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S.A.K.U.R.A.~蒼の魂~  作者: 猫人間
【番外編】三代目は愉快だな
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40/70

俺らの名は。(前編)

今日(投稿日)はエイプリルフール!

ということで――それに合わせて、もしも話ですw


内容はタイトルより、お察し下さいm(_ _)m


※一部キャラ崩壊しています。

苦手な方はUターンを、覚悟を決めた方はそのままお楽しみ下さいw

 その違和感を感じたのは目覚めた時からだ。


 まず何故に一糸纏わぬ姿なのだ?


 たまの猛暑日なんかは、そういう姿で眠る時もあるが、昨日は確かに寝巻きを羽織って床についたはず。


 おかしい。と頭を掻く。

 次に違和感を覚えたのは、その時だった。


 あれ? 俺の髪、こんなに長かったか?

 それは腰辺りまで長く、しかも烏の如く黒い。


 は?


 まだ寝ぼけているのだろうか。

 立ち上がろうとするが、その長髪を自分の手で押さえ、倒れてしまう。


 ――ああっ! もうなんだってんだ!


 今度こそ起き上がると、とりあえずその辺に脱ぎ散らかしてあった着物を羽織る。

 そういえば、よく見たらこの着物も俺の物ではない。

 が、何処かで目にしたような……


 まあいい。今はそんな事よりも、しっかりと目を覚まさなければ。


 寝ぼけ眼で目を擦りながら、表に出て井戸の水を汲み上げる。そして掌で水をすくい上げ、思いっきりそれを顔にかけた。

 冷たい水の感覚が、顔全体に広がっていく。


 しかし、この奇妙な違和感は何故か消える気配はない。


 もう一度、掌で水をすくい上げると、今度はゴシゴシと力いっぱい擦った。


(――痛っ!!)


 と、やたら伸びた口髭が当たる。

 おかしい。こんなにも早く伸びるとは。


 なんだ? これは夢ではないのか?


 そう思い、水面に映るそれを見た――


 ――!?


「はああああぁぁぁぁ??」


 俺の絶叫が、朝の閑静な街中に響き渡った――


 ***


 まだ朝日も昇っていない真っ白な空の下、俺は息を切らしながら、走っている――


 とりあえず、確かめなければ。

 もしそれがそうなら、あれは、ああなっているはずだ。


 閑静な街中を駆け回り、着いた先は、とある家。


 ――もう既にこの時点で、ほぼ俺の予感は確定しているのだが。


 しかし、確かめなければ。この目で、それを見ないことには。

 恐る恐る扉を開けてみると、そこには――


「うわぁぁぁぁぁぁ〜!! あぁぁ〜」


 と、半狂乱状態に陥りながら、部屋中を駆け回っている"俺"。

 いや、正しくは俺の姿をしてる、あいつだ。


(はぁ〜、やはりそういうことか……)


 俺は頭を抱え込んだ。


 と、俺に気づいた様子の、"俺"が駆け寄ってきて言った。


「あ、 俺! ってことは――"(おみ)"?」


 抱えていた頭から手を離すと、俺も力なく答えた。


「ああ、そうだよ……"龍二(りゅうじ)"」


 それは最悪な一日の始まりだった。


 ***


 つまり状況を整理すると――


 俺――鞍馬(くらま)武臣(たけおみ)は、現在、俺の所属する「三代目侍」の仲間であり、相棒でもある、この男――衣笠(きぬがさ)龍二(りゅうじ)と"心と身体"が入れ替わってしまったのである。


 そして、その原因は全くの不明だ。


 俺も非常に困惑しているが、今は自分でも驚く程、冷静だ。

 それは恐らく、目の前の男がこういう状態だからだろうが――


「わぁぁ〜、臣! 臣! 臣! 臣! どうする? どうする? どうする? どうする――」

「――お前、少し落ち着け」


 大体、俺の姿でそんなに取り乱すな。気持ち悪い。


 龍二は基本、無口で冷静な性格なのだが、時たまに、おかしな雰囲気になる時がある。

 そして、それは俺と一緒に居る時限定なのだが――


 どうせ入れ替わるのなら、せめてこいつ以外にして欲しかった。

 が、兎に角、今はそんな事を言っている場合ではなかった。


「とりあえず、皆には話す?」


 ようやく落ち着きを取り戻した隆二(見た目は俺)が、俺の顔色を伺いながら聞いてきた。


「いや、黙っていた方が無難だろう。騒ぎになるだろうし、下手すれば"うつけ"と思われて、任務を解任されるかも知れない」

「――それは、困るな……俺、この頃、懐具合が厳しいんだよ……」


 俺達三代目侍は、この街「市原虎(いちはらとら)()」の総長である鴛鴦丈芳(おしどりたけよし)、通称(たけ)さんより任務を受け、それによって報酬を貰っているのだ。

 生活していく為には、三代目侍も任務も外される訳にはいかない。


「兎に角、戻る方法を考えるぞ」


 俺は腕を組むと、龍二を見据えて言った。


「戻る方法って、どうやって?」


 龍二が身を乗り出し聞いてくる。


「ちょっと……いいか?」


 俺はそう言って真面目な顔を作ると、龍二の目の前に近付いた。


「えっ……臣……」

「じっとしてろよ……」


 覚悟を決めたように、龍二入り俺が静かに目を閉じる。

 俺がそっと、その両肩を掴むと、鼓動の音がドクドクと聞こえてきた。


 俺はゆっくりと、その顔に自分の顔を近づけていく――


 どんどん近くなっていく……

 あともう少し……もう少し……お互いその距離、零距離――


 ――ゴンッッ!!


「――い、痛ったぁぁぁぁ!!」


 と、龍二が吹っ飛んでいった。


「ちょっと! 戻る方法って、これかよ?」


 龍二がおでこを押さえ、俺の顔を睨みながら言った。

 どうやら、相当効いたようだ。俺の頭突きは。


「当たり前だろ。何を期待してたんだよ」


 それでも冷静に言葉を返す俺。


「うぐっ……」


 それ以上は何も言えなくなった龍二が、顔をほんのり赤らめて口を噤んだ。


 いや、ほんと何を考えてたんだ、お前……


 ***


「くそっ……それにしても、戻らないか……」


 俺自身も、じんじんと痛むおでこを擦りながら言った。


 衝撃を与えれば戻ると思っていた初歩的な考えは、通じなかったようだ。


「――いや、もしかしたら、"当て所"が違うだけかも知れない。おい、龍二……」

「ええっ! まだやるの? もう嫌だよ〜」

「ああっ! 待てって!」


 怯えて逃げる龍二を追いかける俺。


 これ、完全にいつもと逆転してるよな――見た目的には、そのままだが。


 閑静な街中にドタドタと響く騒音――


 そして、しばらく経った時。


「おーい! 鞍馬く〜ん! なんか、不審音がするって、街の人から通報があったんだ……け、ど――」


 通報を受け、この国の治安を守る最強の侍一味「朱雀(すざく)」の一員である滝野(たきの)鷹寛(たかひろ)さんが訪ねてきた。が、


(あ…………)


 今の俺らの状態といえば、俺が仰向けになった龍二に馬乗りになっている――つまりは、衣笠龍二が仰向けになった鞍馬武臣に馬乗りになっている。


「あっ! ごめん! お取り込み中の所、失礼しましたぁ〜!!」


 見てはいけないものを見た。そんな様子で、そそくさと逃げ帰る鷹寛さん。


(いや、待て! これは紛れもない誤解だ!)


 俺は慌ててその後を追うが、外に出ても、もうその姿は何処にもなかった。


 よりによって、一番見られたくない奴に見られた。

 鷹寛さんは朱雀の中でも一番、口が軽い。一体、何を言われるか分かったものじゃない。


(終わった……)


 俺は地面にへたりと跪くと、再び頭を抱え込んだ。


 ***


 俺は再び、自分の家に戻ると、龍二が心配そうな顔で待っていた。


「大丈夫――?」

「まあ、諸々のことは後で考えればいい」


 俺は頭を掻きむしりながら言った。


 兎に角、鷹寛さんのことは後回しだ。

 今はそれよりも――


「そういえば時間、やばいんじゃないか?」

「ああっ! ほんとだ! だけど、この姿で行くのか?」


 毎朝、卯の上刻(※午前五時)より、三代目侍全員で集まり、修行をするのだ。

 まあ、俺らはいつもの如く、遅刻して行くので、毎度隊長である朝霧綾人(あさぎりあやと)さんから説教を食らっているのだが。


「仕方ない。遅刻は毎度だが、流石に欠席する訳にはいかないだろう……この姿でやり過ごすしかない」

「上手く出来るかな……」

「やってもらうしかない。何とか皆に悟られずに過ごそう。いいか、お前は俺だ。今日一日、お前は鞍馬武臣だ」


 自信なさげな龍二に、俺は強く忠告したのであった。

 こくん。と龍二が頷くと、ふと俺の顔を見て言った。


「とりあえず、お前のその髪、きちんと一つに纏めてくれるかな? まるで落武者みたいで、俺の美顔を損ねる」


 龍二が怪訝な顔をする。

 確かに龍二はいつも、この馬の尾のように長い髪を、綺麗に一つに纏めている。

 俺にはその習慣がないので、気にはしていなかったが、それなら俺にだって言いたい事はある。


「お前こそ、爆発した玉葱みたいになってるじゃないか!」


 対する龍二の髪型(つまり俺の髪型)は、いつも後ろに固めている黄金色の髪が、無造作に広がり、正しく爆発した玉葱のようになっているのだった。


「ぶはははっ! 玉葱って……その例え最高!」


 俺の例えに、龍二がツボに入ったのか、腹を抱えて笑い出した。


「いや、笑い事じゃねぇよ……」


 この状況の中、呑気な奴だ。


「大体、何でお前、寝るとき全裸なんだよ」


 ふと、俺は疑問に思っていた事を聞いてみた。

 その途端、龍二が笑いを止め、俺を不審者でも見るかのような目つきで見てきた。


「お前――俺の裸見たのか!? 変態っ!!」

「いや、お前に言われたくないわ!」


 暫し、くだらない言い合いを繰り広げ、結局、集合時間を大幅に過ぎながらも、俺達は朝の修行に向かったのだった――

こんな感じで番外編、ゆるーく時に真面目に

スタートです!!

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