第十五話 ブレるキャラ作り(3)
割と大きめの気配が2つやって来た。
本当に食べたいのかなあ。
あげても良いけど、順番は守ってもらわないと。
勇者に殺された、その後なら心臓でも脳味噌でも、好きなだけ食べたらいいんだけど。
『急にキャラを変えると不自然です。もうちょっとだけ頑張りましょう』
えー、もう絞り出しても何も出てこないよ。
とりあえず、挨拶かなあ。
下手にでたら話し合いに応じてくれるかなあ。
「どうも。養殖ものの魔王ケイです。天然ものの魔王さん達、こんばんは」
目の前に現れたのはタキシードみたいな礼服を着た男の人と、チャイナドレスみたいな服を着た女の人。
男の人は顔色が悪くて、女の人は褐色の肌色で耳がとんがってる。
吸血鬼の真祖とかダークエルフとかかなあ。
挨拶したのに返してくれないぞ。
『皮肉が効いてますからね。あの2匹は善神の加護があったのに、こっち側に寄ってしまった負い目があります』
無免許の魔王さん達は早口で何か言っているのだけれど、難しい言葉使いをするから、ケイには意味が分からない。
でも、もう話し合いが出来そうにないことは、なんとなく分かった。
やっぱり、オラついてみせないといけないのかあ。
疲れるなあ。
「底辺の魔王の鎧は最狂。
牛の膝の革だけで作った。
一着こしらえるために。
千頭の牛を殺した。
鎧にこもる千頭の牛の怨念。
着る者を狂わせる。
人呼んで『ニイ・シェイク』。
見る者の膝が震える。
魔王の膝も笑う」
あ、勇者が突き飛ばされて、ぶっ飛んでった。
言葉を絞り出すのに一生懸命で、上の空になってたら男の方が飛び掛かってきて、間に割って入った勇者が弾き飛ばされてしまった。
「なにすんだよ。ノンちゃんは帰らないといけないんだぞ。怪我したら困るだろ」
何か男の方は自慢げに喋ってるんだけど、うるさくて、静かにして欲しかったから口を塞ごうとしたら、顔の下半分を握りつぶしてしまった。
やっちゃったと思って、潰した下半分を元通りに広げようとしたら、首から上を真っ二つに引き裂いてしまった。
吸血鬼っぽい感じだから、これぐらいなら再生するんじゃないかなと期待したんだけど、駄目みたい。
魔王になっても、何一つ、まともに出来ないんだなとガッカリした。
今の失敗、見られたかな。
見てなかったらいいんだけどなと思って女の人の方を見たら、蹲って、漏らしてはいけないものを漏らしてた。
ごめんね。
仮免許の魔王がドライブしちゃったから。
ここトイレないから、女の子は困るよね。
我慢してたんだよね。
ドライブデートの時、女の子はトイレに行きたいって言いにくいから、男の方から、こまめに休憩を提案するのがマナーなのに。
やっぱり、なにも出来ないんだなあ。
『反省するのは結構ですが、勇者が死にそうですよ』




