夜のお散歩
それから片付けも済んだところで、時刻は既に21時過ぎ。
さすがに一人で帰すわけにもいかなかったので、メイを送っていくことにした。
「別にいいって言ってるのに~。うちもそんな遠いわけじゃないんだしさ」
「だからってこの時間に女子高校生一人で帰せるかよ。ほら、さっさと支度しろって。その服そのまま貸してやるから」
「ハーイ。制服は持ったし~、あ、そろそろ乾いてるかな」
「ん?」
まだエプロンを着けたままのメイはとことこと居間の方に戻り、ガラガラと窓を開ける。
ベランダに、メイのあのピンクなブラジャーが夜干しされていた。
「は? ちょっ! お、お前それ干してたの!?」
「うん。だっておにーさんち乾燥機ないじゃん。パンツと一緒にドライヤーで乾かしたんだけどねー。んー、ちゃんと洗えてないし少し海のニオイするけどしゃーない。おにーさん、ちょっとそっち向いててね。着替えるから」
「は、はぁ!? つか、それっ! ほ、干してあるってことは、おまっ、今まで――」
真実に気付いてしまった俺。
エプロンをしていたから気がつかなかったが、こいつ、ま、まさか俺の風呂を覗きにきたあのときからずっと――!?
するとメイはブラジャーを手にしたまま俺の方をじっと見て、ニンマリと小悪魔的な微笑を浮かべた。
「おにーさんさぁ……ひょっとして、あたしのノーブラ姿想像してる~? エプロンの下、どうなってるか見てみたい?」
そう言って、エプロンを徐々にめくりあげていくメイ。俺はすぐに答えた。
「そ、そ、そんなわけねぇだろさっさと着替えて帰ってくれ!」
「アハハハ冗談だってばっ。やっぱドーテーだ!」
うるせぇ童貞で悪かったなちくしょう小悪魔JKがよ!
そんなやりとりも終えて、ようやく二人で外に出る。7月の夜はすでに蒸し暑く、シャワーを浴びたばかりでもすぐに汗ばんでくるくらいだった。
そして俺たちが出会った海浜公園に辿り着き、海沿いの遊歩道を歩きながらメイが声を上げる。
「夜のお散歩って好きなんだけどさー、もうこの時間でもアッツイねー! せっかくシャワー浴びたのにまた汗だくになりそー」
とか言いながら貸したTシャツの胸元を引っ張りパタパタさせて涼むメイ。もう片方の手には家を出るときにやったチョコアイスのバーを持っており、溶け出していたそれをぱくりと頬張る。なんとも幸せそうな顔をしていた。
「ん~! やっぱポルム好きー! あ、おにーさんも一口食べる?」
「堂々と食いかけを勧めんな。てかあんまり人前でパタパタするなって。リボンタイの間から胸元見えて気になるんだよ」
「わっ、ドーテーなのに意外とそーゆーことサラッと言えちゃうタイプ?」
「うるせぇ悪かったな!」
「アハハゴメン悪くないってば! ま、あたしも他に人がいたらやめとくよ-? でも今はおにーさんしかいないしいいかな──ってうわ垂れてきたヤバ! んひゃあ冷たっ!?」
「!?」
パタパタをやめてすぐにアイスを舐めとるメイだったが、溶けたアイスの一部が胸の谷間ににゅるんと垂れ落ちていった。するとメイは慌ててTシャツをめくり中に手を入れ拭い始め、その光景を目撃してしまい思わず固まる俺。
「冷た冷たぁ~~~っ! あーもうシャワー浴びたばっかのに!」
「お、おいバカ! 服めくるな服! 見える!!」
「んなこと言ってもしょうがないじゃん! うう~、谷間ベタベタするし甘い匂いする……けどまぁいっかどうせお風呂入るし♪」
と、すぐにご機嫌に戻ってまた美味しそうにアイス食べすすめるメイ。
そんな彼女を横目に、俺はふとつぶやいた。
「はぁ……なぁ、もちっと気をつけろよ」
「ほぇ?」
メイが不思議そうに目をパチパチさせてこちらを見てくる。
「メイって、なんかいろいろと無防備だろ。割と美人なんだし、他の男の家だったら何されてたかわかんねーぞ。つーかそもそも知り合ったばっかの男の家にくんなっての」
「……それ、心配してくれてるの?」
「ひとんちでいきなりシャワー浴びる距離感バグったJK見てりゃ心配くらいするだろ……ったく、男はああいうの勘違いするヤツ多いんだって……だからちゃんと人を選んでだな……」
ぶつぶつとそんなことをつぶやきながら歩いていると、メイが足を止めていたことに気付く。
「――ん? メイ?」
立ち止まって振り返ると、メイはぼうっと俺の方を見ていた。
メイはすぐに駆け出して俺の前にやってくると、
「あーげるっ♪」
「んぉっ!?」
その手に持ったアイスのバーをいきなり俺の口に突っ込んできた!
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