表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
斜め上のダンジョンマスター・現代編  作者: ぴっぴ
第3章 ダンジョンの咆哮
23/33

第22話 ハーメルンの笛

 国連軍が出来上がって俺のダンジョンに攻め込んで来たのは、俺が国連勧告を蹴った1ヶ月後だった。遅いと思うかも知れないが湾岸戦争ではもっと集結や物資の移動に時間が掛かった事を考えると、裏に居る連中は俺のダンジョンが物凄く欲しいって事が良く分かる。

 そしてダンジョンの外に国連軍が集結していることは当然気がついていた、だが俺はそのまま素直に集結させてやった。何故ならダンジョンの外で殺しても俺が儲からないからだ、そして国連軍の連中は犠牲も妨害も無しに集結出来たので大喜びしていた。彼等は俺が怯えてダンジョンに閉じこもっていると思ったのだ。

 多分俺が日本人なのが世界中にバレている事も影響しているのかも知れない、日本人は脅せば何でも言う事を聞くと思われているのだろう、残念ながら俺はそういう日本人では無いのだ、脅すと怒り出して反撃する昔の日本人なのだな。


「始まったな」


「沢山いますね、マスター。食べて良いですか?」


「まだ駄目だコア、出来るだけ利用してから美味しく頂くのだ」


 ダンジョン最深部で俺やコアは国連軍の動向を探っている、人間達には地下3階層までしか見せていないので、彼等はダンジョンの正体を知らない。そして彼等がダンジョンに入ると少しずつ彼等の生命力を頂いてダンジョンのポイントに変換される事等彼等は知らない。つまり多くの人間が攻めてくれば来るほどダンジョンは強くなるのだ。


 国連軍は妨害を受けずにダンジョンに突入してきた、色々な国の兵士達がそれぞれの国で固まって動いている、そして彼等は地下2階層にゾクゾクと集まり、国ごとに兵士達を再編成していた。気の早い国の兵士達は集まると直ぐに進みだす。金の有る国の軍隊は車両を持ち込んでいた、歩くより早くて安全に移動出来る、車には40ミリのグレネードや重機関銃等を装備して火力を上げて魔物対策をしている。


「ふ~ん、車を使って移動するつもりなんだな、考えが甘いな」


「どうしますかマスター?」


「地下4階層はそのまま、地下5階層を凸凹にする、キャタピラの無い車両は凹凸が激しいと動けなくなるからな」


 彼等はダンジョンの構造を俺が簡単に変えられる事を知らない、そして俺は人間なので彼等の戦い方も軍隊の運営方法も知っているのだ。勿論彼等の使う車両の弱点も当然知っている。車輪の付いた車両の走破性能は舗装路は早いが、泥沼や波状路では極端に性能が低下するのだ。


 車に荷物を満載してダンジョンの中を悠々と進む国連軍、重い物資を大量に運べる上に速い、そして兵士が疲れないので戦闘に入っても楽チンなのだ。それに交戦状態になった時に車の影に隠れたり、車に乗せている、人が持てない重火器で攻撃する事も出来る、現代の歩兵は歩いたりしない。

 暗いダンジョン地下2階層と地下3階層を車に乗って楽々突破した国連軍、両方共40キロ四方位の広さが有るので、人が装備を担いで移動すると1日以上掛かるのだが、彼等は半日で地下4階層までやって来た。


「さて、ここからは未知の階層だ、油断するなよ」


 地下4階層に続く階段を車で降りながら、先頭の部隊の隊長が部下たちを叱咤する。ここまで全く反撃も妨害も受けていないので部下達の気が緩んでいるのだ。このダンジョン攻略部隊に選ばれた兵士達は一応各国のエリート達だ、それに他の国の兵士に無様な所は見せられない、国の威信もかかっているのだ。


「ウギャ~!!!」


「どうした!? 何が起こった!」


 先頭の車両が入って直ぐに有るトラップに引っかかった。地下4階層には無数の落とし穴が仕掛けている、そして普通の落とし穴と違ってデカイくて深いのだ。俺のダンジョンレベルが上がれば作れる落とし穴も大きく深く成るのだ、地下4階に作ってある落とし穴の深さは大体直径10メートル深さ10メートル、そして底には無数の毒付きの槍が仕掛けている、人や車を軽々と飲み込む落とし穴なのだ。


「5人の死亡確認、9万ポイント入ります」


「へ~、5人で9万ポイントとか凄いな。彼等は魔物を倒してレベルアップしてる兵士達だな」


 地下4階層に降りた兵士達の移動速度は極端に落ちた、車でスイスイ移動出来なくなったのだ。これが地面に埋められてる地雷とかなら対抗策は幾らでも有るのだが、落とし穴を発見するのは大変だった。兵士が車の前を先導して地面を叩きながら進まなければ成らない、これによって移動速度が時速2キロ位まで落ちてしまった。そして落とし穴を発見しても、迂回して進まなければならないので、有るだけで非常に迷惑なのが落とし穴なのだった。


 だが彼等はまだ幸せなのに気がついていない、水や食料等を車に積んでいるので、ただ歩くだけで済んでいるのだ、普通の兵士は行軍時には50キロ程の荷物を持って移動する。これを車が運んでくれているのだ、兵士にとっては非常に有難いのが、車なのだ。


 そして地下5階層、地面が1m程凹んでいたり、1m程盛り上がったりしている。つまり車は使えない、兵士達は車に積んでいた荷物を担いで進む事になった。そして地下5階層は迷路に成っている、狭い道を荷物を担いでヨタヨタ進むしか無いのだ。


「あっ、また落とし穴に落ちました。8万ポイントゲットです。マスター」


「地雷原と同じで匍匐前進すれば死なないのにな、あいつ等落とし穴を舐めてるから死ぬんだよ」


 大量の兵士が入ってきてるので、中には注意力散漫な兵士もいる、そいつらは簡単に落とし穴に落ちてポイントに変わっていった。そして地下5階層からは車両が使え無くなったために、重い荷物を担ぎ、凸凹の地面の迷路の中を進むので兵士の移動速度は極端に落ちた。


 それでも国連軍の兵士達は長い時間を懸けて各階層を進んで行った、楽だったのは車を使えた地下2階と3階だけ、それ以後は緊張しながらの行軍だった。約1週間懸けて地下10階層まで来たのだった。


「コア、アイツ等が入って来て1週間経ったな。今ダンジョンの中にあいつ等は何人居るんだ?」


「今現在ダンジョン内に1万3千412人居ます、ここまでの死亡者は269人です。一日平均ダンジョンポイントは1670万ポイントです。大儲けですマスター」


「1日平均ポイントが1670万って事は、あいつ等皆殺しにすれば1億6千万ポイントになるのか、大儲けだな」


「そろそろ刈り取るか? マスター」


「もうチョットポイントが欲しいな」


「グフフフ、流石は邪王様、欲が深い。尊敬致します」


 ダンジョン内の兵士や各国の首脳達は誰も知らないが、ダンジョン内に1日居れば本来のポイントの1割をダンジョンに吸い取られるのだ、だからダンジョンの攻略は少数精鋭で行わなくては成らないのは異世界では常識だった。だからわざわざ勇者が居て少人数でダンジョンを攻略していたのだ。


 そして更に恐ろしいのは彼等が全滅しても、キングを呼び出すポイントには届かない事だ。キングを呼び出すダンジョンポイントは10億、つまり普通の人間10万人の命と同等なのがキングなのだ。たかだか1万ポイント程度の力しか持たない兵士達等が何人いても無駄なのだ、そもそも力の桁が違う。戦車相手に水鉄砲で勝負を挑む様なものなのだった。


 ピィィ~!!!!


 ダンジョンにけたたましい笛の音が鳴り響く。部隊の隊長が注目を集めるために笛を吹いて居るのだ、これによってダラダラ休息していた兵士達の注目が隊長に集まった。


「さっさと尻を上げろ! 休憩は終わりだ、全軍進め~!」


 ピッ! ピッ! ピッ! ピッ!


「左! 右! 左・右!」


 隊長の号令に合わせて行軍する兵士達、みんなで歩調を合わせて元気よく進んで行く。この時には隊長の笛がハーメルンの笛で有る事に誰ひとり気がついて居なかった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ