第二十二話 大魔王軍侵攻
『自主性に任せると言いましたが、卒業検定を始めます』
ちょうど良かった。
もしかしたらと思って、キュウちゃんとリュウちゃんが作ったオシリスライムにグサっと取り出した心臓を押し付けてグリグリしてたら、オシリスライムがジュワっと蒸発して消えてしまって、気まずい雰囲気になってたから。
リリちゃんとクロちゃんは「さすが大魔王様」とか言って取り繕ってくれたんだけど、キュウちゃんとリュウちゃんはガックリ落ち込んだ。
悪かったなと思って、心臓を差し出して「食べる?」って聞いたんだけど、キュウちゃんとリュウちゃんは涙目になって震えてた。
無理に食べさせようとするとジュワって蒸発するのかもしれない。
「大魔王様の思し召しとあれば」って二人とも焦点の定まってない目で心臓に噛り付こうとしたから、引っ込めた。
一度、出した心臓を引っ込めるなんて、カッコ悪い大魔王だなあ。
『お楽しみはそれぐらいにして、勇者の召喚を阻止しましょう』
えっ、ノンちゃんが呼び戻されちゃうの?
『召喚対象は別ですが、元勇者は大喜びで術式に介入しています。乗っ取るのも時間の問題でしょう』
召喚の儀式を邪魔すればいいんだね。
急いで行こう。
みんなは、お留守番よろしくねって言おうとしたら、キュウちゃんが大きな花火の玉を取り出して導火線に火を点けて、リュウちゃんが玉を空に向けて放り投げたら、ドカーンと爆発して黒煙が広がって、真っ暗になった。
クロちゃんが地面をバチンと叩いたら、棘がいっぱいあるバラ科の植物みないなのが王都の方へ向かって凄い勢いで伸びていった。
王城をグルグル巻きにして城壁を圧し潰したのが、なんとなく分かった。
リリちゃんは沢山のコウモリに分身して、僕とクロちゃんとキュウちゃんを掴んで飛び始めた。
リュウちゃんは自分で飛ぶみたい。
すぐに王城だったところに着いた。
一か所だけ、崩壊せずに残ってる区画がある。
王城の中の大聖堂みたいな所かな。
そこだけは結界みたいなものがあって、クロちゃんのバラも圧し潰せなかったっぽい。
叫んでいる女の子がいる。
王女兼聖女兼痴女だ。
相変わらず元気そうだなと思って見てたら、リリちゃん達がそろって指さして怒った。
リリちゃん達を罠に嵌めたり、騙して肉を食わせたり、濡れ衣を着せたり、毒を飲ませたりした張本人らしい。
すごい聖女も居たもんだ。
『外資系ハゲタカ聖女ですからね』
外資系だからって一括りにして悪者扱いしなくてもいいんじゃない?
『札束でビンタすれば話し合いに応じてくれるでしょう。価値観の違いばかりはどうにも』




