第35話 亡き母の想い
亡き母の日記が見つかり、アイリスは思わず息を呑む
「少し読んでみましょうか」
ハイサムの意見に、アイリスは頷き同意する
そしてゆっくりページをめくり黄泉進めると、そこにはその日あった出来事等か綴られていた
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ーーー今日はアイリスが『お母様に』と手紙を渡してくれた
そこには『お母様大好き。いつもありがとう』という言葉と、私の絵が描かれていた
なんて素直で可愛い子なのかしら!
旦那様の無理解により、未だ母岩が取れない事が何とも悔しい
私に対抗出来るだけの力があれば、こんな事にはならなかったのに………………
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「お母様…………」
アイリスは思わず呟き、一緒にしまわれていた手紙を見つめる
亡き母の思いに、胸がキュッと締め付けられた
そして更にページをめくる
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ーーーーーー旦那様は今日もお帰りになられない
恐らく愛人を囲っておられるのだろうと、私は確信している
アイリスがその事を気にしていないのが、唯一の救いだけど………この様に壊れかけた家庭で暮らすアイリスが不憫で仕方がない
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(お母様はハルシュタイン子爵にバーバラがいた事を、勘づいていらしたのね…………)
アイリスはその当時の母の心境を思うと心がチクリと痛んだ
そして更に読み進めると、ある日の記述に目が留まる
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ーーーーーーー恐れていたことが起きてしまった
洗礼の儀を受けていないのにも関わらず、アイリスが魔力を扱えるようになってしまったのだ
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「あ………!」
その記述に、アイリスは目を見開く
横で見ていたハイサムも、その一文を見て思わず身を乗り出す
「やはり、お母様はお気付きだったのですね」
その言葉にアイリスは小さく頷く
そして更に読み進める
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ーーーーーこのままではいつか、アイリスの魔力は暴走をはじめてしまう
そうなればアイリスの命だけでなく、無関係の人々まで巻き込む恐れがある
なんとかしなくては……………
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「お母様は何をお考えになったのかしら……」
そうしてページをめくった時、アイリスはある事に気付く
勢い良く顔を上げハイサムを見つめた
「……この日付……お母様が亡くなる前日です」
「そうなのですか?」
コクリと頷いたアイリスの肩を、ハイサムは優しく抱き寄せる
そして意を決しアイリスは読み進めた
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ーーーーーー私は決意を固めた
アイリスを守る為、自らの命と引き換えにアイリスの魔力を抑え込む事にした
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「魔力を……抑え込む?」
アイリスは首を傾げる
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ーーーーーーー幸いにも私には封印の加護を受けている
私の父から受け継がれた能力だ
その能力を使い、アイリスの魔力を半永久的に少量に抑え込む
そんな日が来るかは分からないが、儀式を受ければ能力は解かれ、アイリスの魔力は解放されるように調整するので、問題は無い
しかし、下手をすれば一生能力を封印しなければならない為、自分の命という代償を払わなければならない………苦渋の決断だった
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その文でアイリスは全てを察した
「そんな………では、お母様が亡くなったのはまさかーーー」
動揺を隠せず、手が震え出す
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ーーーー娘を守る為ならば、命を落とすこと事態は怖くはない
ただ、心残りがあるとすれば、まだ子供のアイリスに寄り添えないと言うことだけだ
母岩が付いたままでの姿では、これからも困難は続くだろう
そんな時に守ってやる事も、寄り添ってあげることも出来ない…………
そんな茨の道を歩むことを強いてしまったあの子の人生が、とても不憫でならない
どうか恨むなら、この母を恨んでほしい
これから死ぬ私に出来ることはそれだけ
神様、困難ばかりの娘の人生に、いつか光が訪れますよう…………
ただ、それだけを祈ります
アイリスの、あの子の母で居られたことが何よりの幸せでした
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読み終わったアイリスの目から涙が零れ落ちる
「そんな……お母様を恨むなんて………出来ない………お母様は私の為に、命をかけてくれたのに………」
そう言って日記を抱きしめ泣き崩れる
ハイサムは黙って抱きしめ、アイリスの背をさするのだった
こうしてアイリスの抱えていた謎が静かに明かされたのだった




