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『獣の皇帝陛下に溺愛されています ~無能と捨てられた元王女ですが、隣国で最強でした~』  作者: てん
第7章「新たな、皇統の、誕生、と、真実の、愛の、永遠の、定着」

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# 第59話 命の、誕生、と、千年の、決戦



***


 結婚式の聖堂——


***


 千年の契約のお円環の完成の、聖なる場所。


***


 純白の寝台の上で——セレスティアは、穏やかに、陣痛の波と、対峙していた。


***


 彼女の青の瞳に——千年の母の、絶対的な、決意の光が、宿っている。


***


 陣痛は、穏やかに、しかし、確実に、強まっていく。


***


 ヴォルフラム+ジークリンデ+ヴェレナ大司祭+ゲオルク+アネリーゼ+ハルトムート+腹心たちが、穏やかに、見守る。


***


 帝都の高位の助産師+ヴェネシア聖印国の聖女たちが、穏やかに、医療の準備。


***


 ヴォルフラムが、穏やかに、セレスティアの手を、握る。


***


「——セレスティア——」


***


 セレスティアは、陣痛の波の中で、穏やかに、微笑む。


***


「——陛下——大丈夫、で、ござります」


***


「——わたくしは——千年の母として——お腹の中のお子様を、絶対に、お護り致します」


***


 結婚式の聖堂の中央——


***


 大聖女ヴェネシアの青の祈祷石が、穏やかに、置かれている。


***


 第55話の祈祷の刻と、同じ祈祷石。


***


 第57話のセレスティアの『母の魂の呼びかけ』の刻と、同じ聖堂。


***


 四人の契約の——最後の発揮の準備が、整いつつ、あった。


***


 結婚式の聖堂の外——


***


 帝都の上空に、再び、『色の、無い、光』が、現れた。


***


 絶対零度の、色の無い、声が、淡々と、響く。


***


「——分離の刻に、立ち会う、許可を、求めます」


***


 ヴォルフラムは、聖堂の入り口の、外で——絶対零度の、最大限の決意の炎を、宿しながら——応えた。


***


「——立ち会うことは、許さぬ——!」


***


「——わたくしどもの、出産の刻に——『未知の文明』の介入は——絶対に、許さぬ——!」


***


 帝都の上空+周辺——


***


 帝国軍+影部隊+ヴェネシア聖印国の聖騎士団+エルディオ王国の軍+諸国の同盟軍が——穏やかに、しかし、絶対的な、防衛の体制で、配置されていた。


***


 帝都を、結婚式の聖堂を、世界を——お護りする為の、本格的な、最終防衛線。


***


「——失敗確率四十九パーセント」


***


 『色の、無い、光』の声は、続く。


***


「——失敗の刻に——わたくしどもは、強制的に、お子様を、回収、致します」


***


「——その刻には、わたくしどもの、提案は、既に、貴方たちに、有利な、形では、ござりません」


***


 ヴォルフラムの『夜空の瞳』に、絶対零度の、最大限の決意の炎。


***


 同じ刻——


***


 北方の海上+辺境警備の最果ての要塞。


***


 漆黒の船団=三十隻が、穏やかに、しかし、確実に、南へ、進んでいた。


***


 要塞の最奥の、囚われの部屋——


***


 ガルバート公爵が、穏やかに、無言で、その光景を、見つめている。


***


 千年——彼が、安全圏で、計算だけを、続けてきた、その代償の刻が——今、目の前で、本格化していた。


***


 彼の冷たい琥珀色の瞳に——もはや、計算の光は、無い。


***


 ただ——千年の血の重みを、新たに、感じる、観察者の、刻。


***


 救済では、無い。


***


 罰の刻の、継続。


***


 けれど——彼は、確かに、見ていた。


***


 千年の獣の皇帝の血が——千年の闇から、新たな命を、お護りしようとする刻を。


***


 千年——彼が、軽んじて参った——『計算+愛』の、本格的な、勝利の刻を。


***


 要塞の城壁の上——


***


 ヴィルヘルム・フォン・アルテンブルクが、北方辺境警備の精鋭部隊を、率いて、立っていた。


***


 彼の翠玉の瞳に——絶対的な、騎士の覚悟の光。


***


 彼の胸の上には——セレスティアから頂いた、銀色のペンダント。


***


 第48話以来——彼が、誠実な騎士として、お護りし続けた、母のペンダント。


***


「——わたくしの命を、賭けて——」


***


「——漆黒の船団を、帝都に、近づけませぬ——!」


***


 北方辺境警備の精鋭部隊が、漆黒の船団に、本格的な、迎撃を、開始。


***


 けれど——漆黒の船団は、未知の文明の力で、通常の魔力攻撃を、無効化、致してしまう。


***


 矢が、剣が、魔力の波が——すべて、漆黒の船体に、吸い込まれて、消えた。


***


 ヴィルヘルムの精鋭部隊は、穏やかに、絶望に、晒される。


***


 けれど——ヴィルヘルムは、絶望、致さなかった。


***


 彼の細い手が、穏やかに、胸の銀色のペンダントを、握る。


***


 (——お母様——)


***


 (——お、お、お、お、お母様の、お、慈悲を——)


***


 (——わたくしに、お貸しくださりませ——!)


***


 その瞬間——


***


 銀色のペンダントの中央の、青の小さな宝石が——穏やかに、深い、金色の輝きを、放ち始めた。


***


 母の慈悲の結晶。


***


 セレスティアの流転型魔力の、結晶。


***


 北方で、ヴィルヘルムが、命を、賭けて、戦う、その刻に——


***


 結婚式の聖堂で、セレスティアが、お腹の中の命の為に、誓いの結界を、編み始める、その刻と——


***


 遠隔で、本格的に、共鳴し始めた。


***


 穏やかな金色の光が——ヴィルヘルムの剣に、宿る。


***


 彼の剣が、漆黒の船団の一隻の船体に——本格的に、届いた。


***


 漆黒の船体が、穏やかに、震える。


***


 絶対零度の、色の無い、声が、再演算を、始めた。


***


「——母の慈悲の、結晶が——わたくしどもの、観測を——超えております」


***


「——再々演算、致します——」


***


 漆黒の船団の前進が、穏やかに、しかし、確実に、鈍り始めた。


***


 結婚式の聖堂内——


***


 セレスティアの陣痛が、最高潮に、近づいていく。


***


 ジークリンデが、穏やかに、彼女のお腹を、見守る。


***


「——皇妃殿下——本格的な出産の刻が、近づいて、おります」


***


「——けれど——お腹の中の命の魂の奥の闇が——封印を、本格的に、押し破ろうと、しております」


***


 セレスティアは、穏やかに、深く、頷く。


***


「——今で、ござります」


***


 彼女は、流転型魔力の根幹を、お腹に向かって、穏やかに、注ぎ込み始める。


***


 お腹の中の命を、穏やかに、流転型魔力の、温かさで、包む。


***


 同時に——彼女は、自分の魂の根幹で——『最後の、欠片』を、本格的に、発揮し始めた。


***


 母の魂の中の、最も尊い誓い。


***


 『この、お腹の中のお子様の、ご無事と、幸せ』。


***


 第58話で、彼女が、千年の口伝の継承者(ゲオルク+アネリーゼ)から、お預かりした、千年の知恵。


***


 彼女の魂が——その誓いを、闇と、命の魂の、間に、結界として、注ぎ込む。


***


 流転型魔力の温かさが——誓いの結界に、変わっていく。


***


 結界が、穏やかに、お腹の中の命の魂の周りに、本格的に、張られていく。


***


 同時に——ヴェレナ大司祭が、青の祈祷石の前で、穏やかに、千年前の祈祷の言葉を、唱える。


***


 ゲオルク+アネリーゼも、穏やかに、千年の口伝の知恵を、結界に、捧げる。


***


 ヴォルフラムも、ヴァルガルド皇家の千年の魔力を、青の祈祷石に、捧げる。


***


 三人の魔力が、穏やかに、青の祈祷石を、媒介に、結集。


***


 そして——


***


 お腹の中の命の本能的な力も——穏やかに、応える。


***


 第55話と同じく——四つの力の、結集の刻。


***


 大魔女エルメリンダの『穏やかな金色の光』。


 大聖女ヴェネシアの『穏やかな金色の光』。


 初代ヴァルガルド皇帝の『穏やかな金色の光』。


 そして、お腹の中の命の——『誰よりも純粋な、金色の光』。


***


 四筋の金色の光が——結婚式の聖堂の天井に、降り注ぐ。


***


 四人の契約の——本格的な、最後の発揮の、刻。


***


 お腹の中の命の魂の奥で——封印が、本格的に、崩壊し始めた。


***


 千年前の『無の魔』の最後の断片の、闇が、本格的に、姿を、現わす。


***


 漆黒の、深い、深い闇。


***


 けれど——


***


 その闇は——もはや、第55話の刻の、闇では、無かった。


***


 第57話の対話の刻に——セレスティアの母の慈悲によって、『一つの、魂』として、認められた、闇。


***


 闇の声が——穏やかに、お腹の中で、響いた。


***


 (——セレスティア——)


***


 (——わたくしは、約束、致しました——侵食、致しません——)


***


 (——けれど——『分離』の刻が、参りました——)


***


 (——母の誓いの結界を——しっかり、お護りくださりませ——)


***


 セレスティアの青の瞳から、穏やかな涙が、滴る。


***


 彼女の魂の中で——母の誓いの結界が、本格的に、完成した。


***


 四筋の金色の光と——母の誓いの結界が——


***


 お腹の中の命の魂を、完璧に、包み込む。


***


 そして——


***


 千年前の『無の魔』の最後の断片の、闇が——穏やかに、命の魂から、剥離し始めた。


***


 結界の中で、命の魂は——穏やかに、お護りされる。


***


 闇は、穏やかに——穏やかに——命の魂と、分離していく。


***


 千年の闇の——千年の孤独の——終焉の刻、だった。


***


 同じ刻——北方の海上。


***


 ヴィルヘルムの銀色のペンダントの中央の、青の小さな宝石が——


***


 穏やかに、深い、深い、金色の輝きを、最大限に、放ち始めた。


***


 セレスティアの『最後の、欠片』の発揮の刻と——本格的に、共鳴。


***


 ヴィルヘルムの剣が——穏やかな、深い、金色の光に、包まれる。


***


 いや——剣だけ、では、無い。


***


 北方辺境警備の精鋭部隊の、すべての武具が——穏やかに、母の慈悲の光に、包まれた。


***


 千年——アルテンブルク公爵家が、お護りして参った『獣化の現場』が——今、母の慈悲の光に、包まれている。


***


 ヴィルヘルム、穏やかに、深く、息を、吸う。


***


「——母の、慈悲、を——」


***


「——絶対に——あの、漆黒の船団に——」


***


「——超えさせませぬ——!」


***


 彼の剣が、穏やかに、漆黒の船団の一隻に、振り下ろされる。


***


 穏やかな金色の光が——漆黒の船体を、穏やかに、貫いた。


***


 漆黒の船体が、穏やかに、揺らぎ、沈み始める。


***


 精鋭部隊の、すべての武具が、穏やかに、漆黒の船団に、本格的な、迎撃を、開始。


***


 絶対零度の、色の無い、声が——再々演算を、続ける。


***


「——母の慈悲の、結晶——」


***


「——わたくしどもの観測の精度では——『説明、不能』——」


***


「——成功確率——再々々演算——」


***


「——再々々々——」


***


 漆黒の船団=三十隻のうち、三隻が——穏やかに、しかし、確実に、沈み始める。


***


 残りの船団の前進が——穏やかに、本格的に、停止した。


***


 ヴィルヘルム、絶対的な、騎士の覚悟で:「——お母様——お父様——」


***


「——わたくしは——絶対に——お護り致しております——!」


***


 要塞の最奥の、囚われの部屋——


***


 ガルバートの冷たい琥珀色の瞳が、穏やかに、震えた。


***


 千年——彼が、軽んじて参った『計算+愛』——


***


 その『愛』の力が——銀色のペンダントを、通じて、千年の北方の最果ての海で、漆黒の船団を、止めている。


***


 千年の計算の、化け物の——千年の敗北の、最後の、確信の刻、だった。


***


 結婚式の聖堂——


***


 セレスティアの陣痛が、最高潮を、超えた。


***


 彼女の細い手が、ヴォルフラムの手を、強く、握る。


***


「——陛下——!」


***


 ヴォルフラム、穏やかに、彼女の額の汗を、拭う。


***


「——セレスティア——わたくしは——お前と、わが子を、お護り致しておる——」


***


「——一緒に——お、お、お、お、お、迎え致そう——!」


***


 ジークリンデ+ヴェネシアの聖女たちが、穏やかに、出産を、お助け。


***


 お腹の中の命の魂は——母の誓いの結界の中で——穏やかに、完璧に、お護りされている。


***


 闇は——穏やかに、命の魂と、完全に、分離し始めた。


***


 そして——


***


 セレスティアの——絶叫、では、無い——


***


 千年の母の、絶対的な、生命の、誕生の、声が——


***


 結婚式の聖堂に、響き渡った。


***


 その刻——


***


 穏やかな、深い、新たな命の、産声が——


***


 結婚式の聖堂に、響き渡った。


***


 新たな、皇統の、誕生の刻。


***


 同時に——


***


 お腹の中の命の魂から、完全に、分離した、『無の魔』の最後の断片の、闇が——


***


 穏やかに——穏やかに——


***


 結婚式の聖堂の天井に向かって、立ち昇る。


***


 そして、聖堂の天井から——外側に——再び、追放される。


***


 千年前の、三人の契約の刻と、同じく——外側に、追放される、闇。


***


 けれど——その闇の声には——


***


 もはや、千年の、孤独の、震えは、無かった。


***


 穏やかな、救済の、響き、だった。


***


 (——セレスティア——)


***


 (——お護り——お、有難く——)


***


 (——わたくしは——千年——『絶対的な、悪』、と、呼ばれて、参った——)


***


 (——けれど——貴方は——わたくしを——『一つの、魂』、として——お、認めてくださった——)


***


 (——千年——初めて——わたくしの孤独を、お、認めて、頂いた——)


***


 (——貴方の、お、お腹の中の、お子様——)


***


 (——お、お、お、お、お、健やかに——お、お、お、お、お、お、お幸せに——)


***


 闇は、穏やかに、外側に、戻っていく。


***


 千年の闇の、千年の孤独の、終焉。


***


 セレスティアの腕の中に——


***


 穏やかに——


***


 新たな命が、お渡しされた。


***


 純白の布に、包まれた——小さな、小さな、命。


***


 深い、青の瞳——母譲り。


***


 穏やかな、銀色の髪の、僅かな兆し——父譲り。


***


 お腹の中で、千年の闇と、対峙し続けた、命。


***


 母の誓いの結界に、お護りされ続けた、命。


***


 新たな皇統の、誕生。


***


 セレスティアの青の瞳から、穏やかに、穏やかに——涙が、止まらなくなる。


***


 彼女の魂の根幹で——千年の母の、絶対的な、震えが、宿った。


***


 歓喜と、慶びと、深い、深い、生命の、奇跡の、震え。


***


「——お、お会いできました——」


***


 たった一度の『お、』。


***


 本話の、すべての刻を通じて——この、一打のみ。


***


 千年の母の、最も尊い、初めての、邂逅の、震え。


***


「——わが子——」


***


「——本当に——本当に、お会いできました、わ」


***


 吃音は、一切、無い。


***


 ただ——千年の慈悲の母の、最初の、絶対的な、愛の、響き、だけが、宿っていた。


***


 ヴォルフラムが、穏やかに、彼女と、新たな命を、抱きしめる。


***


 彼の『夜空の瞳』から——穏やかに、深い、感動の涙が、滴る。


***


「——セレスティア——」


***


「——わが子——」


***


 千年の獣の皇帝の——千年の孤独の系譜の——最も深い、慶びの刻、だった。


***


 結婚式の聖堂に=穏やかな、深い、新たな命の、息吹が、満ちている。


***


 四筋の金色の光が——穏やかに、新たな命の上に、降り注いでいる。


***


 大魔女エルメリンダ+大聖女ヴェネシア+初代ヴァルガルド皇帝+お腹の中で千年の闇と、対峙し続けた、お子様——


***


 四位一体の、金色の光の、本格的な、定着。


***


 帝都の市民+大陸全土が——新たな皇統の誕生に、穏やかに、歓喜の声を、上げ始める。


***


 北方の海上——


***


 ヴィルヘルムの北方の盾が、漆黒の船団の前進を、本格的に、停止させた。


***


 大陸全土の同盟軍が、穏やかに、勝利の歓喜を、上げ始める。


***


 千年の獣の皇帝の血を引く、新たな皇統が——今、千年の闇を、超えて、誕生した。


***


 千年前の三人の契約の——本格的な、お円環の、最終的な完成。


***


 四人の契約の——本格的な、定着。


***


 けれど——


***


 同じ刻——


***


 帝都の上空の『色の、無い、光』が、穏やかに、変化を、見せた。


***


 絶対零度の、色の無い、声が、淡々と、響く。


***


「——お見事でござりました」


***


「——『分離』が、成功、致しました」


***


「——『無の魔』の最後の断片は、外側に、追放、致されました」


***


「——けれど——」


***


 その声に、僅かな、しかし、絶対的な、変化。


***


「——わたくしどもは、再々々演算、致しました」


***


「——『無の魔』の最後の断片が、外側に、追放、致された、刻——」


***


「——その『闇』の本質が——お子様の魂の、奥に、僅かに、残留、致している、可能性が、ござります」


***


 ヴォルフラム+セレスティアの瞳が、瞬時に、見開かれる。


***


「——わたくしどもは——お子様の魂の、奥の——『残留した闇の、痕跡』を——」


***


「——穏やかに、最終的に、回収、致したく、ござります」


***


「——『お子様の、魂の、奥の、痕跡』を、回収、致せば——」


***


「——大陸の、千年の、安全が、確定、致します」


***


 ヴォルフラム、絶対零度に:「——許さぬ——!」


***


「——わたくしどもの、お子様を——貴方たちに、触れさせる、ことは——絶対に、許さぬ——!」


***


 『色の、無い、光』:「——では——お考えくださりませ」


***


「——『残留した闇の、痕跡』は——お子様のご成長と、共に——穏やかに、影響を、及ぼす、可能性が、ござります」


***


 漆黒の船団は、北方の海上で、穏やかに、停止しているが——撤退、していない。


***


 ヴィルヘルムの北方の盾が、阻んだ、後の、観測の継続。


***


 セレスティアの青の瞳が、穏やかに、わが子の青の瞳を、見つめる。


***


 彼女の腕の中で——新たな命は、穏やかに、深い、母の腕の温かさに、抱かれている。


***


 その青の瞳の奥——


***


 彼女は、穏やかに、見た。


***


 深い、深い、青の瞳の、最も奥に——


***


 千年前の闇の、最も微かな、痕跡が——穏やかに、宿っている、ことを。


***


 けれど——その痕跡は、もはや、邪悪では、無い。


***


 千年の闇の、千年の孤独の、最後の、お、置き土産——穏やかな、感謝の、痕跡。


***


 セレスティアは、穏やかに、ヴォルフラムを、見つめる。


***


「——陛下——」


***


「——わが子の魂の、奥に——確かに、痕跡が、ござります」


***


「——けれど——」


***


「——その痕跡は——邪悪では、ござりません」


***


「——千年の闇が、最後に、わが子に、お、託した——感謝の、痕跡で、ござります」


***


 ヴォルフラム、穏やかに、深く、頷く。


***


「——わたくしも——感じておる、セレスティア」


***


 彼の『夜空の瞳』に——絶対零度の、新たな、決意の炎。


***


「——けれど——『未知の文明』は——その痕跡を、回収、致すために——」


***


「——必ず、本格的な、最後の、介入を、致そう」


***


 大陸全土の——絶対的な、最終決戦の、刻が——


***


 穏やかに——しかし、確実に——近づきつつ、あった。


***


 千年前の闇は——分離された。


***


 新たな命は——誕生した。


***


 けれど——


***


 千年の千年の——『真の、平和』を、確立する為には——


***


 未知の文明の——絶対零度の、合理性に対する——


***


 千年の慈悲の、最後の、答えを——


***


 お、お、出さねば、ならぬ。


***


 『次の刻』=最終話=未知の文明への、最後の、絶対的な、対峙+残留した痕跡への、お、最終的な、対処+真の平和の、本格的な確立+大団円——の、刻が——


***


 結婚式の聖堂の、新たな命の、穏やかな、産声の中で——


***


 穏やかに——大陸全土を、待っていた、のだった。

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