第10話 ダンジョンカンパニー
半年程前から世界に突如現れたダンジョンカンパニー、謎の資金をバックに世界中の会社を買いあさり今では世界的な企業になっていた。そして何故だか世界中の政府が喜んでダンジョンカンパニーの株を買いあさり、ダンジョンカンパニーは今や世界で最高の収益と株価を持つ企業へと育ちつつ有った。
そしてダンジョンカンパニーの会長と社長がダンジョン最深部で牛丼を食べながら、経営戦略会議と言う名の無駄話をしていた。因みに牛丼は最近はすき〇にしている、安くてサービスが良いのだ、よしの〇は安易に値上げばかりするから最近は食わなくなった、こうやって勘違いした企業は業績が悪化するのだ。
「なあ、謎の企業って言ってるけど、丸分かりだよね」
「そうですね、バックにアメリカ政府やイギリス政府、それにフランスやイタリアまで居ますからモロバレだと思いますよ」
「いやいや、バックとかじゃなくてさ、名前で既にバレてるじゃん。ダンジョンって堂々と名乗ってるし」
「此れはあれだな、皆知ってるけど、それが誰かは知らないって奴だ。大昔の歌にも有ったしな」
「どうぞ、ジョンさん。お茶がはいりましたよ、アールグレイです」
「有難うコア子さん、相変わらず美しい」
「でさ、昔の特撮ってウルトラ○ンとかセヴ○とか今見ると凄くシュールでさ・・・・・・」
「ジョンさん、マスターが昔話を始めると長くなりますから、帰った方が良いですよ」
「そうだね、忙しいから僕は帰るね! マスターには上手く言っといてね」
さてここでダンジョンカンパニーの事を少し説明しよう。ダンジョンカンパニーとは一体何をしている会社なのか? 何故年商1兆円を超えるのか。
ダンジョンカンパニーとは一言で言えば訳が分からない不思議な会社なのだ。取り扱い商品が不思議な薬だったり、食べると元気が出る不思議な草とか、食べると毒が消える不思議な草とか、訳が分からないが確実に効果が有る変な物を売っているのだ。そして効果がハッキリしているので雑草の様な草が1本1万円とかするのだが、限定販売なので直ぐに売り切れてしまうのだ。
そして最近はダンジョン饅頭、とかコア子特性お守り、そしてコア子の握手券付き音楽CD等が売りだされたのだ。特の酷いのはコア子の握手券付きCDだ、1枚1万円、限定100万枚がネットで販売開始して僅か10秒で完売したのだ。そして握手券は全部で100枚しか入っていなかった事から、握手券はネットオークションで1枚1億ドルの値段がついたと言う曰くつきのCDだった。買った者に言わせるとコア子様の歌が聞けるなら1枚1万円はタダの様なものって言う話だった。
そしてこれに味をしめたダンジョンカンパニーは第2弾として、バルキリー特性ダンスDVDを販売開始した、超絶美人バルキリーが踊ってると言うか、剣の演舞をしている10分程のDVDなのだが、これもバルキリー握手券付きで1枚2万円、限定100万枚だったのだが、ネットで販売開始後5秒で売り切れた。握手券狙いの転売屋や、バルキリーの信者が先を争って買ったのだ。そしてこれまた当たり券が100枚しか入っていないと言う鬼畜仕様のDVDだった。この時の握手券を巡って盗難事件や殺人事件まで起きたのは有名だ。
そして今世紀最大の問題DVDが発売された、(キングによる誰にでも分かる魔法の基礎 その1)と言うものだが、キングが実際に魔法を使っている場面が映っていて、それをコア子が解説していると言う問題作だった。これまたキングとの食事券付きで1枚10万円、世界限定100万枚だったが、販売開始2秒で全て売り切れた。勿論転売目的の転売屋もいたが、本物の魔法に興味のある人間たちやキングを密かに祭っている信者達が先を争って買ったためだ。
まあ大体ダンジョンカンパニーとはこう言う商品を扱っている会社だった、元値が殆どゼロの物を高く売って大儲けしている企業なのだ、だがこの世界に彼等の会社の変わりは居ないと言う強みを持っていた。
「ヘイ! マスター、ハリウッドからキングのディナーショウの映像化の話が来てるよ。金なら幾らでも出すから次のショウの映像の撮影と映像の使用許可が欲しいってさ」
「あ~、あれか~」
キングのディナーショウ、最初はキングの姿にビビってた参加者だが、キングは元々ノーライフキングって言う本物のアンデッドの王様なのだ、その身に付いた王者の威厳、そして博識と面白いトーク、そして恐るべき魔法で参加者を大喜びさせたのだ。そして参加者は全てキングの信者と成ってしまったと言う曰くつきのディナーショウなのだ。これはワンナイトマジックとして参加者全員が世界中に拡散した為に、世界一ミステリアスなショウとして世界中に広がったのだ。そしてこれを知ったアラブの王族が次の参加引換券を1億ドルで買うと宣言した為に、いまや世界中の転売屋がネットに注目しているのだった。
「どうするかな~、いっそのこと俺が本でも書いてキングの晩餐会の参加券でも付けようかな。そうすれば俺の本がベストセラーだよな~、でも誰も読んでくれないから虚しいよな・・・・・・」
「マスターが本を書いたらベストセラーは間違いないよ、ダンジョン招待券を付ければ良いよ。入場料を取れば2度美味しいし、お土産売りつけたら3度美味しいよ!」
「う~ん、鬼畜だよな」
「マスター、私もお手伝いいたしますわ。マスターの詰まらない本を買ってくれた方に私のサインを進呈いたしましょう」
「私も協力しよう、私は退屈なマスターの本を買ってくれた読者と握手してやろう」
「マスター、吾輩も微力ながら強力致します、吾輩敬愛するマスターの本を10万冊程買わせていただきますぞ、な~に金などディナーショウで幾らでも稼げますからな」
「チクショ~!! お前ら全員俺を馬鹿にしやがって! 俺だって本気を出せば・・・・・・」
「ほ~、本気を出せば何でしょう?」
「何でもね~よ」
そしてブンむくれたマスターはダンジョン最深部に閉じこもって3日程出てこなかったと言う。