表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/24

第9話 深まる謎と怒り

所変わってハイサムの執務室―――――

そこには応接用のソファに座るアイリスとハイサム、そして向かいのソファにはフザイファが座っていた


「まさか兄様(・・)の花嫁殿だとは思わず………申し訳ありません」


アイリスがハイサムの婚約者だと知ったフザイファは、深々と頭を下げ彼女に陳謝する


「そんな!良いのです。顔をお上げ下さい!」


あまりの落ち込み様に、アイリスは思わず立ち上がり狼狽えてしまう


その様子を見たハイサムは軽く笑うと口を開いた


「改めて紹介しますハルシュタイン嬢。こちらが私の部下であり、弟のフザイファ・アズラエルです」


フザイファはアイリスに向き合い再び頭を下げる


するとフザイファは思い出したように勢い良く顔を上げた


「そういえば俺に、聞きたいことがあると手紙をもらいましたが、何のことです?」


フザイファが首を傾けながら尋ねると、ハイサムも思い出したように「ああ」と声を上げた


「これを見てほしいんだ。……………ハルシュタイン嬢、ユフィを脱いでもらえますか?」


ハイサムに優しくお願いされ、アイリスは疑問に思いつつもユフィを脱ぎ、素顔を晒した


するとそれを見たフザイファは目を大きく見開く


「これは………鉱物種か!」


思わず声を上げるフザイファにハイサムは静かに頷く

しかし、アイリスには何がなんだか訳がわからなかった


(鉱物種…………?)


自分はそういう種なのだろうか?

そう思う間もなく、ハイサムは口を開いた


「ハルシュタイン嬢に付いている母岩を取り除きたいんだ。何か知っている事はないか?つい最近まで人外保護を任せていたお前なら、何か知っていると思ってな」


兄弟の間で交わされる会話を、大人しく聞くアイリスは更に混乱していた


(母岩………?取り除く…………?どういう事…………?)


母岩というのはこの石肌の事だろうか?

そう思いながら、アイリスは自身の石肌を見つめる


そしてこの石肌を取ることが出来るかもしれない――――


そんな夢物語の様な話を聞き呆然としていると、顎に手を置き考え込んでいたフザイファが、顔を上げた


「教会で加護を受けている神の声をお聴きになれば良いのでは?」


その一言に、ハイサムも思わず頷いた


「神に聞くのか」

「鉱物種ではありませんが、過去に脱皮不全をおこしかけていた爬虫類種を保護した時、その者に教会に行って欲しいと頼まれ、連れて行ってやったら無事脱皮に成功した例があります」


その話を聞いたハイサムは「そうか」と答えると、アイリスの方を向き口を開いた


「それではハルシュタイン嬢、近いうちに教会に行きましょうか。加護を受けている神は何ですか?」


そう提案されたアイリスだったが――――


彼女は困りに困ってしまっていた

何故なら加護を受けてる神などいないし、そもそも教会になど一度も行ったことがないからだ


「あの……すみません……加護を受けている神など私にはいないのです」


恐る恐るそう伝えると、ハイサムは少し驚いたような表情を浮かべた


「そうなのですか?」

「はい。教会には一度も訪れた事がないので……」

「ですが、魔力はお使いになられていましたよね?」

「ええ、それは7つの時から使えていたので……ですが前にも申した通り、私は魔力が少ないので大した事は出来ませんが……………」


すると今まで黙って聞いていたフザイファが割って入ってきた


「………待って下さい。ハルシュタイン嬢は加護を受けていないんですか?」

「はい……」

「ご両親が連れて行ってはくれなかったのですか?3つになったら洗礼の儀という行事が、人外にはあるはずです」

「いえ一度も。父は私が外を出歩くのを嫌がり、一歩も外へは出たことがありませんから………亡き母も、父には逆らえませんでしたし………」


そこまで言った瞬間

フザイファがダン!とテーブルを叩いた


「ふざけるな!」


突然声を荒げたフザイファに、アイリスの身体がビクリと揺れた


――――――何かいけないことを口にしてしまったのだ


アイリスは慌てて頭を下げる


「申し訳―――――」

「洗礼の儀を受けさせなかっただと!?神の加護を受けるのは、魔力を持つ人外に取って大切な事!本来の力を引き出したり、または強すぎる力の制御をし、世界に影響を与えすぎないようにしなければならないと言うのに!それを受けさせないなど、親の職務放棄!親失格だ!」


フザイファの言葉にアイリスは思わず顔を上げ、呆然とする


「………私の親に、お怒りなのですか?」

「当たり前です。洗礼の儀を子に受けさせるのは、親の義務ですから」


ハッキリと言い切るフザイファに、アイリスは目を見開く


(少し怖い方なのかと思っていたけど……そうではなくて、真っ直ぐ過ぎる方なのね………)


そう思いながら、アイリスはフザイファの正義感に満ちた瞳を見つめる


「フザイファ。お前が突然大きな声を出したから、ハルシュタイン嬢が驚かれているぞ」


ハイサムが呆れたようにフザイファを諌めると、彼はハッと我に返る


「あっ!申し訳ありません!つい熱くなってしまい………」


そう言ってフザイファは恥ずかしそうに頭を掻いた


「しかし、これで目的が出来ましたね。近いうちに洗礼を受けに教会へ行きましょうか」


ハイサムにそう言われ、アイリスは小さく頷いた


こうしてアイリスは、遅くなりながらも洗礼の儀を受けることになったのだった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ