雪乃②
わたしたちは気が合ったのだと思う。
部といってもやたらと癖がめんどくさい人間の集まりで、わたしは誰とも気が合わないなと思っていた。それでたいして困ることもなかったのだけど、学年は違うけど彼女とははじめから波長が合いそうな予感がしていた。彼女もそう感じていたのかもしれない。明らかに他の部員よりわたしに懐いてきた。
わたしと彼女はどこか似たもの同士で、二人ともいっこうに恋人を作る気配がなかった。厚かましいかもしれないけどお互い並以上の容姿だったと思う、特に彼女は妙に雰囲気のある、相当に綺麗な子だった。でも、部の男たちには受けがよくなかったというか、うちの部の男たちは自分でも受け入れてくれそうな相手を好む傾向があったからか、その手の浮いた話はわたしの知る限りなかった。
「瞳子は誰かとつきあいたいとかないの」
二人でチェーンの居酒屋で朝まで飲みながらそんな話もたまにした。
「ないですね。そもそも人を好きになることがほとんどないです。バレンタインデーにチョコを渡したこともないし、なんとか先輩かっこいいとか言ってキャーキャー言ったりの経験もないです」
「珍しいよね。ま、わたしも似たようなもんだけど。モテるでしょ?」
「それもたいしてないです。ちゃんと、興味ないですオーラを出して他人を巻き込まないようにしてましたから。男の人ってそういうのに割と敏感なんですよ」
「なるほどね。じゃ、一度もない?結構しっかり誰かを好きになったなんてこと」
そう聞くと、彼女は少し答えるのをためらった。
「なりかけてるのかもな、と思ったことはありますね。一度だけですけど」
「その人とはなりかけて進展しなかったの?伝えたりとかさ」
「しなかったです。彼女がいる人だったし、別につきあいたいとか振り向かせたいとかは思わなかったですし。好きかもしれないと珍しく思った相手に、向こうから求められたら何かが始まったかもしれないけど、求められないなら別にいらないかな、みたいな。この感覚わかります?」
わかるわかる、と軽く同意した。
でも、瞳子の感覚とわたしの感覚は多分違うなと思った。




