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斜め上のダンジョンマスター・現代編  作者: ぴっぴ
第3章 ダンジョンの咆哮
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第23話 ダンジョンの咆哮

 ダンジョン地下15階層、ここは灼熱の砂漠地帯。気温50度湿度0%、そして歩くたびに足首まで埋まるさらさらの砂。ここまで進軍してきた国連兵士達は疲弊していた、敵が出ないのだけが救いなのだが、敵の姿が見えないので緊張感も又全然持てない、ただ疲労だけが蓄積していった。そして偵察用のドローンを飛ばしてみても砂漠の終わりは見えなかった。


「一体何処まで続くんだ、この砂漠に終わりが有るのか」

「水と食料が持つのか? 補給部隊が来るのを待った方が良いんじゃ無いか」


 ダンジョン地下5階層から延々と歩かされている兵士達は、終わりのない行軍に疲れ果てていた。草の1本も生えていない砂漠は偉く見通しが良い、敵が現れても直ぐに発見出来る。そういう油断も有ったし、いままで敵が1体も現れていない油断も有った、勿論こう言う状況を創り出すために全て仕組まれていたのだが。


「キング、刈り取れ」


「邪王様の御心のままに」


 彼等の頭上、太陽に隠れた位置にキングが突然転移する。そして兵士が誰も気がついて居ない状態で未知の暗黒魔法を発動させる。


「デス・ストーム!」


 キングの広域殲滅魔法デス・ストームがよろよろ歩いている歩兵100名に襲いかかる、光魔法を使える高位の聖職者か暗黒魔法をレジストする高価な魔道具を持っていれば彼等は死ななかったのだが、残念ながら彼等はどちらも持っていなかった。だから黒い風が通り過ぎた後に残ったのは死んだ兵士だけだった。


「脆いですな、何しに来たんでしょうな連中は?」


「勿論俺様のポイントになる為に来たのだ、彼等は世界からの贈り物なのだ」


「成程、流石は邪王様、勝手に捧げ物が来るとは素晴らしい。神と同等の存在では有りませんか! 吾輩一生着いてゆきますぞ!」


「フハハハハ、此れ位で喜ぶなキング。次行くぞ、全員殺してやるのだ!」


 ダンジョンに国連軍が入り込んで2週間、ダンジョンに新たに入ってくる人間が居なくなった、そこでこれ以上は儲からないと気がついた俺は攻撃を開始した。既に彼等は十分なポイントを俺に捧げてくれていたし、すごい量の物資をダンジョン内に運び込んでくれていたのだ。


 次々にキングによる虐殺が始まった、キングのデス・ストームがダンジョン内に吹き荒れ、黒い風を浴びた兵士達は一瞬で魂を吸い取られて死んでゆく。悲鳴を上げる時間もない無慈悲な魔法攻撃だった。そして他の階層でもコアとバルキリーによる虐殺が始まっていた。


 ダンジョン地下14階層、ここは砂漠地帯の前にある草原の階層。膝丈程の足に絡みつく草が生えているだけの階層、無論魔物は1匹も居ない、ただ歩きにくいだけの階層だった。そして此処は砂漠地帯の前の部屋と言う事で今では国連軍が物資を大量に蓄積するベースキャンプに成っていた、ここに蓄えた大量の物資を使って国連軍は砂漠を横断しようと考えていたのだ。

 必死に荷物を背負ってヨロヨロ歩いて来る兵士や、物資を集積所に置いて休息を取る兵士達約3千人、その上空にいきなりコアが転移してきた。


「ゴミ共が捧げ物を持って来たようですわね、中々関心な事です。楽に殺して差し上げましょう」


 コアの右手に有るのは神槍ゲイボルグ、必中・必殺・猛毒の力を持つ神の武器。その力は人間の想像を遥かに超える威力を持っていた。ダンジョンが現れた初期に、偵察に来たグローバルホークを落としたのもこの武器だ、ゲイボルクは持ち主が敵と判断した敵に確実に命中するのだった。


「マルチロック、敵兵3千名確認。神槍ゲイボルクによる攻撃を開始します」


 コアの右手から放たれたゲイボルクは空高く舞い上がりそして分裂した、敵の数と同じだけの数に分裂したゲイボルクは目標の敵へと光の速さで突き進む。兵士達が神の盾・イージスを持っていたなら防げたかも知れない、もしくは転移して他の世界に逃げたなら助かる可能性も有ったのだが、残念ながら彼等は神の盾も持ってないし、異世界に転移する能力も無かった、だから彼等は僅か2秒で全員胸に大穴を開けられて全滅した。


「敵性生物の全滅を確認、1950万ポイントゲットです」


 そして地下13階層、ここにはバルキリーが現れた。彼女は後ろからでは無く国連軍の兵士達の正面に転移した、そして全員に聞こえる様に魔力を帯びた声で名乗りを上げた。


「聞け! 神聖なダンジョンに武器を持って入る不届き者共。聖なるダンジョンに入る無頼の者共は神の敵! このバルキリーが正義の鉄槌を下す、盗賊らしく惨めに死ね!」


「何だ! あれ」

「天使!?」

「えっ、俺達は正義じゃないのか?」


 国連軍の兵士達は、国の政治家やマスコミに正義の使者だと持ち上げられてダンジョンに攻めてきたのだ。世界の人間の為にダンジョンを制圧するのだと思っている兵士が大半だった。彼等は金で飼われた政治家やマスコミの言う事を信じた愚か者達だった、彼等は自分の愚かさを自分の命で払うのだ。


「行くぞ! 耐えて見せろ! 愚か者共」


 イージスの盾を構え、神剣バルムンクを構えたバルキリーが背中の純白の羽を大きく広げる。そして音速を超える速度で兵士達に襲いかかる。全ての攻撃を跳ね返す神の盾イージスに当たった兵士は真っ赤な霧になり爆散する、そしてバルムンクに切られた兵士は真っ二つになり絶命する。音速を超えて飛ぶバルキリーが傍を通り過ぎると人間は衝撃波で口や鼻から血を吹き出し死んでゆく、攻撃したくても地上スレスレを音速を超える速度で移動するバルキリーを捉えられる武器は無かった。

 そして僅か5分で地下13階層を移動していた国連軍2千名は全滅する。バルキリーからしてみれば国連軍の兵士など蟻が行列を作って移動しているのと変わらないのだ。


 そして一番悲惨な戦いの階層、地下12階層。ここは国連軍の兵士の迎撃にスケルトンの部隊が当たっていた。スケルトン達はダンジョンマスターのお気に入り、毎日ダンジョンマスターの訓練を受けたスケルトン軍団500匹は銃器を持っていた、それも国連軍が持っている豆鉄砲では無く大口径の小銃と重火器が標準装備なのだ、敵を傷つけるのではなく殲滅が目的なので当然の装備だった。


「何だあいつ等、玉が当たっても死なね~!」

「何で死なないんだよ!」


 体にスライムを纏ったスケルトンmarkⅡ、小口径の銃弾などものともせずに大口径の小銃を国連軍に向けて撃ちまくる、怯えて頭を隠して銃を撃つ国連軍の銃弾は殆ど当たらない。そしてスケルトンmarkⅢは人間を遥かに超える力で重機関銃を手に持って撃ちまくる、そして更にスケルトン部隊の隊長のデスナイトは20ミリの機関砲を両手に持って撃っていた。

 そして当然の様に全滅する国連軍兵士達、重いからと言う理由でボディアーマーを脱ぎ捨て、同じく重いからと言う理由で小口径の武器に持ち替えた兵士達はあっけなく敗れ去った。そして他の階層の国連軍もキングやコア、そしてバルキリーによってアットいう間に殲滅された。

 牙を剥いたダンジョンは国連軍の兵士を僅か1時間で殲滅、ダンジョンの被害はスケルトンmarkⅡ4体のみであった。


「マスター、殲滅完了です」


「良し、それでは次の作戦に移る」


「グフフフフ、敵を殲滅して更に追い討ちを掛けるとは素晴らしい。ひと欠片の甘さもございませんな邪王様」


「うむ、追撃は基本だな」


 ここが普通のダンジョンであったなら、ダンジョンに侵入した兵士の全滅で事は終わっただろう。しかし、このダンジョンのマスターは昔人間だった、だから魔物と違い更に恐ろしい考えを持っているのだ。

 

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