第八話 設定を練って欲しい
ニイは弱っていた。
夏場にはヒンヤリして気持ちいいかもしれないけど、今は真冬だから冷たい霧が身に染みるだろう。
それで子どもが風邪を引いて、ニイのせいにされても困る。
「こっちに来ちゃ駄目だよ。あっちに行って」
出来るだけ遠くから、姿を見せないようにして声をかけてみる。
子どもは遠慮が無いから、きっと出遭えば、ニイの姿を見たままの感想を吐いて、ニイを爆発させるだろう。
「ねえ、誰か居るの?」
心細いのか、それとも好奇心が強いのか、子どもがニイの方へ近づいてくる気配がする。
クソガキが。
風邪引け。
寝転がって、死体のフリをすることにした。
きっと怖がって立ち去るだろう。
「待って、そっちへ行っちゃ駄目」
最悪だと思った。
聞き覚えのある声。
勇者パーティの一軍女子の中で、一番、スカートが短くて、キャンキャンうるさかった痴女。
見通しの悪い霧の中でも姿が見える距離まで近づいて来た子どもを抱きとめる露出狂の女。
仕方なく、ニイは起き上がることにした。
面倒だけど、譲れない一線だ。
商業的な事情から露出度の高い、胸を強調するようなデザインの服を着させる都合は分かる。
でも、設定を練って欲しい。
空気中の魔素とかマナとか呼ばれるようなものを吸収して魔法やスキルを使うために肌の露出が多くないといけないとか、苦しい言い訳でも良いからして欲しい。
露出が多くなるのは魔法やスキルを使う瞬間だけで、普段はマトモな武装をしていないとおかしい。
カスリ傷でもバイキンが入り込んで生死の境を彷徨うことになるかも知れないのに、水着みたいな格好で冒険するなんて正気の沙汰じゃない。
底辺に居るニイは一軍女子達を下から見上げることしか出来ない。
居たくて居るわけじゃないのに、底辺から見あげて、そんなにスカートの中を覗き込みたいのかなんて言われたくない。
だから起き上がる。
「爆発したらオマエのせいだからな」




