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四、邪魔者の排除
「今日も"あいつ"だけなんだろ?」
「決まってんだろ。陛下の嫌がらせだよ」
その言葉を聞いた周囲の兵たちが笑い声をあげる。だが軍長と"あいつ"の姿を目にし、皆沈黙する。
「笑ってる暇があったら見送りくらいしてやれ」
軍長の嘲りに満ちた声が響く。それを聞いた兵士たちはさらに声をあげて笑う。
少女は軍長に鋭い視線を送ると、城外へ出るために歩いていく。
「今日ですよね?」
兵のうちで少しばかり階級の高いものが軍長に問いかけた。
「ああ。ようやくあいつともおさらばだな。」
軍長が清々しいような表情を浮かべて応える。
王の命により軍長は少女の朝食に薬を盛っていた。効力はまだあらわらていないが、体力を奪い、玖穩国との戦の中で深手を負わせ、玖穩国に受け渡すためである。少女は兵士としては利用価値が大層高かった。だが、時として強過ぎる兵は脅威となりうる。国民には少女に対する国の扱いは知られていないし、表だって処刑することはできない。玖穩国との戦いで劣勢に立たされている今、玖穩に少女を渡す条約を結んでいる。故にこの方法がとられる。
兵士たちは己より若く実力のある少女に嫉妬し嫌悪さえもし、軍長も同様に思っていた。
邪魔者は城の外に出ただろう。軍長と兵たちは祝いの酒盛りをしに広間へむかった。




