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第16話_船造り開始です

お久しぶりです。

リアルの多忙により全くPCに向かうことが出来ませんでした。

今後も同じような状態が続くと思いますが、可能な限り早めの更新を目指したいと思います。

「そこ押さえてろー」

「ノコギリもってこい!」

「それじゃなくて先にそっちやってくれ」


シュウ達が神樹を持ち帰ってから数日、ダンの工場では職人たちがそれぞれ号令を出しながら作業が進んでいた。

発注者であるシュウ達はこの場では何もすることがないので今は宿屋に、ということもなく連日作業に立ち会っていた。

いくら発注者とはいえ毎日監視に来られたのでは職人たちも堪ったものではないのだが、シュウ達がこの場にいることについては誰も木にした様子がない。

何故ならばシュウ達もこの場で作業をしているためである。


「よし、この部分はこんな感じでいいだろう。次の部品は?」

「これですね」

「出来たやつはあっちの方に置いてくるっす!」

「部品を作るのもいいが動力になる魔石の調整はやらんでいいのか?」

「あ、そうか。ある程度作業が進んだらそっちも手をかけないとなぁ」

「・・・忙しい」


船造りにおいてはシュウ達は全くの素人であるため本来であればこの場にいる必要はまったくない。

しかし今回は魔石を動力源とした船、しかも空を飛ぶ『飛行艇』を作ろうとしてるため職人たちもどうしたらいいのか全く分からない。

無論職人たちに丸投げするようなことをシュウがするはずもなく最初から動力については自分で作るつもりだった。

本来であれば魔石を加工してシュウが空を飛ぶのと同じ原理の魔法を発動するだけで良かったのだが神樹という魔力を通すと信じられないほどの強度を発揮するファンタジー物質を手に入れたことでプランにやや変更が生じていた。

それこそ帰ってきてからダンに説明した追加機能である。

とはいっても仕組みは単純である。

魔石から空を飛ばす分の魔力とは別に船全体に魔力を送り込み、神樹の特性で強度を上げるという装甲強化をするつもりなのだ。

だが魔力の発生源が魔石一つな上、元々1本だった神樹を各所に適切な形に加工して組み上げる飛行艇では伝わる魔力にどうしてもムラができるのは避けられない。

そこでシュウが考えたのは各所に導線を張り巡らし、それに魔力を通して供給するという内容である。

この導線だが生半可なものでは魔力で強化された神樹より先に壊れ、結果神樹への魔力供給も止まる、などという事態を避けるためこれまたファンタジー物質に頼ることにしている。

それは他のなんであろう、シュウ達が日頃からよく使っている『魔鋼』である。

これであれば魔力をよく通すしすぐさま壊れるなんてことも起こらないだろう。

更に自分たちの武器が全員魔鋼製なので信頼性もバッチリである。

現在、その魔鋼をガンガン生産しつつ職人が作成した船の部品に組み込んでいる最中なのだ。

この機能を思いついたシュウは出来上がった船に魔鋼を貼り付けていけばいいと思っていたのだがダンから待ったが掛かった。


「魔石がある部分の仕掛けはそれでいいだろう。だが壁やら柱やらで塞がっているところはどうするんだ?」


最もな意見である。

この意見を素直に受取り、シュウ達は職人たちに混ざって組み上がった時にうまく魔力が通るように細工中なのである。

あとは最終的な組み上げ後に各部屋、施設において導線を繋げる作業を行えば万事うまくいく予定である。

ちなみに魔鋼の導線作りにリエルは参加していない。

サボっているわけではなく彼女には彼女の仕事がある。


「すまんがここから切ってくれ」

「はぁい」

「それが終わったらこっちも頼む」

「分かりましたぁ」


彼女は職人たちから請われ神樹の加工を行っている。

熟練の業が必要な細部ではなく大まかな形の切り出しなどの作業だが。

しかしそれだけでも作業としてはかなり効率が良くなっている。

魔力を通さない状態の神樹でもかなりの硬度を誇り、普通に作業したのでは普段の材料の何倍も時間がかかってしまう。

だが大まかにでもリエルに切り出しを行ってもらえばその分の時間が一気に短縮されるのだ。

というわけで工場の片隅で笑顔で斧を振り回すという女性に似つかわしくない構図が出来上がったわけである。

ちなみにその似つかわしくない光景に対して意見のある者はこの場にはいない。

職人は使えるものは使え、という気質であるようだ。

船造りは特にトラブルも起きることなく順調に進んでいった。


◇◆◇


と、思っていたのが数日前のことでシュウは目の前の光景から現実逃避したくなっていた。

仲間たちもどうするべきか、いやどうするべきは分かっているのだが、どうすればいいのか分からず目線を右往左往させていた。

今現在何が起こっているかというと、


「作業のジャマだから帰ってくれ!!」

「そうやって技術を独占する気か!お前たちみたいのがいるからこの国の技術が停滞しているのだ!」


という言い争いが工場入口付近で巻き起こっていた。

言い争っているのはどちらもドワーフで、帰るように促しているのがダンの工場の職人たちで、それに対しているのが外部の職人たちである。

ちなみにどちらもドワーフであり、身長こそ低いが全員もれなく筋肉質でありごく普通の一般人が彼らを目の前にした場合相当なプレッシャーを感じることは間違いない。

シュウ達は騒動に巻き込まれないようにやや離れて様子を見ているのだが、話題の中心となっているのは作成途中のシュウ依頼の飛行艇であり、それが判明した途端矛先がシュウ達、いや、仲間たちはそうなった場合少し距離を取るつもりなのでシュウに向くことは確実である。

別に薄情で距離を取るのではなくシュウであればあの人数に襲いかかられても大丈夫だという信頼から来る行動なのである。間違いなく。

仲間たちが声に出さず意思統一をしたことなど露知らず、シュウは隣りにいたティアナに声をかけた。


「あれって完全に俺たちの船のこと言っているよね?」

「はい、まず間違いなく。というか技術の独占と言われても船自体は多少改造してあるとはいえ普通の範囲に収まるもので、常識から逸脱してる部分に関してはシュウの担当分野ですよね」

「逸脱って・・・。俺は単に空を飛ばすためにちょっとだけ改造してるだけじゃないか。それだけでトラブルに巻き込まれるのはゴメンだよ」


空を飛ぶ船を作ることを「ちょっと」の改造であるかどうかは置いておき、いずれにせよ事態を収拾させないと作業が止まったままであるため対策を考え始めたところで自体は次なる展開を見せた。


「まぁまぁ、皆さん。そう詰めかけては教えてもらえるものも教えてもらえないでしょう?ここは冷静に話し合おうじゃありませんか」


外部の職人たちの合間を縫って新たな人物が顔を出した。

身長は他の職人同様決して高くはないのだがどちらかと言えば細身であり、身につけている衣服も実用性よりも装飾を取っているようなものであった。

更に顔にはメガネを付けており、職人というよりはデスクワークを生業にしているような印象を受ける。

はて、誰であろうとシュウ達が首を傾げてすぐに職人を押しのけて前に出たダンの言葉によりそれは判明した。


「おう、大臣さんじゃねぇか。どうしてこんなところに?」

「いえ、ここで新技術を用いて船造りが行われていると聞きましてぜひ見学させてもらおうと思いまして」

「それで他の職人連中を引っ連れて来たって訳か。これじゃあ進む作業も進まねぇんだが?」

「別に私が連れてきたわけではありませんよ。ただ新しい技術と言うのは秘密にしていてもどこからか漏れているものです。つまり私はここにいる職人の皆さん同様偶然話を聞いて偶然同じタイミングでやって来ただけですよ」


少し距離があるため聞こえなかったがダンの動きを見る限り舌打ちをしたのがわかった。

その前の会話については問題なく聞こえていたのでシュウはなんとなくであるが事態を飲み込み始めている。


(人を見た目で判断するわけじゃないけどあの大臣って人怪しいなぁ・・・。言ってることはその通りなんだけど、はいそうですかって信じるにはタイミングが合いすぎてるし。かと言って何が目的なのかはいまいち分からないけど)


何故職人が一斉に押しかけてきたのか原因が分かったがその理由が分からず未だ口を出せずにいるシュウ。

それは仲間たちも同様であり、話の流れを聞き逃すまいと更に聞き耳を立てる。


「はぁ、見学なら後で受け付けてやる。だが今は準備が出来てないから無理だ」

「おやおや、別に我々をもてなしてもらわなくてもいいのですよ?ただ作業を見せてもらい、その説明をしてもらえばいいのですから」

「だからその説明をするための準備が出来てないって言ってるんだ。それにただ見るだけと言ってもこの人数を一気にだと?俺の工場はそこまで広くないぞ」

「ふむ、つまりあなた方は公にできないような技術を使い製品を作っていると?その証拠を隠蔽するための時間を捻出するために我々を追い出そうとしている、というわけですか。皆さん、これをどう思います?」


最後の言葉だけを嫌に大きく、通るように発した大臣。

ダンがすかさず「どうしてそうなる!?」と声を出したがそれは大臣の引き連れてきた職人たちの声によりかき消されてしまった。


「さて、違法な技術を用いて作られようとしてる物については我が国としても押収しなければなりませんね。あぁ、安心してください?我々の「真っ当な」技術できちんと最後まで作り上げて差し上げましょう。そうすれば我が国の「正式な」新製品として売り出すことが出来ますから」


ニヤァ、と口角を上げて笑う大臣を見てシュウ達はその真意を読み取ることが出来た。

つまりシュウたちの依頼している飛行艇をダンの工場のみで作成される「違法」な状態から多くの工場の協力により国が最後にまとめ上げる「正当」な状態に落とし込み、最後は国の手柄として量産し売り出そう、と。

果たして量産が可能かどうかはさておき非常にまずい状態であることに気づいた。

こちらは一つのまとまりであると言っても一職人のもとに集う団体であり、あちらは寄せ集めだとしても大臣という国の中でもそれなりの地位を持つらしい人物が先頭に立っているのだ。

法律など詳しくは知らないが最終的に国が出てくる分どちらが有利かは考えるまでもなく明らかであろう。

非常に厄介な状況であるが自分が出ないことには話が悪い方に転がり続けそうであるためシュウは言い争いが繰り広げられている前線へと赴くのであった。



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