舞い上がり、この時点で気を失っているように見えた。
レフェリーは思わず、
「あ、これはマズいな」
何か異変を察したらしく、俺を青コーナーに戻るように両手で押して、促した。
2秒ほど浮き上がっている間にレフェリーが素早く、相手を抱き上げる体勢を作り、相手が地面に落ちるタイミングを見計らう。
衝撃が加わらないように相手の頭を左腕で支える、わずかに遅れて足を右腕で支える、左から右へ救い上げる動作で体がリングに強打しないように受け止める。リングに素早く相手を置いた。
相手は既に気を失っていて、何も分からないようだ。
レフェリーは両手を腕ごと内側にしまう、そこから外側に動かし、何度も繰り返す。
俺は勝ったのだが、観客も通常と違う決着パターンを見て、静まり返った。
レフェリーは横になっている相手を見て、異常がないか確認した。
俺は青コーナーへと行き、セコンドのそばへと寄る。
リング外に待機していたセコンドも左肩をそっと触り「いつもと違うから、アナウンスを待て」と注意した。
相手側の赤コーナーに居る関係者も黙って見つめたまま、様子を見ていた。
それから、水分を少量飲ませてもらい、ここでリングアナウンスが流れる。
「只今のテクニカルノックアウトを説明いたします。住坂選手の最後の有効打で唐塚選手は意識が喪失し、レフェリーの判断により、試合を中断。同時に選手の安全を確保し、そのまま試合終了となりました。これにより、勝敗を決します。1ラウンド24秒。1ラウンド24秒。勝者、青コーナー、住坂ー雅ァァ玖ゥゥ」
レフェリーから勝ち名乗りの為、俺の左手首を掴み、レフェリーも一緒に右手を上げて、レフェリーとともに左回りに1周する。途中、4方向に向けて、様々な関係者に礼を4回して、持ち上げた手を下ろされた。
俺は改めて、青コーナーに戻る。そして、リングアナウンスが再び流れ、
「以上を持ちまして、第2試合を終了いたします。両選手はリングを降り、控室へお戻りください。」
俺たちは速やかにリングを去り、控室へと戻って、親父が勝利を祝ってくれる。メディカルチェックも行われるが、今日の試合もパンチを受けていない為、簡易な診察で事を終えた。
試合会場は騒然としていて、異様な静まり返りを見せていたと言う事である。
どうやら、今回の勝ち方はかなり特殊で、レフェリーが体を張って、一方の選手を保護するのは極めて稀なようだ。
俺は服に着替え、今回もあらかじめ確保されていた席に座り、佐藤さんの試合終了まで観戦する事になる。
途中、デビュー戦と同じように数名の選手に声をかけられ、当たり障りのない会話をして去って行くと言う流れであった。
午後3時。
以前と同様の時間で、佐藤さんの日本タイトル戦が開始になるのだが、通常、タイトル戦は夕方から夜の時間帯になる。
しかし今回、午後3時と言う早い時間に開始するのは、この後、午後5時から別競技の世界タイトル戦を含めた試合スケジュールが入っていた為である。
午後2時50分。佐藤さんのフライ級タイトル戦が始まる直前の時間。後ろから声をかけられる。
「よお、元気してるか?」
現れたのは、グレーのスーツを身に着け、しっかりと筋肉の付いた大柄の人で、白髪のオールバックに余分な髪を黒紐で首の後ろで短く束ねている。
「こんにちは、お久しぶりです」
浜崎会長だ。名前は浜崎剛士。浜崎ボクシングジムを経営している。子供は3人居る。
長男は浜崎展数で、リングネームは『グエッサー浜崎』。
現在、ミドル級の日本チャンピオンでミドル級の超えられない壁として君臨している。別名『幻の世界最強』と呼ばれているが、別名の由来はここでは割愛する。
次男は浜崎検事。その名前を見て色々と揶揄する者も多いが、こちらはミドル級の日本ランカーである。
「それにしても、また派手すぎる勝利をして見せたな」
「あ、ありがとうございます」
対戦相手が宙を高く舞い、1分もしない内に勝利を収めた戦いの事を言っているが、まだ4回戦のCランクなので、素直には喜べない。
「でもなあ、あんな戦いしたら次の対戦相手は来ないんじゃないのか?」
「ええ、私も困っています。今日は基本的な確認の動きをする為、試しに何発か軽く打っただけなんですが、あっさり終わってしまいました」
俺の言葉を聞いた浜崎会長は豪快に笑い、
「まあ、8日間も練習しないで体が鈍って、デビュー戦ほど動けないと思うのは不思議でも何でもないな。その結果があれ、と言うのが何とも皮肉な話だがな」
再び笑いつつ、対戦相手の評価も交えながら言ってきた。
「それでよお、住坂会長にも相談してほしい事なんだが、おそらく佐藤が今日、勝って日本王者になるだろ?当然、階級上げると同時に世界に挑戦するよな?だとすると、お前のバーターは居なくならないか?」
俺に現実を付けてきた。
当然、事実ではあるので黙るしかなかった。
「それで今後は、しばらくの間は浜崎ボクシングジム所属の選手とのバーターでやって行かないか?」
「私にとっては願ったり叶ったりですが、何か見返りがあるんですよね?」
わざわざ、この場で提案するのは、交換条件があるはずだ。
「まあ、お前の会長次第だが、6回戦になるタイミングでスーパーウェルター級への階級上げ、8回戦になるタイミングでミドル級への階級上げをしてほしいんだが、大丈夫か?」
浜崎会長の提案には特に問題ないように思える。
親父の了承次第だが、元々ヘビー級への挑戦を視野に入れている為、断る理由もない。
「私はそれで問題ありませんが、具体的な交渉については会長と直接やり取りしてください」
俺が答えを返すと、浜崎会長は笑顔になり、さらに話し始める。
「おお、そうかそうか。しかしなあ、日本王者となると、ミドル級は展数となるが、やれるか?」
「どのみち、重量級で世界を獲るつもりなら、避けて通れない壁だと思います」
ミドル級でのこれからの対戦について、言及されたが、俺は迷いなく答えた。
すると、浜崎会長が力強く左手で、俺の右肩を強く叩き、
「いいね。それぐらい骨のある奴が展数以外にも居ればいいんだが、なかなか現れないなあ」
俺を褒めると同時に、自身のジムの所属ボクサーに対しての不甲斐なさも吐露した。
「まあ、そういう訳だから、お前の親父さんにも相談して、話を進めておくわ。じゃあな」
浜崎会長は俺に挨拶して、試合会場から出て行った。
(佐藤さんの試合、あまり興味ないのかな)
俺に対しての用事が終わって、すぐに出て行った事を考えると、不憫に思ってしまう。
後日、親父に浜崎会長との交渉を改めて聞いてみると、浜崎家の長男である展数さんが負け試合で何かに目覚めて、連勝街道を進むようになってから、次第に相手が戦いたがらなくなってしまったとの事。
挙句の果てには、試しでやってみたノンタイトルマッチを2回ほどやったのが原因と考えられる。
1戦目はキックボクシングの元世界チャンピオンを3ラウンドKO勝利。
2戦目にボクシングの元世界チャンピオン、マジック・ダンソンに12ラウンド制の5ラウンドKO勝利、しかも相手から一撃も受けてない上での勝利をしてしまった為、それ以降のミドル級日本タイトルマッチは『公開処刑場』と呼ばれるほど、絶望な対戦として認識された為である。
浜崎会長は展数さんに何度も、階級上げや世界へ挑戦するように説得したが、本人は体力的に限界で無理と返された為、どうにもできなかったとの事である。
このような状態の為、まともに戦ってくれるような俺の存在がどうしても欲しかったとの事だった。
これからはミドル級日本タイトルマッチまでは、何割かは浜崎ジム側で負担をしてくれるとの事で、住坂ジムもこの条件は願ったり叶ったりなのである。
あの三男として認めていない人物の事件以降はお互いに友好関係を築いており、特にわだかまりもない間柄であるのも大きい。
(あ、また別の事を考えてしまった)
気づくと、佐藤さんのフライ級日本タイトルマッチが始まっていた。
時間は1ラウンド目の31秒。周囲を確認するとざわついた様子も無い為、おそらく動きは無かったのだろう。
動きを見ていたら、佐藤さんの今日の作戦は小刻みにパンチを繰り出し、相手が崩れるのを待っている。と言うところだろうか。
対戦相手は、大振りしない佐藤さんに慌てた様子である。最初に飛ばす佐藤さんしか頭にない相手にとっては、これだけでも不安要素なのだろう。
始めに動きがあったのは1ラウンド2分53秒。色々とガードを散らしていたが、相手が上にガードを偏らせたのを見て、左のボディーブロー。
完全に決まった為、相手を前のめりに倒れこみ、ダウンを取られる。
カウントが進み、8のタイミングで何とか立ち上げてファイティングポーズをとる。
レフェリーから復帰と見なされ、1ラウンド終了となった。
青コーナーに戻った佐藤さんは涼しい顔で座っている。
あの一撃では元々倒れないと思っていたのだろう。
対する赤コーナーのチャンピオンはと言うと、少し苦悶の表情を浮かべていた。
ラウンド終了間際にダウンして復帰したのは無理やりどうにかしたと思ったほうがいい。
1分のインターバルが終わる頃には相手の表情も戻っていて、ダメージを回復させたように見える。
2ラウンドのゴングが鳴る。
佐藤さんの作戦が変更したようだ。先ほど、ボディーブローでダウンしたので、しつこくボディーブローをしてボディーを狙う。ように見せる作戦である。
実際は、下ではなく、左右どちらでもいいので、ジャブかストレートで顔を腫れさせて、視界を徐々に奪って行くようだ。
対して、相手はボディーを気にしながら、隙を狙ってクリンチに持って行きたいようにも見える。素早い左右のジャブを繰り出し、何とか上に偏らせようとしていた。
佐藤さんは前腕を相手の正面に角度を変えつつ見せながら、もう1回だけ軽めのボディーブローを入れた。
相手は苦痛の表情を見せながらも強めの右ストレートを繰り出す。佐藤さんは右に大きめに回避しながらの左ストレートを上から下に角度を付けつつ、ボディー当たりに打ち込む。と同時に右腕を縦に立てて、ガードを固めた。
当然、相手も右ストレートをフック軌道に切り替えて外から内に回すように佐藤さんに返すので、さらに左手親指に力を加えながらの下から顔へのジャブとして、相手に返した。
相手の顔面にヒットし、思わずスウェイバックを行った。佐藤さんの作戦通りに行き、変則な攻撃を一つ潰す事に成功する。
その後はしばらく、軽いパンチの応酬を繰り返し、2ラウンドが終わる。
インターバルで佐藤さんは相変わらずだが、相手もある程度回復したようでボディーの影響はほとんどない物と思われる。
3ラウンドのゴングが鳴る。
これ以降は軽いパンチを中心とした、攻防戦が続いて、しばらく変わった事は起こらなかった。
次に変化が訪れたのは8ラウンドの1分3秒。相手が少しずつスタミナが削られて行き、ガードが外側に向いて行った。
佐藤さんはスタミナ切れが近いと判断し、間を突いたアッパー気味の左ストレートを打つ。相手は当然、ガードを内側に固めて、体を左側に捻るように左ジャブを繰り出す。
次の瞬間。佐藤さんは左ジャブを直撃するが、時間差で右アッパーを相手の左顎に直撃させて、相手はあからさまに痛い様子を見せる。
直後。前方ガードの崩れた隙を突いて、脇を外し気味の左ストレートを放った。
相手はさすがにカウンター可能な手は残していなかった為、顔に打撃をくらって、そのままダウンする。
レフェリーのカウントが9で、相手は復帰し、ファイティングポーズをとる。
レフェリーは続行可能と判断。
佐藤さんはすかさず、両腕に力を出来るだけ込めて、顔への左からのワンツーストレートを放つ。と、見せかけて全力の右ボディーブローを外側から放つ。
顔と思っていた相手は死角になりやすいボディーブローを直撃し、横向きに倒れた。
レフェリーのカウントに反応し、立ち上がろうとするが、1ラウンドの左ボディーブローがここで影響が出る。
レフェリーが10のカウントでも反応するが、起き上がる事ができなかった。
佐藤さんの勝利である。
「只今のノックアウトをお知らせいたします。8ラウンド1分28秒。8ラウンド1分28秒。勝者、青コーナー、佐藤ー波ィィ木ィィ」
佐藤さんがレフェリーより勝ち名乗りを受け、佐藤さんの左腕を上に持ち上げる。
佐藤さんは満面の笑みで勝利を喜び、リングの中にジムの関係者が入って来る。
普段見ない人たちなので、おそらくはプロモーターなのであろう。
次に重そうに持っていたベルトを佐藤さんの腰につくて、再度、勝利のアピールをする。
四方に向かってのカメラ撮影を終え、改めて、相手側のコーナーに歩き、相手の関係者全員に礼をしたり、握手をしたりして、健闘を称え合う。
ここからは良くあるタイトル獲得後のセレモニーが続くが、
(俺もいつか、タイトルを獲れるようにしたいな)
俺は子供の時から今まで優勝と言う二文字に届く成績に達した事がないので、他の有名な選手達より強い思いを持っている。
各種セレモニーまで終了した。時刻は午後4時20分。
午後5時までに次のイベントが開催される為、関係者全員は急いで、後片付けを終え、俺たちも親父の車に全員乗ってから、住坂ジムへと戻った。
ジムに入って、時計を見ると、時刻は午後8時を示していた。
さすがにまともな練習をする訳にも行かない為、俺は体を整える為にも、
「会長、筋トレを2時間だけやってもいいですか?」
この言葉に一同は呆れかえった。
親父は特に気にする様子も無く、簡単な支持を出す。
「あ、ああ。筋トレだけなら別に構わないぞ?長平、後片付けは頼む」
「分かりました。その間、事務室エリアで休憩したり、事務処理などをしています」
長平さんは俺を待ってくれるとの事だが、与野さんや佐藤さんとはここで別れる事になった。
佐藤さんについては、今日の試合で結構なダメージが入っている為、明日にも病院に行って、傷の治療をするようだ。
ここから俺は各種筋トレを2時間を行い、長平さんに報告してから、本日の練習を終了する。
俺は自宅に戻り、風呂に入ってから、煮干しと牛乳だけ飲み食いし、そのままベッドに寝る事にした。




