第31話 木漏れ日の欠片
由香里さんが眩しく見えて仕方がなかった。
僕にとって希望の光だった。
「拓真さん、今日は遊園地に行きませんか?」
「映画にしない?」
「映画は先週も行ったでしょう」
「そうだったね。じゃあ遊園地に行こう」
「はい」
子供のようにはしゃぐ彼女が愛おしかった。
「あの、乗り物に乗りたいです」
「ちょっと僕は怖いな」
「もう、拓真さんは怖がりなんですね」
「子供じみているからだよ」
「ふふふ」
陽射しが柔らかかった。
風もさわやかだった。
「拓真さん、新婚旅行はどこがいいですか?」
「ちょっと気が早いんじゃないか」
「もう、そんなこと言わないでください。結婚してあげませんよ」
「ごめん、ごめん」
「拓真さん、そろそろ昼食にしませんか?」
「そうだね、あのレストランへ行こう」
「はい」
胸の中が幸せで満たされていた。
「ほら、何を食べる?」
「ハンバーグ定食を食べます」
「もっと、豪華なものでいいよ」
「いえ、だって、拓真さんに無理をさせたくありませんから」
「大丈夫だよ」
「それじゃ、ビールを飲みます」
「由香里さん、お昼から飲むの? それにここは砂糖はないよ」
「もう以前の私ではありません。ビールくらい飲めるようになりました。
それに拓真さんのお酒のお供をしないといけないでしょ」
「しょうがないな」
「本当はうれしいくせに」
「ははは」
笑い声が舞った。
そして、遊園地を後にした。
幸せな余韻を残して。
僕はなぜか、空を見上げた。
さっきまで晴れていたのに、雲行きが急に怪しくなった。
やがて雨が突然降り出し、雷が低く鳴った。
なぜか、急に胸騒ぎがした。




