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第10話_少女の自己紹介です

いつものペースだと本当は昨日投稿しないといけなかったのですが、素で日付を勘違いしていました。

また今回はいつもと少し書き方を変えてみました。

色々と試しています。

シュウがこの世界「ヒース」にやってきてから早数ヶ月。

様々な人に出会い、様々な事件に巻き込まれてきた。

その中で仲間たちとは確かな絆や信頼関係を築き上げていることはシュウだけでなく仲間たちとの共通認識となっている。

シュウの行う突飛な行動に呆れつつも見捨てることなく、むしろ時々手助けしながらここまでやって来ており関係は良好である。

しかしそんな彼らも意識して避けている関係がある。

それは恋愛関係。

旅をしている中で同じテントで寝ることは勿論、宿屋でもたまに一緒の部屋で過ごすこともあるのだが決して男女の関係、というかそういった空気すら出すことはない。

シュウは元々普通の男子高校生として生活しており、そういったことに興味が無いわけではないのだが日本人としての感性やモラルといったものが根強く残っているため勢いだけで手を出す事を忌諱(きい)しているのだ。

一方の女性陣だが、4人の内2人が普通の人間ではないのだがそういったことには寛容である。

元々このヒースでは一夫多妻制は完全禁止ではなく、養えるのであれば複数の伴侶を持っても何の問題もない。

もしくは稼げる冒険者であればいつ消えるとも知れない身のため伴侶は持たないが、そういう目的で複数の女性を囲っているという話も珍しくはないのだ。

ティアナやフィアも経験はないが一般知識としてそういったことは知っている。

では何故女性陣から手を出さないかというとシュウの持つ考え方を尊重してるからである。

恐らく強引にでも手を出せばシュウは応えてくれるだろうがそれは彼の望むことでないことはこれまでの付き合いから察することが出来る。

であれば自分たちのすべきことはシュウの望むタイミングを待つということになる。

これは正体がドラゴンであるカエデや女神であるリエルも同じ認識を持っている。

憎からず想っている男に対して何の行動も起こさないのは男女の考えが日本ほど重くないこの世界においては奥手というか悪手にもなりえるのだがそこは相手がシュウである。

自分たち以外の女性に手当たり次第手を出すようなことはしないだろうという考えがありある意味油断しきっていたのだ。

これは経験のない若いパーティだからこそ通用していた考え方であり、普通は別の可能性を考えておかねばならなかったのだ。

そう、外部から突然のアプローチがあるという可能性を。


◇◆◇


「あたしと一緒にいて?」


少女が小首を傾げながら目は真っ直ぐシュウの方を見つめている。

この少女であるが近くにいるとシュウよりも身長が低い。

つまり少女は少し上を見上げている状態である。

小首傾げ+上目遣いというコンボを食らいシュウはかつてないほどのパニックに陥っている。

コンボを食らっていない女性陣も唖然として声を出せない状況である。

少女の発言は告白、いやプロポーズとしても捉えることが出来る内容である。

シュウたちがそれぞれの意味で目を白黒させているが、爆弾の投下者である少女は何のリアクションもないことに対して更に首を傾げている。

それがまたシュウにしてみれば凄まじい破壊力を持ってたのだ。

たまに忘れそうになるがシュウは日本時代ライトオタクであり、少女の行動を見た今の頭のなかでは「妹キャラ」という言葉が高速で巡り巡っている。

これがもっと重症であれば訳の分からない事を叫びつつ少女を誘拐しそうだなぁ、とシュウが全く意味のない考えに現実逃避しつつある頃パーティの中で一番冷静な人物、つまりティアナが復活を果たした。


「えっと・・・それはどういった意味で?」

「?」


完全復活には程遠かったようである。

要領を得ない質問に少女は意味を察しかねているようだ。

しかしそれが逆に何の狙いも下心もなく純粋に言葉通りであったことを証明している。


「どうしてあなたはシュウさんと一緒にいたいのですか?」

「この人は多分あたしよりも強い。強い人と一緒にいれば安心」

「つまりあなたはシュウさんに守ってもらいたい、と?」

「そう」


ここに来てようやく全員の再起動が終了した。

つまりこの少女の言いたいことは告白でも何でもなく、要するにSOSであるということだ。

少女自体とんでもなく高い戦闘力を持っているが、戦いの経験という点では不安しかない上に女の子1人という状況も決して楽観できるものではない。

そこに自分より強い人物、それもある程度は信頼できそうな人物が現れたとなれば話は早い。

早すぎて誰も付いてこれなかったのだが。

と、ここで当事者であるシュウが会話に参加した。


「守るのは良いけどどこか目的地とかあるの?」

「ない。あたしは怖い人達から逃げてきた。それでこの森を見つけて綺麗だと思って散歩してたらあなた達と出会った」

「つまり行く宛もなく彷徨っていた、と。そして偶然俺達に出会ったわけだ」

「そう」


目的地もない、いつまで守っていれば良いのか分からない人物など本来であれば関わり合いになりたくないのだが、既に少女と関わってしまっている以上このまま放置しておくのも具合がわるい気がするシュウ。

甘いと言わざるをえないがこの世界歴数ヶ月のシュウに日本時代の考えを全て変えろと言うのも酷だろう。

こういう時最も適切な落とし所を見つけてくれるティアナが再び口を開いた。


「正直に言って今のあなたと行動を共にするのは私達にとって危険しかありません。あなたが逃げてきたという人達がどういった人物なのか、そもそもあなたの言う事を全て信じるわけにもいきませんし。それに私たちはあなたの名前すら聞いていません。そのような人の言うことを真に受けて良いことがあるとも思えません」

「・・・むう」


バッサリと切り捨てるように言い放ったティアナに対して少女がやや抗義的な目線を向ける。

少女もティアナの言っていることが正論であることは認めるのか視線には敵意や悪意は全く含まれていないのだが。


「ティアナの言うとおりだね。何にせよ名前と君の正体を教えてくれるかい?多分魔族だと思うんだけど」

「・・・わかった」


少女はやや観念したようにシュウの言葉に頷いた。


「まず、わたしはあなたの言うとおり魔族。でも1つ聞かせて。どうして魔族を知っていたの?」

「少し前に魔族と戦ったんだよ。エルフを襲いに来たから撃退したんだ」

「・・・確かその時はかなりの人数がボロボロになって帰ってきたんだけど」

「大部分はここにいるカエデの仕業だね」


シュウの視線を受けて胸を張るカエデ。

それを見た少女はやや訝しげである。

シュウがやったと言われれば納得だが、胸を張っているカエデは先程自分の障壁を突破することが出来なかったという考えがあるので当然である。


「・・・あなたじゃなくてあの子?」

「この辺はうちのパーティの秘密なんだ」

「・・・そう」


追求しても今は答えてもらえないだろうと考え話を戻すことにしたらしい。


「あたしの名前はリリアーヌ。リリでいい」

「リリ、だね。リリはどうして逃げてきたんだい?魔族にも村八分とかあるのかな?」

「むらはちぶっていうのは分からないけど、皆あたしが嫌だって言っても無理矢理役目を押し付けてきたの。でもあたしはどうしても嫌だったから皆がボロボロになって帰ってきて警備が手薄になったところで逃げてきたの」


どうやらシュウたちのやったことで少女が逃げ出す隙が生まれたらしい。

逆に言えばそのような状況にならなければ隙がないほどの監視体制が敷かれていたということだろう。

いくら戦闘力が凄まじいとはいえ少女1人に対して過剰とも言える状況だったようだ。


「なるほど。それであちこち行ってはみたけど不安が募っていて俺達が最初に武器を出した時点で敵だと思って攻撃してきた、と」

「そう。それは許して欲しい」

「こっちも攻撃したんだしその話はもう水に流そう」


シュウがそういうと少女はどこか安堵したようである。

最初こそ強引に付いて行くつもりだったが話の流れでそれは難しいことを悟り、このまま置いて行かれるという可能性が見え始めているので少しでもマイナス要素が減ることはリリとしても嬉しい。


「ちなみにその役目ってどんなの?リリって結構強いから戦闘員になれ、とか?」

「ううん、違う。それだけなら良かった。途中で逃げやすいし」


どうしても逃げるという選択肢は付き纏うようである。

リリにとって魔族という種はそれほどまで合わないのだろうかと思い始めるシュウ達。

しかしそんな考えは次のリリの発言により吹き飛んでしまうのであった。


「皆はあたしの魔力が凄いっていうの。だからあたしに『魔王』になれって言って色々押し付けてきたの」


空気が再び凍ったのは言うまでもない。


少女の名前が判明しました。

そして色々属性が付きすぎています。

当初の予定と大分キャラがズレてきていますが予定は未定で不確定なのでしょうが無いですね。


前書きにも書いてありますが今回は少しだけ書き方を変えてみました。

明示的には分かり難いですが自分ルールを少し弄ってみただけなので違和感なければ今後もこの書き方でやってみようと思います。

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