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残月の彼方――愛は欠けた月を満たす光  作者: 月原 悠
第三章 対峙

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第27話 死の舞踏

倉沢さん……待ってください。

ああ、由香里。そういえば、拓真という男は誰だったかな。

知りません。

そうだろう。君が想うのは誰だ。

倉沢さんです。

もうすぐ式だよ。

幸せです。

幸せです。


僕ははっと目が覚めた。

気づいたら、汗にまみれていた。

僕は思い知らされた。

もう、何もかも元には戻れないのだと。

どうしたらいいのだろうか。

その言葉ばかりが頭をよぎった。


僕は身の回りに異変が起きるのを覚悟していた。


不思議だった。

以前からあった、付きまといなどが無くなった。

それがかえって不気味だった。


やけに静かだった。


僕はまた公園に向かった。

外へ出ると、町は妙に静まり返っていた。

人の姿はあるのに、どこか遠くの景色のように思えた。


僕だけがこの世界から取り残されてしまったようだった。

それでも、足は公園へ向かっていた。

そこには、答えがあるような気がしたからだ。


公園には誰もいなかった。

ただ、手紙が置いてあった。


僕は震える手で、その手紙を開いた。


拓真さん。

もう、お別れです。

私は結婚します。

もう、ここに来ることはありません。

すみれの花を置くこともありません。

でも、でも

ごめんなさい

これ以上は書けません。


終わった。

そう思った。


僕は何もできなかった。

由香里さんに、何ひとつ届かなかった。

倉沢の手のひらの中で、踊らされていただけだった。


もう、どこをどう歩いたかも覚えていない。


気づいたら、岸壁に立っていた。

風が強かった。

足元で波の音が砕けた。

それでも不思議と怖くなかった。

ただ、疲れていた。


もう、どこへ戻ればいいのかもわからなかった。

背中を誰か押せば、すぐに楽になれそうだった。

海面を見ると、そこに由香里さんが映っているように思えた。

手を伸ばせば、届いてしまいそうだった。


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