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斜め上のダンジョンマスター・現代編  作者: ぴっぴ
第3章 ダンジョンの咆哮
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第24話 元人間の知識

「キング君、彼等は哀れだと思わないかね?」


「彼等? もしかして兵士達の事ですかな」


「そうそう、国から騙され正義の兵士かと思ったら、唯の武装強盗。そして2週間苦労して進んだ所で虫けらの様に死んでいった彼らだよ」


「哀れ、と言うより惨めですな。仕える主人を間違えましたな」


 今の世の中は平和だ、だから誰もトップの事等気にしない。誰がやっても同じ、そしていつの間にか別の人間がやっていると思っている。しかし、戦国時代では話は変わってくる、無能な上司や主君に使えると一族が死に絶える事も有れば、没落する事も有る。だから彼等はシビアに上の者を見ていた、そして無能なら直ぐに別の人間に仕える等当たり前だった、そして上の者も無能ならば配下に裏切られたり見捨てられる事が分かっていたので、自分の子供が無能だと思えば優秀な人間を養子に貰ったりして質を高める努力をしていたのだ。だから戦国時代は戦いの最中に裏切る連中が出てくる、だが此れは現代で言う転職の様なもので非難される事ではない、雇い主が見限られただけの事なのだ。

 まあ今の時代では無能でも2代目3代目になるので、大企業があっけなく潰れてゆくのだな。こういうのを見れば戦国時代の人間の方が危機管理に対しては優秀だったって事がわかるだろう。昔の人間だから馬鹿って事は無いのだ、それどころか人間は大昔から知能に差は無い、つまり人間は知識が増えただけで進化はしていないのだな。


「さて、彼等の無念を晴らしてあげようでは無いか。私は親切だからね」


「もしかして、彼等を帰してやるのですかな?」


「その通りだ、キング君。死霊術でド派手にやってくれたまえ」


 ダンジョンで死んだ兵士達の中で比較的に損傷の少ない死体にキングの死霊術を掛けてもらう。バルキリーやスケルトンに殺られた兵士達は損傷が激しすぎてゾンビ化しても満足に動けないので、そのままダンジョンに吸収した。


「常闇の世界より舞い戻りて、我に仕えよ!」


 流石はキング、死者の王と言うだけの事はあった。死んだ兵士達に術を掛けると次々に起き上がり綺麗に整列しだしたのだ。そして3分程で死霊術でゾンビ化した兵士達が約8000名程出来上がった。彼等は少し知能は落ちるが兵器を扱うだけの知能を持っていた。そしてゾンビ化しているので恐怖心は全く持っていない、人間に対する憎しみだけで動いているのだ。


「よしよし、中々良い感じだな。彼等には自分で恨みを晴らす機会をあげよう」


「成程、何時もと同じ、こちらの腹は全く痛みませぬな」


「さあ地獄から蘇りし兵士達よ、お前らを騙した人間共に復讐せよ!」


 そして完全武装のままゾンビ化した兵士達をダンジョンから外に出してあげる。ダンジョンの周辺では直ぐに激しい銃撃戦が始まった。ゾンビ化した兵士達は遠目では敵か味方か区別がつかないために、ダンジョン入口にいた国連軍の兵士達は大混乱に陥った。


 ゾンビ兵を出してから半日程でダンジョン都市に有った空港は完全に破壊され、空港には飛行機の残骸が燃え上がっていた、そしてヨロヨロと動き回るゾンビ兵達の姿が1万人を超えていた。やられるゾンビ兵も多かったが、噛み付いて仲間になった兵士の数の方が多かったのだ。ゾンビ兵は腕がもげた位では止まらない、足がちぎれても這って移動する。頭を潰されない限り動きを止めない、そして仲間を増やすので非常に厄介な魔物だった。


 だがゾンビは魔物の中ではオーク程度の低級の魔物なのだ、この世界に神聖魔法を使う人間がいれば簡単に駆逐されたのだが、この世界に神聖魔法を使える魔法使いは居なかった。これを卑怯と思う人間も居るかも知れない、だが、人間は銃を使って狩りをする。相手の獣は銃を持っていないのに、これと同じで人間が魔法を使えないのは人間が悪いので有って、俺のせいでは無いのだな、そして俺の部下は魔法を使えると言うだけの事なのだ。


 ダンジョンからゾンビ兵が出現して1日経った、ダンジョン周辺はゾンビ兵がウロウロしているが生きている人間達は居なくなった。だがこうなると人間達の方が有利に成る、生存者を断念すれば強力な兵器を使える様になる、そうすればゾンビ兵達は簡単に駆逐されるだろう。

 そこで俺はスマホを取り出して、キングの部下全員にメールを送る。俺のダンジョンに兵隊を送った国に居るキングの部下達を動かす時が来たのだ。ダンジョンに兵士を送り込んだ国は軍服で特定を済ませていたのだ、2週間ぼ~としていた訳では無い、俺だってきちんと仕事をしていたのだ。


「日は登った」


 ただこれだけのメールが世界中に大混乱を引き起こす。


「おお! キング様の役に立つ時が来た!」

「聖戦の始まりだ」

「ゆくぞ同士達よ!」


 世界中に散ったキング崇拝者達、この時が来るまで静かに潜伏をしていた者達。彼らには恐るべき資金と破壊活動の専門家によるサポートを受けさせていた。まあ、簡単に言えば専門家とは特殊部隊で専門の爆破知識や破壊活動の訓練を受けた退役軍人達の事だ、彼等は大きな声では言えないが、他国に潜入して破壊活動をして国を傾ける訓練を受けている、彼等がその気になれば小さな国は簡単にクーデターが起きたり、GDPが半分になったりする。


 今回のダンジョン占領を企んだ連中は、兵士や平民が何人死のうが全く興味がない連中だ。彼等は自分の金が減らない限り眉一つ動かさない、珠に善人のフリをする為に綺麗事を言ってみたり、慈善事業に金を寄付する位だ。だから今回はその手の連中を攻撃する、奴らの資産や持っている会社に大打撃を与えて悲鳴を上げさせてやるのだ、アイツ等は金が減るのを死ぬより嫌がるからな。


 で、どうやったかと言うと。インフラの同時多発攻撃、単発の攻撃なんて大した影響は無いので一度に多くの戦略的目標をぶっ壊す、国をひっくり返す時に行う攻撃はかなりエグい攻撃になる。例えば道路に穴を開けても、簡単に修復されるので効果が薄い。だが同じ量の爆薬で発電施設のタービンを破壊すると、直すのに非常に時間が掛かる。そして発電施設が稼働するまで工場は閉鎖、市民は電気の無い生活を与儀なくされるのだ。これと同じ事を橋、通信施設、ダム、鉄橋等で行うと国の経済活動が停止してしまうのだ。

 おれのダンジョンに攻撃を仕掛けてきた国のインフラは1日で半分程破壊された、そして電力、通信、食品の輸送が止まりGDPの2割近くが吹っ飛び、株価がワロス曲線を描いた。


「ハハハハ、わろす曲線になってやんの」


「なんだそれは?」


「飯が美味い曲線の事だ」


「何だかお腹が減りましたわ、マスター」

「私もだ」


「それじゃ、すき焼きでも作るか。相手もそろそろブチ切れる頃だからな、面白くなるぞ」


 世界中でキングの部下が起こしたインフラの破壊で、世界経済は曲がり角を迎えてしまった。政治家やマスコミを飼っている者たちは金持ちだが、持ってる額が大きいので又失う金額も膨大なのだ。兵士が死んでも平気な彼らも、金が減れば血の涙を流して怒り狂うのだった。そして平民たちは失業に苦しみ、食料品の不足から暴動を起こす者達が現れ、世界は闇に包まれた。

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