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ウル…無双してみる (挿絵)

         挿絵(By みてみん) 


其の頃、ウルは村はずれの果樹園で桃ノ木に登り食い散らかしているゴブリン三匹を見つけた。


(三匹か。たった三匹やっちゃたら警戒して他の群れが近寄らなくなっちゃう。ウーン、……ここは……)


 ウルは、フルフェイスの兜を被りなおすと三匹に近づいて行く。


「ギイイッ!」


 ウルに気付いた三匹は、慌ててボロ剣やこん棒を手に木から降り立った。

 襲い掛かってくる。

 ウルは手出しをしない。

 打たれるままに剣を胸に抱きじっとしている。


「カーン、ギン! カーン、カーン、ガンガン!」


 ウルの鎧は、打たれるたびに光を放ちすぐに小さな傷など修復してしまう。

 脆弱なゴブリンたちは叩きつかれたのか、一向に倒れないウルに息も絶え絶えにお互いを見る。

 諦めたのか、一匹がカズラでウルをグルグル巻きに縛ってしまった。

 三匹は、巣への土産に担いで走り出した。


 一時遅れて、ウルたちの争っていた場所へとガルフ達が、探しに来た。

 ウルの付けていた信号弾が落ちている。

 ウルの一点も動かない足跡と周りをゴブリンたちが動き回った足跡をガルフは見た。


「うーん、おかしな足跡じゃな。これは一方的に攻撃を受けたような様子。

 倒れた様子もない。カズラの切れ端が残っている所を見ると、縛られて連れ去られたようじゃ」


「ウル!」


 ソルは、急に連れ去られたウルが心配になった。

 ガルフ達は、慎重にゴブリンたちの足跡を追う。


 深い林を行くと小さな光が落ちている。

 それは、ライトボールの魔法陣を組み込んだ紙片の一部だった。

 歩く先々で、まるで道しるべの様にぼんやりとした紙片が、ガルフ達を導いている。

 ウルは、縛られながらも魔法陣の紙を千切りながら少しずつ、目印の明かりをばら撒いている。


 山を越え、谷へと降りていく。

 谷川沿いの自然の洞穴の周りに20匹ほどのゴブリンの姿が見えた。


(あれが、ゴブリンの巣!)


 ウルが,ドサリと下ろされると洞穴から20匹ほどがワラワラと出てきた。


(うーん合わせて40匹か~、さすがに多いけれどやって見ようかな。鎧ちゃん、頼むよ!)


 大剣が鞘を押し出す様に伸びてくると、ウルを縛っていたカズラを切ってしまった。

 ウルが大剣を手に立ち上がる。

 其処には2メートル半を超える黄金で光り輝く鎧を身に付けた巨人が現れた。


「「キッ! ギギッ ギギッ!」」


 取り巻いていたゴブリン達が見上げる巨人に驚愕の声を上げる。


「さて、どっからでも掛っておいで!」


 巨人の騎士に群がるゴブリンは、さながら大カマキリにでも群がるアリのような様相を見せていた。


 ウルが、大剣を横なぎに振るうと三匹のゴブリンが吹き飛ばされていく。


「グエッ!」


 足元に取りついた一匹をまるでカエルでも踏みつぶす如き様だ。

 背中に群がったゴブリンは片手で掴むと背負い投げの様に、群れの中にと投げ飛ばす。

 力の湧き出るウルは、無我夢中で暴れまわる。


「チェスッ! チェースッ! チェースト!!」


 群れの中へと、大剣を振り回しながら飛び込んで行った。

 40匹ものゴブリンと言えども力量の差は、あまりにも大きく瞬く間に屍の山を作っていく。

 ウルが、最後の一匹を剣の腹で叩き潰すと、やっと辺りに夜の静寂が訪れた。


 戦いも終わり、月光に鎧を血に染め、大剣を地に付けたウルがたたずむ。

 其処へ、ようやくガルフ達が追い付いてきた。

 その光景にガルフは、息をのむ。


「なッ! 巨人じゃと、まずいぞ、ソル殿にげるんじゃ!」


 ガルフが、見上げる血塗られた巨人におののき、踵を返そうとする。


「ガル! 違うよ。あれはウルだよ。ウルの持っている大剣の力を使ったんだよ」


「チンッ!」


 ウルが、鯉口を剣のツバで叩くと見る間に普段のウルがそこに現れた。

 ウルがガルフ達に気付き、いつもの笑顔を見せる。


「ウル殿! すごい魔剣じゃの!」


「フフフッ、ガルちゃん、此れがあたしの本当の姿。ガルちゃんだけじゃなくて、あたしも強い事がわかったね!」


 ウルが少しだけ見栄を張って見る。


「これで、ゴブリンの群れも殲滅。果樹園も安心だね」


 ガルフが、


「洞穴の中も、確かめてみようかの」


「行ってみる?」「ちょっと怖いね」


「これだけのゴブリンを倒しておいて……」

 ソルがライトボールを浮かせて、ガルフを先頭に洞穴へと入った。


「!!」 「なにか物音がする!」


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