第十四話 ブレるキャラ作り(2)
オラつくって、どうするの?
ケイは困ってしまった。
長く喋るのが難しくて、段々と短く区切って話すようになって、そうしたら妙なリズムに乗ってしまった自覚はあった。
でも、意図してやれと言われると、途端に言葉が出なくなる。
『とりあえず、持ち物を自慢してマウントを取りにいきましょう』
ケイは左右の腰にぶら下げた二本の剣を見た。
邪神から貰った時に色々聞いたのだけれど、もう半分以上、忘れてしまった。
まあ、いいかと思った。
「底辺の魔王の剣は最低。
最低の座を争う二本の剣。
名匠が作った名刀。
首を斬り飛ばそうとしたら。
髭まで剃れた。
人呼んで『ひげ剃り』。
名匠の息子は羨望。
親に憧れて打った一振り。
遠慮して作った無銘の習作。
『ひげ剃り』より短い剣。
二本並べて飾ったら。
臆病風に吹かれて倒れた。
仲良く一緒に転がった。
飾りなおして見たら。
同じ長さになってた。
無銘の習作が『ひげ剃り』を切ってた。
それから銘を改め。
『ひげ剃り』は『負け犬』。
無銘の習作は『親泣かせ』。
ケイとニイの二人で。
一本ずつ持つはずだった。
底辺の魔王の剣」
もう無理だと思った。
勇者の顔色が悪いし、お土産を持たせて帰ってもらおう。
ケイは『親泣かせ』を勇者に押し付けて言った。
「ニイの形見だ。それで俺を殺せ」
勇者は帰る素振りを見せない。
困ったなあ。
『自分が何を言っているのか分かってないみたいですけど、割とエグいこと言ってますよ』
そうなのかな。
無駄死にしたことになってるニイの無念をはらす形になるよ。
勇者にとっても、魔王ケイにとっても。
それにケイは勇者に殺されるつもりだし。
最初は強くぶつかって、後は流れに任せて頑張った感じで殺されるつもりだよ。
『忘れるだろうとは思ってましたが、『ひげ剃り』じゃなくて『髭切り』、『親泣かせ』じゃなくて『友切り』ですよ』
へえー、そう。
まあ、それよりも、勇者に帰ってもらう方が大事だよ。
泊っていくとか言われたら嫌だなあ。
『そう長くは持たないだろうと思っていましたが、予想以上に進行が早いですね』
うん? 何を言っているの?
『革ツナギの効果ですよ』
ああ、そういう設定があった……本当だったの?
『勇者は無理に帰さない方が良いですよ。様子見をしていた無免許の魔王が2匹、やって来ました』
えーっと、天然ものの魔王っぽい生き物で、本物の魔王になるために教習所を卒業した魔王の心臓を食べたいと思ってるっていう設定の……それも本当なの?




