第9話 笑うダンジョンマスター
地下2階層、そこにキャンプを張って調査しているアメリカの調査団。彼等が住むようになったお陰でポイントが入るようになってきたので、今日から地下2階層の照明をつけることにした。照明と言ってもダンジョンなので地上の照明とは訳が違うのだ、ここの照明とはダンジョンの天井に太陽を創り出す不思議な現象なのだ。
「コア、頼むわ」
「はい、マスター。光あれ!」
「「「「「「ウオオォ~!!!!!」」」」」
「ジーザス!」
「何だこれは!」
「奇跡だ!」
「どうなっているんだ、何故だ!」
今まで暗かった地下2階層に太陽が昇ると、調査団の全員がどよめいた。中には跪いて祈っている者もいた。まあどう見ても此れは現代の奇跡だわな。そして奇跡を起こしたのは俺だ、正確にはコアの能力なのだが傍から見れば俺がやった様に見えるのだ。
そして地下2回層の全貌が見えるようになった。地下2回層は以前異世界の人間達を50万人程を受け入れていたので、草原、川、農場等を完備していて。ここだけで自給自足出来る空間になっているのだ。そして広さも40キロ四方と言う広さを持っていた。
「凄い!」
「素晴らしい! 夢の技術だ! ノーベル賞100個に匹敵する!」
「神よ、私は奇跡を見ました。感謝します」
「人類の未来は此処に有る!」
そして何やら科学者達に好評なのに気がついたコア子は、背中から羽を出し、宙に浮かんで科学者達に何やら言い出した。
「マスターの偉大さが分かりましたか? 全ての人類は我がダンジョンマスターにひれ伏すのです。されば祝福を与えましょう」
おいおい、一体何言ってるだ。俺は世界征服とかしないからな、メンドくさいだろうが。神様みたいに毎日あれをしてくれ、これをしてくれって言われるのは嫌だぞ。
そして現実主義のハズの科学者達がコア子に跪いて祈っている。現実主義者ゆえに自分の目で見た奇跡と背中から白い羽を生やし、宙に浮かびながら微笑むコアに負けたのだ。
「ホホホホホ~!! 中々素直なクソ虫共ですわね。祝福を与えましょう」
そして彼女は何やら光ると跪いている科学者に何かの魔法を掛けた、魔法を掛けられた科学者は涙を流して感動していた。あれは確かヒールとか言う、少し元気が出る魔法だったと思う、疲労回復、体力アップ効果が有ったハズだが、手も触れずに体から力が湧き上がってきた科学者達は驚いた事だろう。
そしてアメリカのダンジョン調査団100名は全員コア子の子分になった。
「ヘイ! マスター、イタリアからデカイ貢物が来てるぜ」
「へえ、何だろうな?」
アメリカの調査団がダンジョン内で活動を始めた結果、蚊帳の外に置かれていた国が慌てて俺と友好関係を結びたいと思って色々な物を送って来だしたのだ。アメリカの調査団はダンジョンで得た知識をどこにも公表しないで自分達だけで研究していた。これは普通では有り得ない事なのだ、科学者って奴は自己顕示欲が高く、何か見つけたら直ぐに技術雑誌に発表して世間に認めてもらおうとするのだ、そして評判を勝ち取ったら予算が貰えるので、その金で更に研究するのだ。
「うほ~! カウンタックとフェラーリじゃん! 気に入った、イタリアの参加を認めようじゃないか」
「単純だなマスター、そんな物幾らでも買える金持ってるじゃないか」
「いいのいいの、俺スパゲティ好きだから。こっちに来たら本物を食わせてもらえるだろ」
「何だ、美味い物が食えるのか? マスター」
「おう、バル子か。今度来る国には期待できるぞ。あそこは食物と女だけには真剣な国だからな!」
「ほほう、それは楽しみだ」
バルキリーのバル子はポイントが貯まったので、封印状態を解除されて今では何時も通り、俺の護衛をしている。いつの間にかいなくなり、調査団の連中に何か貰ったりしている様だが、食物の話になると何処からともなく現れる不思議な美女戦士だった。そして彼女は調査団の人気でもコア子を抜いて1番人気だった、身長180cmで引き締まった体、鋭い目つき、そして金髪で青い瞳。映画の世界でも彼女の様な美女は少ないだろう、化粧もCG処理も全く無しで絶世の美人さんなのだ、たまに背中から白い羽を生やして空を飛んでいるのも高得点に違いない、祈りを上げる者も多かったからな。
アメリカの調査団を受け入れてから半年程経った。今では俺のダンジョンの2階層には20ヵ国の調査団が住み着いてダンジョンの調査をしていた、そしてダンジョンの入口には調査団のバックアップ用の街が出来ていて1万人程の人間達が住み着いて居た。日本政府は勝手に住み着いた連中に抗議をしていたが、何せ世界中の人間が住み着いて居るので、抗議をしても国連で勝手に住んで良いと言う国連決議案を採択されて涙目になっていた。たかが1国が何を言っても200ヵ国を敵に回したら数の暴力で泣き寝入りするしか無いのだ。
「へいマスター、アメリカ政府から面白い提案が来てるぜ!」
「面白い?」
「日本から独立するなら友好国30国と共に応援するってさ、どうする?」
「独立って、俺のダンジョンが国になるのか? 唯の穴だぞ」
「良いんじゃないの、小さな国だって有るんだし。ダンジョンの中の面積を全部合わせれば小さな国には勝てそうな位広いでしょ」
なんとまあ魂消た話になったもんだ、俺に国を起こせって言う奴が現れるとはびっくりした。そもそも国ってなんだ? 世界中の国は元から有ったものじゃ無いのか? そう言えば出来てからまだ百年にも成らない国が幾つか有ったな、でも住んでる人間は昔から居た訳だしな~。そんな事を考えた事も無かった俺は結論を出すことが出来なかった。まあ本音を言えば面倒そうだから嫌だったのだ、だってそうだろ。今でも好き勝手に出来ているのに、無駄に仕事や付き合いが増えるのは馬鹿らしいだろ?
「保留にしといてくれ」
「良いのかい? 王様になれるチャンスだよ。王様に成りたくて戦争する連中だって大勢居るって言うのに欲が無いね~」
「仕事嫌いだからな俺は! フラフラしながら楽しく生きる主義なんだよ」
自信満々で働かない宣言をするダンジョンマスター、確かに全然働かないで生活していた。彼はダンジョンに住んでいる人達から貰えるダンジョンポイントで生活していたのだ。そして驚くことに、ダンジョンポイント1000ポイントで作れるポーションをオークションに出し、既に1兆円近い利益を出し、世界中の会社を買いまくり儲けていたのだ。今やジョンも20社の会社の社長をしており、ダンジョンカンパニーは徐々に世界中に進出しようとしていた。




