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✧白面金色との邂逅、それの旅。:其の一。

新幹線で栃木駅に着いてから、少しだけ休憩することにした。まあ、お昼時だったのもあって駅前はごった返していたが、京都の観光客の量に比べたらまあマシなものだった。駅のフードコートに入ってご飯を食べることにしたけど案の定綾姫ちゃんは頼み方がわからなかったから泰嗣さんに全振りしてた。で、私がご飯のお金を出し惜しんでるところをわかってたのか、ぼくが出すよ〜っていって三人分頼んでくれた。

「あーそういえば、君の名前、聞いてなかったね。自己紹介タイム〜。ぼくからね。ぼくは前に言ったとおり、倉橋泰嗣。二八歳、陰陽師でーす」

 ぽろっと泰嗣さんが言った。あ、そう言えば言ってなかったな。忘れてた。というよりなんで今まで聞かなかったんだ、いや言わなかった私も私か。

「私、御愛鈴創葉って言います。十六歳、学生……です。」

「なんじゃ改まって。……まあ名は土御門綾姫、元陰陽師、かのう?」

 倉橋と土御門。よく陰陽師モノで聞く名前だなぁ。……というか目の前にいるのがその陰陽師、なのか。実感沸かないなぁ。

「あはは、創葉ちゃん、そんな改まらないでいいよ。ぼくのことは適当に呼んで」

 へらり、と笑って見せる泰嗣さんの顔はいわゆる二枚目?って言葉が似合うようなイケメンだった。なんだか、可愛い元陰陽師とイケメンの現陰陽師に囲まれてる一般人なのかーって思って、少しだけ肩身が狭い。少しだけ肩をすくめて笑ってから、うどんをすする。それを察したのか隣の席の綾姫ちゃんは少しだけ小突いてきて、泰嗣さんはおかずを一つ分けてくれた。なんだか、遠いものが急に近くに来た感じがしたけれど、相手がどうにも優しくて、受け入れてしまってる自分が居ることに気付いて、少しだけ嬉しくなった。

 ――

 休憩も終わったところで、また電車に乗る。今度は那須町への電車。那須町なんて、名前も知らなかったなぁとか思いながら電車に乗りこむ。泰嗣さんが前もって用意してくれていたグリーン席で割と快適な電車旅だった。ここまで用意周到な泰嗣さんは何者なんだろう、って思うと同時に、その泰嗣さんがそこまで慕ってる?恋してる?わかんないけど、そんな綾姫ちゃんはもっと何者なんだろう?って少しだけよぎった。いまのところは、バイト先のオーナーってことにしておいたけど。

 こんどの電車では綾姫ちゃんは、さっきのよりは遅いのうとぼやいて退屈そうにして、泰嗣さんは長い脚を邪魔そうに折りたたんでた。何回か乗り継いで着いたころには私は少しだけ酔っていて、水を浴びるように飲んでた。そしてしばらくして落ち着いたあと、とりあえずで止まる宿に向かう。

「……泰次さんって、すごい用意周到ですよね。……というかどこからそのお金が……?」

「ふふふー、まあ陰陽寮って公共機関だからさお給料はずむんだよね〜。ちなみに曙宵誰彼堂の資金もぼくが支えてるよ。」

 そうなんだ。陰陽寮、恐るべし。つまり私のお給料も泰嗣さんのお金から出てるんだ……

「いつもありがとうございます」

「いいのいいの」

「ふん、助かった……とは言っておこうかの」

「え!珍しいなぁ。嬉しい〜!」

 心底うれしそうにしている。やっぱり、よほど綾姫ちゃんのことが好きなんだろうな。

 ――

 宿に着いて、さすがに泰嗣さんがおんなじ部屋になるわけにいかないから、綾姫ちゃんと私が同室、泰嗣さんは一人でくつろぐね〜っていって分かれた。

「まあ、あやつは怪しいし変態じゃがな、悪いやつじゃない。故に、創葉もよくしてやってくれ。」

「ん?うん、いい人そうだし。ちょっと怖いけど……それに誰彼堂で働く後押しにもなってくれたし、ありがとうって思ってるよ。」

 そういうと、満足そうに微笑んで、電車で渡したお菓子の残りを食べ始めた。まだ取っておいたんだ。また買ってこようかな。そうこうしている内に夜ご飯の時間になって泰嗣さんと合流する。バイキングらしい。やった。

「泰嗣さんは少食なんですね」

「ん?まあ最低限でいいかなーって」

「面倒くさがりなだけじゃろ」

 駄弁りながら料理を盛っていく。少しだけ欲張りすぎて泰嗣さんに笑われたけど、隣の綾姫ちゃんがもっと多くて、びっくりしちゃった。泰嗣さんはまるで分かってたかのようにしてたけど。

 そして食事も終わって床につく。ふう、電車にずっと乗ってたから疲れちゃった、そういや綾姫ちゃんは電車大丈夫だったかな、なんて思って声をかける。

「綾姫ちゃん、疲れてない?今日は早くねたほうがいいかもね」

「?うむ。ぼくに睡眠は不要じゃが……まあ、よいな。眠ることは大切じゃ。お主こそ、明日寝坊するではないぞ?」

 睡眠、いらないんだ。……それってちょっと寂しいな。疲れちゃうだろうし。そのあとちょっと今日のことを話したり、明日緊張するなぁなんて言ったりしてたらやっぱり疲れてたみたいで私はすんなり眠りについた。

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