第25話 国連軍本気出す
国連軍の総攻撃が始まったのはちょうど日の出の時間だった。まずトマホークや弾道ミサイルがダンジョン入口周辺に着弾、それに続いて無数の155ミリ榴弾、そして対地ロケット弾による攻撃が1時間ほど続き、その後航空機による爆撃が始まった。投入兵器は通常爆弾からクラスター爆弾、バンカーバスターに気化爆弾とありったけの爆弾を投入していた。普通の軍隊なら細胞レベルで消滅、ゴ○ラなら100匹ほどミンチ肉に変えるほどの火力を投入したのだった。
ダンジョンの外を徘徊していたゾンビ兵1万人は、国連軍の空爆でしごくアッサリと壊滅した。国連軍の兵士が全滅しても平気な顔をしていた政治家や民衆は自分達に被害が及びだすと俄然大騒ぎを始めて、狂ったように攻撃的になったのだ。
「へ~、スゲ~な。あれB2だよな、あっちはストライクイーグル、おっアレはユーロファイターじゃん」
そして俺はと言えば、ダンジョンを攻撃する国連軍の攻撃をTVやネットで見ていた。国連軍の攻撃はなかなか格好良く、在庫一掃処分でありったけの爆弾をダンジョンの入口周辺にばらまいていた。因みにどこで見ているのかと言えばダンジョンの外、普通に民家の中でTVを見て寛いでいた。勿論傍には何時もの3人が一緒にいた。
「ウヒョォォォォォ~!!! 格好良いィ~!!!」
潜水艦やフリーゲート艦から発射されるトマホーク、これらはきちんと時間調整されて同時刻に着弾するように発射されていた。そして新型の弾道ミサイルもデータ収集の為なのかはたまた周辺国への威嚇の為なのか知らないが、アメリカ、中国、ロシア等が発射していた。夜明け前のまだ周囲が暗いうちに空に駆け上がるミサイル郡はそれはそれは胸躍る光景だった。なにせ俺はミリオタなのだ。
「マスター、何喜んでるんですか! アレってダンジョンに対する攻撃ですよね? 悪意の塊ですよね!」
「いやまあ、そうなんだけどさ」
TVを見ているとつい興奮してしまった、暗い中で発射されるミサイルやロケットは男心をくすぐるものが有るのだ、それに実際の発射画像が良く撮影されているのだ、上手いアングルから撮れているので腕の良いカメラマンを使っているようで嬉しくなったのだ。
それにブッチャケ国連軍が何をしてもダンジョンに被害が出ないのを知ってるので、国連軍の攻撃なんて花火大会を見てる様なものだったのだ。
「むう! 邪王様、こやつ聞き捨て成らない事を言っていますぞ」
「?」
「マスターの事をボロクソ言ってるぞ、人類の敵とか馬鹿とか、色々な」
「ハハハハ、マスターが馬鹿なのは昔からですわ」
「ぐぬ~、コア。お前、飯抜きな!」
TVの画面を見ているとコメンテーターとか言う九官鳥が服を着たような奴が、俺の悪口を延々と言っていた。何時もの通り、安全な所から上から目線で下らない事を言っていた、だがこいつらは思い違いをしている、こいつ等は安全なつもりかも知れないが、俺から逃げられる人間はこの世界には存在しない。
「キング! こいつを呪え! 生きたまま腐らせろ」
「グフフフフ、お任せ下さい邪王様。こやつら全員生きたまま腐らせてやりましょうぞ」
そしてキングがTVの画面に何やら怪しげな呪文を唱えると、画面の中でニヤニヤ笑いながら俺の悪口を言っていた連中が腐りだした。ニヤニヤ笑いが止まったと思ったら、口から徐々に体が溶け出し、悲鳴を上げながら全身が腐って行ったのだ。スタジオの中は阿鼻叫喚の坩堝となった、ザマ~見ろだ。
「ワハハハ! 視聴率が爆揚げだぞ! TV局の社長は大喜びしてるだろう、そして視聴率に貢献できてこいつらも満足に違いないな! 感謝して欲しいな」
「ハハハハ、簡単に腐りますな。やはり元から中身が腐ってた様です」
「アホですね、マスターの悪口言って無事に生きられると思ったのですかね?」
「そう言えばマスターは猫被って、人間達に親切にしていたな。もしかしたらこいつ等マスターの実力を知らないんじゃないかな?」
「まあ、どうでも良いな。知ろうが知るまいがゴミ達なぞに興味は無いからな。俺は悪意には悪意を返してあげるのだ、そして俺はとても律儀なのだよ。後は・・・・・・この番組を流したスポンサーも同罪だな、判決は死刑に決まりだ」
俺の悪口を言っていた連中を腐らせた後で、番組を支援していたスポンサー会社の会長と社長をキングの呪いで腐らせた、まあ責任を取るために高い給料貰っているのだから当然だな。
そして警察や一般市民が恐怖でおののいてた頃にネットでは、今回の事件の関連性を正しく分析している者が現れた。何時もの様に新聞や警察よりもネットの住民の方が分析能力や関連性に気がつく能力が高かったのだ。
「あのコメンテーター、ダンマスの悪口いったから呪われたんじゃね?」
「んだんだ、スポンサーも殺られたみたいだからそうだろうな」
「こわすぐる、悪口言ったら死ぬのかよ。どこの魔王だよ!」
「褒めたら何かくれるのかな?」
「やってみ!」
「怖いからヤダ!」
それからTVやラジオ、そしてネット上でもダンジョンマスターに対する悪口はパタリと止まった。それどころかダンジョンに関する報道自体が無くなってしまった、余りに危険だと判断したようだった、つまり報道の得意技、報道をしない自由が炸裂したのだ。
「なんだよ、つまらね~な。ダンジョンに関する報道が無く成ったじゃん」
「本当に全然有りませんね、マスター」
「詰まらない番組ばかりですな」
「又再放送だぞ、もう飽きたな」
そして3日間に渡る空爆が終わった頃にはダンジョン入口周辺は地形が少し変わっていた。一面更地になっていたのだが、勿論ダンジョンは無傷で入口の穴は相変わらず開いていたのだ。
「さ~て、空爆の次は地上部隊の投入だな」
「また餌が来るのですか?」
「懲りない連中だな」
「再び邪王様に供え物がやって来るのですか? 信心深い連中ですな~感心しますな」
前回は1万を超える兵士達だったが、今回はもっと大勢来るだろう。それこそ湾岸以上の戦力が来るかも知れないな。なにせあの時の敵国以上の打撃を世界に加えてやったからな、それに政府の高官達は兵士は畑から幾らでも生えてくるって思ってるから、大量に投入する事にためらいは無いハズなのだ。だが兵士が大勢来るほど俺の力が増し、世界の破滅が近づいて来る事は彼等は知らなかった。




