その弍拾伍―S.A.K.U.R.A.―
【第弍章】武士櫻の闘い
最終話ですm(_ _)m
最後まで、お楽しみ下さい!!
武家屋敷を後にした七人は、再び元来た道を戻って行く。
「くぅ……臣……お前って奴は……」
「な、急に、どうしたお前……」
先程からずっと、鼻を啜り泣いている健二郎を、怪訝な顔で見る臣。
「うぅ……俺は嬉しいんや……あの笑顔……ようやく臣ちゃんが俺らのこと、仲間って認めてくれたっちゅうことやん……」
感動と嬉しさのあまり、健二郎が袖で涙を拭った。
(臣"ちゃん"……?)
色々とつっこみどころはあるものの、そこはあえて触れずにおくことにした臣。
「鬼の目にも涙ですね……」
「あっ? 誰が鬼やねん!」
言うまでもなく、また失言した恭徳を、健二郎がすかさずギロリと睨んだ。
「うわぁ〜! だからその顔ですって!」
「おい! お前ぇ! もう一度言ってみいやぁ!」
反射的に逃げ出す恭徳を、鬼のような形相で、健二郎が鞘に収めたままの愛刀、梔子を振り上げ追いかける――
「おっ、楽しそうだな〜、おーい! 健二郎! 俺も交ぜてくれよ〜」
それを眺めていた英莉衣も、笑顔で手を振りながら月健の元へ駆け出していく。
「阿呆! 遊んでるちゃうぞ! 英莉衣!」
そう言いながら、今度は英莉衣を標的にする健二郎。完全に、この二人に遊ばれているのだった。
健二郎を鬼に、三人で繰り広げられている追いかけっこを、ただ眺めている後の四人。
(ふっ、あいつら餓鬼かよ……)
臣は呆れたようにふっと笑みを浮かべ、歩き出そうとした――その時
「っ、うっ……!?」
いきなり右肩への衝撃と共に、ぐいっと引き寄せられた。
瞬時に嫌な予感を察知した臣が、恐る恐る横を振り向くと――
その元兇が右肩に腕を回し、満面の笑みでこちらを見ているのだった。
「えへへへ」
「なっ、なんだよ、その顔は」
その男――龍二が顔を覗き込んでくるのを、気味悪そうに若干身体を引き攣らせる臣。
こういう時の龍二は――危険だ。
「だって、嬉しいんだもん。臣が初めて笑ってくれたから」
そう言いながら、龍二の顔がどんどん近づいてくる。
「ねぇ、もう一度、笑ってみせてよ」
「はっ? ぜってぇ嫌だ。というか、お前だけには一生見せない」
あまりの無茶振りに、臣は龍二の手を振りほどくと、後ずさりし始めた。
「そんなつれないこと言わないでよぉ〜」
臣が一歩下がる度に、龍二が一歩近づく。
「だから、近づくなって!」
(寧ろ、敵よりも一番、怖えーよ――!!)
「あぁ〜! 待ってよぉ〜!」
全速力で逃げ出す臣の後を、龍二も全速力で追う。
こちらも臣龍の追いかけっこが始まったようだ――
残された隊長二人は、そんな自由過ぎる五人を見つめている。
「あいつら、緊張感が解けた途端にこれだよ……」
もはやお手上げというように、両掌を上げる綾人。
と、その掌の上にひらひらと、桜の花びらが舞い落ちてきた。
ふと見上げると此処にも、何本もの桜並木があった。
行きは緊張で目にも止めなかったが、今こうして見ると改めて綺麗だと思った。
桜の森に武士櫻と、これまで幾つもの桜を目にしてきたが、やはり何度目にしても飽きることなく、桜は美しいと思うのだった。
すると、左袖を風になびかせながら、直樹がそっと綾人の右肩に手を置いた。
「綾人。こんな俺だが、今後ともよろしくな」
そう言った直樹の表情は真剣だったが、その瞳は優しい目をしていた。
綾人も凛とした表情で、直樹を見据えて言った。
「こちらこそ、まだまだ未熟者の俺だけど、今後とも隊長としても相棒としても、よろしくな。直樹」
その言葉に直樹が目尻を下げて、笑みを浮かべた。
「おう」
直樹が拳を突き出す。綾人も同じく拳を突き出すと、拳と拳を突き合わせた。
改めて隊長二人の絆が、より一層深まった気がした。
いくら個々の力が凄くとも、一人の力では限界がある。
一人より二人。二人より三人。多くの力が集まれば、無限大の力が発揮されるのだ。
桜だってそうだ。
どんなに美しくとも一輪だけではその美しさは映えることはない。無数に集まることによって美しく咲き誇る。
俺達七人は、この一瞬の生命を燃やしくし、強く生きる。
この桜のように。
綾人は桜を見上げると、そう心に誓ったのであった。
そして、再び皆の方を振り向いて言った。
「おーい! お前らも遊んでないで、早く帰るぞ〜」
そう仲間達に声をかけて、春の風吹く桜吹雪の中を。
己の信じたこの道を。
ゆっくりと歩いて行った。
【第弍章】武士櫻の闘い
遂に完結致しました!!
長らくのご愛読、誠に
ありがとうございましたm(_ _)m
ですが、武士櫻の闘いが終わっても、
三代目侍の活躍はまだまだ終わりません!
次回より番外編を挟んだあと【第参章】
スタートです!!
ぜひ、お楽しみに!!(*ΦωΦ*)




