小春の…お気に入り
「ポン! ポン! パン! パン!」
「…………」
そして前へ回ると下から手を伸ばし持ち上げ、
「グーッ ボヨヨンッ ボヨヨンッ」
「…………」
落としては、「ムニムニ」と揉んでみた。
明るくなって起きだし、村の入口で待ち構えていた小春は、一行の中にパツパツの美女を見つけた。
小春は、連れてきた女を見ると最初こそその立派な体格、女らしい出る所の出た体に目を見張っていた。
ウルの貫頭衣が、小さすぎてまるで体ぴったりのボディコンシャスな服を着たピチピチなグラドルみたいになっていた。
堪らず後ろへ回ると貫頭衣を持ち上げるその張った臀部を叩いてみた。
「…………」
前へ回り下から見上げる双璧は生まれてこの方見たこともない。
思わず持ち上げては落としてはその感触を確かめようとした。
「なにをしておる」 「むにゅ むにゅ」
「さっきから、いきなり人の乳で何を遊んでおるのじゃ。わっぱ!」
「すごーい! 本物だー! グラドル! グラドルだよね! お姉さん。むにゅむにゅ」
「だから揉むな!」
「童っぱの言うグラドルがどういう者かは知らぬが、私は騎士団に勤める騎士だ。王国第三騎士団に籍を置く。ローザ・エアハルトだ。おぼえておけ。だから揉むな!」
「いやーテレビでしか、見たこともないすんごい物だったよ。いいなあ。あたしもこんなになりたい!」
「そっそうか! 騎士になって鍛えればこのような立派な体になれるのだ」
ウルとガルフが横目でそれは違うと視線を送る。
「小春ちゃん、このお姉さんの鎧もあるよ。ゴブリンの洞窟で縛られていたんだよ。その上『くっ! 殺せ!』とか二回も言ったんだから」
「うっ其れは、言わずとも良い」
「えー! 女騎士が『くっ!殺せ!』を言ったの! 二回も言ったの! うわーてんぷれ~っ ゴブリンの洞窟でー、うわ~お宝~」
小春が、その場に居なかった事を悔しがる。
ガルフに、連れていってくれなかった事を喚いている。
「お眠の時間だったゆえ。全く、小春殿の楽しみが、よお解らんわい。こんな女子の縛られる様のどこが面白いのかのお。」
「小春殿、このおなごは縛られるがサダメの生き方、連れていれば又眼にする事もありましょう」
「誰が、縛られるがサダメじゃ! ちがうわ」
ローザが怒るが小春も、
「王都にいくなら、この騎士のお姉さんも共に加える。みんなーいいねー。
決定だよーっ 女騎士だよ。女騎士!」
ガルフもウルも憮然とした表情だが、小春は、新しいおもちゃでも手に入れたようなはしゃぎぶりだ。
その陰で、ソルも密かにウルにばれないように17歳の男の子の素直な喜びを露わにした。
朝の早い時間にも関わらず。小春たちの騒ぎに気付いて村人たちも集まりだしてきた。
ゴブリンの討伐を依頼してきたエリオンの姿も見える。
ガルフが、事の詳細を説明する。
「山向こうの谷川沿いに洞窟の巣を作っておったわ。長を筆頭に40匹、此方で3匹、合わせて44匹のゴブリンの群れは全て殲滅した。ガラクタも洞穴に残してある。使えるものは使うといい。それとコヤツが一人囚われておったので連れ帰ってきた。もう農園を荒らすものはいないだろう」
「44匹もいましたか。大きな群れでしたな。ご苦労様でした。また攫われていた御婦人も何事もなく何よりでした」
「ゴブリン共のガラクタは何かの役に立つかもしれません。この村で使わせてもらいます。ゴブリンの耳も討伐証明で小銭になります。一緒に切り取ってきましょう」
「旅立たれる前に、昼にでも皆で討伐祝いに宴を開きましょう」
昼には、またガルフが居ても立っても堪らずに料理を作ってしまった。
村人たちが捕まえてきた小ぶりな一角ボア、鴨が数羽、ソルにシャケを出してもらい其れも調理した。
小春は、大きな串にさした一角ボアのスライスを大量に重ねたシシカバブを遠火でクルクルと焼く。
待ちきれなくて涎を垂らしながら目が離せない。
ウルは大鍋でボアの骨付き肉を根菜と煮込み灰汁を取りながらかき回している。
ソルは、鴨を開いたものを炭火でシャケと一緒に炙っていた。
ガルフが鉢巻きをして大きなまな板の上のシャケを丁寧に刺身にする。
匂いに釣られて村の広場に設置した宴会場に村人たちも集まってきた。
エレナの姿も見える。
その後ろにはウルの貫頭衣の下に緑のエルフたちが履いているズボンを履いたローザの姿。
パンと張った臀部から伸びる長い脚をズボンが包む。
ウルの肩ひもを吊り上げた貫頭衣はおしゃれなブラウスにさえ見える。
井戸を使わせてもらったのかさっぱりとしている。
エレナに櫛を入れてもらい、長い金髪は整えられて風に僅かになびいている。
ソルを含め、見目秀麗なエルフも多い村の男たちも声を上げた。
「おーっ なかなか人間の女も肉感的でいいのう~」
ローザは、ざわめく男達の視線にまんざらでもなさそうに手を振った。
いつもは人気者の美女のエレナも、出る所の少ないスレンダーな体を比較されるようで、後ろに隠れてしまった。
ガルフが、声を上げた。
「よーし揃った様じゃの。料理好きの此の儂が、少々出しゃばってしまったがみんなで作った料理じゃ。皆楽しんでくれ」
エリオンが、刺身を口にする。
「森の中でこれほどの新鮮な魚など贅沢の極みですな。それに此のタレが魚のにじみ出す旨味を引き締めて実にうまい」
小春が、焼けたシシカバブもナイフで切り落とすと皿に持ってきた。
「お兄さん、タレが香ばしくて美味しく焼けたよ。此れも食べてみてよ」
「おーっ小春殿も料理が上手じゃ。えらい、えらい、ふふふっ」
エリオンは、可愛くて仕方がないと言わんばかりに小春の頭を、ぐりぐりと撫でまわした。
ローザは、香ばしく良く火の通った鴨の肉をスライスし、それにたっぷりのオレンジのソースのかかった一枚を口にした。
「なに、此の爽やかな酸味と甘さのソース、果物を料理に使っているのか。王都でも口にした事のない味」
「森人の作ったワインも素晴らしいではないか。この料理の為に有るようなワインだ」
其れを聞いていたエリオンも嬉しそうだ。
「どうだ御婦人、王都でも此のワイン売れると思うかね。人族の口に合えばこれからも量を増やして取引の材料にしてみるつもりだが?」
「うむ、私も仕事柄貴族の晩餐など出ることもある。料理酒として軽い口当たり、此の爽やかさ肉料理の多い晩餐などには、持ってこいのワインに思えますよ。その時には、私が窓口となりましょうか?」
ローザとエリオンもワインの話でうまが合ったのか盛り上がっている。
ローザも斜陽のエアハルト家に食い扶持の種が見つかった事に笑顔をみせる。
エリオンも貴族の末端とはいえ、貴族社会への売り込みの足掛かりを手に入れて喜んでいる。
皆、それぞれにガルフの料理を堪能してくれている。
ガルフも新しい酒作りにも興味を示してくれて、この村に着た事への成功を感じていた。




