表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/42

第34話 母が残したもの

それから数分後ーーーー


ローザが薬品を被り一時騒然としていたが、ハイサムの配下達により病院へと連れていかれ、やっと落ち着きを取り戻していた


「大丈夫でしたかアイリス?」


それまで慌ただしく指示に回っていたハイサムが声をかけた


「はい、私は大丈夫です。だけど………」


そう言って俯くアイリス


「心配ですか?妹の事が」


ハイサムが尋ねると、アイリスは小さく頷いた


「確かに今日、ハルシュタイン家との決別の為、ここに来たけれど………私は誰かに危害を与えたかった訳では無かったから………」

「あれはアイリスのせいではありません。貴女の妹が自ら選択した結果の結末です。起こるべくして起こったのです」


ハイサムが不安を取り除こうとするが、アイリスの顔は暗いままだ


するとハイサムはアイリスの肩にそっと手を置く


「貴女は今日、自らの意思で長年抱えてきた、家族という呪縛を断ち切る事が出来たのです。これは誇るべき事だ。今までよく、頑張りましたね」

「ハイサム様………」


その言葉に、アイリスの瞳が揺れた

ーーーーこれで本当に、ハルシュタイン家から解放された

その事実にアイリスの胸がいっぱいになる


「それでは先にアイリスは宿に戻りましょうか。我々はまだやるべき事があるので」

「あ……少し待ってください!」


ハイサムがアイリスを帰らせようとしたその時、アイリスが声を上げた


「どうしました?」

「あの、その前に私の部屋に寄ってもいいですか?輿入れの時、置いていかざる得なかった物達があったので。それに、この家に来るのは、これが最後だと思うから…………」


遠慮がちにそう言うと、ハイサムは快く了承した


「そういう事ならかまいませんよ。持ち帰りたい物を持っていきましょうか」


そう言って2人はアイリスの屋根裏部屋の部屋に向かった




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



2人は2階の廊下の隅に設置された小さな階段を登ると、古びた木製のドアへと近付いた


「ここは………屋根裏部屋ではありませんか?」


ハイサムが不思議そうに尋ねると、アイリスはなんてこと無いようにアッサリと答える


「はい。私には部屋など設けてくれませんでしたから。屋根裏部屋が私の部屋だったのです」


その言葉に、ハイサムの顔が険しくなる


ーーーーーーどれほどの扱いをここでされてきたのか


その一言で、感じ取れてしまったからだ


先を進むアイリスは、屋根裏部屋のドアに手をかけゆっくりと開けた


「ーーーどうぞ、ただの物置部屋ですから、物で溢れかえっていますが」


少し照れたようにアイリスに促され、ハイサムは足を踏み入れる


埃っぽく狭い部屋を見回すと、無造作に物が置かれ、とても人が使う様な部屋には見えない


その時ふと、ある物が目についた


人1人寝転がれるような空きスペースに、寝具のような物が置かれ、その上にはブランケットが乗っているものを見つけたのだ


ハイサムは瞬時に、ここがかつてのアイリスの寝床だと気付き、眉間のシワを深くさせた


そんな彼の心情をよそに、アイリスはサーヴァルに持ち帰りたい物を探していた


「これと…………これと、後はーーーーーー」


中身を確認しながら、持っていきたい物を探し、ある箱を開けた時だった


「ーーーーあら?」


中を開けると、そこには丁寧に折りたたまれた紙が入っていた

ゆっくり開くと、それはかつて亡き母にプレゼントした手紙だった


そこには『お母様いつもありがとう。大好き』と書かれた一文と、母の絵が描かれている


(……お母様。大事に取っておいてくださったのね)


アイリスは目を細めそれを見つめる

ふと、箱を覗くと、まだ何かが入っているのが目に付いた


手に取るとそれは、見覚えのない日記帳だった

しかしそこに書かれていた筆跡は、とても懐かしさを覚える人物の者だった


「どうされました?」


ハイサムが物を避けながらアイリスに近付いていく


「いえ、持っていきたい物を探していたら、見覚えのない日記帳を見つけて……でもこれは………」


そう言ってアイリスは中を開く

古い紙の匂いと共に、そこに書かれていたものに懐かしさを覚え、アイリスは確信した


「これ……亡くなった母の日記みたいです。日付的に亡くなる少し前の………でもどうしてーー」


アイリスは戸惑いながら、その日記を見つめるのだった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ