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袋の中の…ネズミな二人

 品々をよけて先へ進む。

 もっと情報が欲しい。

 金属や道具類 武器らしきものが置いてある感覚としては中世ヨーロッパといったあたりか。

 両刃の大剣 槍 様々なかたちの刀剣類 そして色んな文様の描かれた盾の類。 

 その先には、肉 きれいに捌かれ部位ごとにわけられた物、 血が滴り皮をはがされたままのグロテスクなもの。


 そして死骸その物 うさぎ、 イノシシ、 犬、 狼、 鹿、よく知っている獣たちもいるが見たこともないデカいトカゲ、巨大な類人猿や、うまく表現に苦しむような複雑怪奇な死骸が、たった今死んだように血をしたたらせて置いてあった。

 今にも動き出しそうな(化け物の山)気持ちの悪さを押し殺し、ぬうように先へ進むと。


(……見つけてしまった……)


「ジョニーさん! 見てくださいモンスターです。研究所の資料にあった翼竜ですよ」


 二人してその死骸に駆け寄った。

 映像で見たバケモノが目の前に横たわっていた。

 8~10メートルほどの緩やかに弧を描き黒びかりする翼の一部らしき骨格3本が一か所でつながり巨大な扇のように広がる。それぞれをつなげる群青色の黒々とした頑丈そうな被膜。


 ―――――翼の一部分だが想像できる。

 ―――――これの持ち主の怪物を。


 自分たちの世界のおとぎ話や小説、映画など、人々が思い描いた怪物が、実在する世界。


 人々の共通する意識が、あってほしいと強く願う意識が、現実を生み出すのか、それとも 遠い時間も距離もかけ離れ、すべてが違う世界の物のはずなのに現代の生き物たちの遠い記憶の断片に潜みこんでいたものなのか。


 昔から、人々が描く空想の世界に、隼人とジョニアスは自らの二本の足で立っていた。


 目の前に広がる異世界の品々、怪物たちを目にして、肌に触れ、同じ空気にふれ、同じ空間にいることを 改めて認識させられていることに 色んな感情があふれ出してきてしまい しばらくの間、動けないでいた。


 少しの冷静さを取り戻すと、辺りの静寂にとりかこまれる。あまりにもの静寂。

 自分の立てる音以外のものが、全くしないことに改めて気がつき周りをみまわした。


 音がしない、静かすぎるのだ。

 広すぎる倉庫にしても多少はなにがしかの音がもれでていてもよさそうに思うが。

 とりあえずこの場所の情報を集めるためにも、歩く 歩き回る。


(………5分………10分………!?)


(……おかしい?………置いてある品々もまばらになり、何もないゴミ一つない。

 床以外のものがない)


 品物があるのだからそれらを運び込んだ入り口を探すが、壁に沿って探そうと歩き回っているのだが、壁にすらたどりつけない。

 それに、これだけの空間を保持しているはずの柱さえない。

 いまでは、僅かな明かりさえとどかない。

 ライトの強いあかりが床だけを照らし出す。

 床以外を照らせば、ホコリ一つたたないのだろうかLEDの送り出す強い光は、何物にもぶつかることなく、遮るものもなく漆黒の闇へとただ吸い込まれていく。


「ジョニーさん、おかしな倉庫ですね?」


「ああ……もどろう……さっきの場所へ」


「……ふりだし……だな。」


 ―――――落ち着こう。  

 ―――――考える。

 ―――――この空間が異世界 


(品々があるこの周辺だけが自分の飛ばされた異世界のすべて?)


 ―――――そんな筈はない。


 今は死んではいるがこれらの怪物たちが水をのみ獲物と戦い みずみずしく動き回る、そしてこれらを仕留めんと武器を作り立ち向かう人々がいる、色あざやかな世界は、すぐそばに明るい太陽のもとに存在しているはずだ。


 ―――――この暗く果てしなく広い。

 ―――――そして閉ざされた空間。


 足元に横たわる口を大きく広げ目を見開いたまま息絶えている銀色のおおかみに視線を落として、縋るように 答えてくれと言わんばかりに問いかけてみた。



 ――――おまえはどうして死んだんだ。

 ――――おまえをここに放り込んだ者はどこにいるんだ? 

 ――――おまえはどうやってここに来た? 

 ――――おまえの仲間たちのところへ連れて行ってくれよ。


 言葉は、応える者もなくむなしく虚空に拡散してきえてしまう。


「隼人! こっちへ来い! 急げ」


 ジョニーさんの慌てた声がする。

 振り返ると、ジョニーさんの前のジャガイモの山がオレンジ色の魔法陣で包まれている。


(アッ あれは転移で見た魔法陣!)


 隼人は、駆けだすとジョニアスのいる魔法陣へと飛び込んだ。


 二人の姿が薄まっていく。


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