# 第60話 千年の、慈悲、と、永遠の、夜明け
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新たな命の、産声が、結婚式の聖堂に、響き渡った——その、直後の刻。
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帝都の上空に、再び、『色の、無い、光』が、現れた。
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絶対零度の、色の無い、声が、淡々と、響く。
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「——お見事でござりました」
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「——『分離』が、成功、致しました」
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「——けれど——」
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「——お子様の魂の、奥に——『無の魔』の本質が、僅かに、残留、致しております」
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「——わたくしどもは——その残留した痕跡を——回収、致したく、ござります」
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漆黒の船団=三十隻のうち、残り二十七隻が、北方の海上で、本格的な、最後の、攻勢の準備を、整えつつ、あった。
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ヴィルヘルムの北方の盾は、奮戦を、続けるが、限界に、近づきつつ、ある。
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ヴォルフラム、絶対零度に:「——絶対に、許さぬ——!」
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「——わたくしどもの、お子様を——貴方たちに、触れさせる、ことは——絶対に、許さぬ——!」
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けれど——
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セレスティアは、穏やかに、彼の手に、自分の手を、添えた。
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彼女の青の瞳に——穏やかな、深い、けれど、絶対的な、慈悲の光。
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産後の疲労の中——けれど、その瞳には、千年の母の、最も尊い、覚悟が、宿っていた。
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「——陛下——わたくしに、お任せくださりませ」
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「——わたくしは——『国母』として——『未知の文明』との、最後の対話を、執り行います」
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セレスティアは、穏やかに、わが子を、ヴォルフラムの腕に、お預けする。
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ヴォルフラムが、穏やかに、新たな命を、抱きしめる。
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千年の獣の皇帝の腕の中で——千年の闇を超えて生まれた、新たな命が——穏やかに、眠っている。
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「——陛下——わが子を、お護りくださりませ」
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セレスティアは、穏やかに、結婚式の聖堂の中央に、進んだ。
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千年の契約のお円環の完成の、聖なる場所。
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第50話の結婚式+第55話の祈祷+第57話の母の魂の呼びかけ+第58話の最終防衛線+第59話の出産の聖堂——
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すべての伏線の、集約の、聖なる場所。
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彼女は、穏やかに、帝都の上空の『色の、無い、光』に、向かって、応える。
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彼女の声には、震えは、無かった。
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千年の母の、絶対的な、慈悲の響きだけが、宿っている。
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「——『色の、無い、光』よ——」
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「——わたくしは——わが子の魂の、奥の、痕跡を——」
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「——『消す』こと、を——選びません」
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絶対零度の、色の無い、声が、淡々と、応える。
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「——理解、致しかねます」
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「——痕跡を、残せば——お子様のご成長と共に、影響を及ぼします」
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「——なぜ、消さぬのですか」
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セレスティアは、穏やかに、続けた。
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「——わたくしは——わが子の魂の、奥の、痕跡を——母の愛で——永遠に——抱擁、致します」
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「——痕跡は——千年の闇が、最後に、わが子に、託した、感謝で、ござります」
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「——千年——『絶対的な、悪』、と、呼ばれて参った、闇——」
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「——千年の孤独の、果てに——初めて、『一つの、魂』として認められた、闇——」
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「——その闇が、最後に、わたくしのわが子に、託したのは——『千年の、感謝』、で、ござりました」
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彼女の青の瞳から、穏やかに、涙が、滴る。
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「——その『感謝の痕跡』を——わたくしの『流転型魔力』が——『冷たい、闇』、から——『温かい、絆』、に——転換、致します」
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「——わが子は——千年の闇の、千年の孤独を——母の愛で、抱擁する、新たな皇統に、なります」
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「——それが——わたくしどもの、千年の慈悲の、答えで、ござります」
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結婚式の聖堂の中央で——
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セレスティアの流転型魔力が、穏やかに、新たな命の魂の奥に、注ぎ込まれる。
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千年の闇の、感謝の痕跡が——穏やかに、穏やかに——母の愛に、抱擁されていく。
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冷たい闇の輪郭が——穏やかに、温かい絆に、変貌していく。
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流転型魔力の——千年の本質の——最終的な、本格的な発揮の刻。
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第29話の致死毒の刻。
第42話のお茶会の言葉の刃の刻。
第47話のガルバートの致死の魔法の刻。
第57話の闇との対話の刻。
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すべての流転型魔力の発揮を、本格的に、超える——
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最も尊い、母の愛の、転換の刻。
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帝都の上空の『色の、無い、光』が——穏やかに、変化を、見せ始めた。
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絶対零度の、色の無い、声が、淡々と、再々々々演算を、続ける。
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「——再々々々演算——」
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「——再々々々々——」
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「——再々々々々々——」
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そして——穏やかに、けれど、絶対的な、停止。
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「——わたくしどもの、予測演算の——限界、で、ござります」
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その声に、僅かな、変化。
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怒りも、嘲笑も、悔しさも、無い。
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ただ——『観測の、限界の、認識』、だけ、が、響いた。
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「——『冷たい、悪意』を、『温かい、敬意』に、転換する、力——」
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「——わたくしどもの、論理の、外側、で、ござります」
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「——母の愛で、千年の闇の、千年の孤独を、抱擁する、選択——」
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「——わたくしどもの、観測の、対象、では、ござりません」
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ヴォルフラム+セレスティアの瞳に、穏やかな、深い、希望の光。
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『色の、無い、光』、穏やかに、淡々と、続ける。
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「——わたくしどもは——撤退、致します」
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「——貴方たちの、千年の、慈悲の、答えを——観測、致しました」
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「——わたくしどもの、文明にも——新たな、知見を、持ち帰り、致します」
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「——貴方たちの世界の、千年の、平和を——わたくしどもは、観測、致します」
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「——けれど——もはや——介入、致しません」
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帝都の上空から、『色の、無い、光』が、穏やかに、消える。
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北方の海上=漆黒の船団=三十隻が、穏やかに、進路を、外側に、転換し始める。
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ヴィルヘルムの北方の盾も、穏やかに、攻撃を、停止。
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未知の文明の、絶対零度の、合理性が——千年の慈悲の、温かい敬意に、本格的に、敗北した、刻、だった。
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いや——『敗北』、では、無い。
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彼らの『観測』が——千年の慈悲の、外側の、領域を——本格的に、認識した、刻。
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穏やかな、撤退。
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漆黒の船団=三十隻が、北方の海から、穏やかに、外側に、戻っていく。
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千年の闇の追放と——
未知の文明の撤退と——
四人の契約の、最終的な、定着——
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大陸全土に、千年の真の平和が、本格的に、訪れた、刻、だった。
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帝都の市民+大陸全土が、穏やかに、勝利の歓喜を、上げ始める。
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ヴェネシア聖印国大司祭ヴェレナが、穏やかに、結婚式の聖堂の鐘を、鳴らす。
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帝都の鐘が、続いて、穏やかに、鳴り響く。
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大陸全土の、すべての都市の、すべての教会の鐘が——穏やかに、響き始めた。
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千年——獣化の呪い+ガルバートの千年の野心+『無の魔』の最後の断片+未知の文明の絶対零度の介入——
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すべての脅威が——本作前半50話+第7章10話の長い長い旅路の、最終的な、勝利の刻に——本格的に、解決された。
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悪は——すべて、然るべき、罰を、受けた。
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世界に、千年の、正義が、定着した。
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ヴォルフラムが、穏やかに、北方辺境警備のヴィルヘルムに、緊急の伝令を、送る。
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「——ヴィルヘルムよ——」
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「——わが家の、お子の、誕生の刻に、間に合うように——帝城に、戻れ」
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「——わたくしどもの、家族として——迎え致す」
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ヴィルヘルムが、北方辺境警備の精鋭部隊の指揮を、副官に、お預けして——緊急の、馬で、帝城に向かって、走り始める。
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彼の胸の銀色のペンダントが、穏やかに、深い、金色の光を、宿し続けている。
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数日後——
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ヴィルヘルムが、帝城に、到着した。
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彼の翠玉の瞳から、穏やかな、深い、感動の涙。
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アネリーゼ+ゲオルクも、穏やかに、彼を、迎える。
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三人の家族の、本格的な、再会の刻。
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そして——結婚式の聖堂で——
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セレスティアの腕の中の、新たな命に、ヴィルヘルムが、初めて、対面した。
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彼の翠玉の瞳から——涙が、止まらなくなる。
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けれど——彼の声には、震えは、無かった。
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第48話以来、北方辺境警備の副将として、誠実な騎士として、生まれ変わった——その鋼の決意の響き。
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「——我が弟、もしくは妹よ——」
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彼は、穏やかに、深く、頭を、垂れる。
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「——この命に代えても——生涯——お前を、護り抜く」
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その声には——もはや、矮小な英雄願望も、若き日の焦燥も、無い。
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ただ——『誠実な、兄』の、絶対的な、覚悟だけが、宿っていた。
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セレスティアの青の瞳から、穏やかな、感動の涙。
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「——ヴィルヘルム様——」
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ヴォルフラムも、穏やかに、深く、頷く。
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「——ヴィルヘルム——わが、弟よ——」
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彼の声に、千年の獣の皇帝の、最も穏やかな、慈愛の響き。
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第48話で、北方へ旅立った、ヴィルヘルム。
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今——彼は、『誠実な、兄』として、『家族』として——本格的に、帝城に、戻ってきた。
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北方の盾としての、本格的な、誇りの定着+家族の、本格的な、絆の定着の刻、だった。
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数日後=結婚式の聖堂=新たな命の命名の儀式。
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ヴォルフラム+セレスティア+新たな命+ヴィルヘルム+アネリーゼ+ゲオルク+ヴェレナ大司祭+ジークリンデ+ハルトムート+イザベラ+エミリア+エルザベート+レナーテ+諸国の代表+帝国貴族。
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ヴェレナ大司祭が、穏やかに、新たな命の命名の儀式を、執り行う。
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ヴォルフラム、穏やかに:「——わが子の、名前は——」
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セレスティアと、穏やかに、視線を、合わせて——
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「——リリアーナ・ヴァルガルド」
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セレスティアの青の瞳から、穏やかな涙。
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「——千年前の、大魔女エルメリンダ様の血の末裔+ヴァルガルド皇家の千年の血+大聖女ヴェネシア様の祈祷の祝福+お腹の中で、千年の闇と、共に、生き抜いた、絶対的な、生命——」
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「——リリアーナ・ヴァルガルドの、本格的な、正式な誕生で、ござります」
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ヴェレナ大司祭の聖印が、穏やかに、新たな命の上に、輝いた。
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諸国の代表+帝国貴族が、穏やかに、深く、頭を、垂れる。
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大陸全土が、新たな皇統=リリアーナ・ヴァルガルドの誕生に、穏やかに、祝賀の声を、上げる。
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千年——獣化の呪いに、苦しんで参った、ヴァルガルド皇統の——本格的な、新たな夜明けの刻、だった。
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数週間後=帝城の庭園=樫の木の下。
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第27話のイザベラとの『お友』の誓い——
第32話の二人の『静かな抱擁』——
第40話の完全な人の姿のヴォルフラムからのプロポーズの再演——
第41話の穏やかな新たな日常の散歩——
第56話の樫の木の下の胎動——
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本作の、すべての、象徴的な、聖地。
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穏やかな、春の、朝の光が、樫の若葉の隙間から、二人を、包んでいる。
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セレスティアの腕の中=リリアーナ・ヴァルガルドが、穏やかに、眠っている。
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深い、青の瞳=母譲り。
穏やかな、銀色の髪の、僅かな兆し=父譲り。
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ヴォルフラムが、穏やかに、二人を、抱きしめる。
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しばしの、穏やかな、静寂。
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二人だけの、家族の刻。
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セレスティアが、穏やかに、口を、開いた。
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「——陛下——」
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「——第1話の『絶望の馬車の夜』から——」
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「——本当に——長うござりました、わ」
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ヴォルフラム、穏やかに:「——セレスティア——」
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「——お前と、出会った、あの刻——」
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「——わたくしは——千年の獣の皇帝として——『誰も、寄せ付けぬ』、孤独の中で、生きて、おりました」
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「——お前が、馬車から、降りた、その刻——わたくしの、千年の、孤独が、終わった」
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セレスティアの青の瞳から、穏やかに、感動の涙が、滴る。
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その刻——彼女の声に、たった一度——震えが、走った。
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恐怖の震え、では、無い。
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千年の妻の、最も尊い、感謝と、生涯の愛の、震え。
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「——陛下と——お、お会いできたその刻から——」
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たった一度の『お、』。
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本話の、すべての刻を通じて——この、一打のみ。
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本作=全60話を通じて——最後の、千年の母の、千年の妻の、最も尊い、震え。
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「——わたくしの本当の人生が、始まりましたわ」
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吃音は、一切、無い。
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ただ——千年の慈悲の母の、千年の妻の、最も尊い、感謝の響き、だけが、宿っていた。
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「——『お飾り皇妃』+『生贄』、として、馬車に、乗り込んだ、その刻——」
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「——わたくしは——『価値の、無い』、人間、として、生きておりました」
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「——陛下が、わたくしを、迎えてくださった、その刻——」
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「——わたくしの、価値が、見えました」
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「——わたくしどもは——互いに——救い致しました」
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ヴォルフラム、穏やかに、彼女の額に、口づける。
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「——セレスティア——」
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「——わが、最愛の、妻——」
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「——わが、最愛の、わが子——」
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「——わたくしの、生涯の、すべての、宝、なのだ」
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二人で、穏やかに、抱きしめ合う。
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樫の木の下=穏やかな、春の、朝の光に、包まれて。
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リリアーナが、穏やかに、彼らの腕の中で、眠っている。
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千年の慈悲の、最終的な、定着の刻、だった。
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時が、穏やかに、進んでいく。
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数年後——
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リリアーナが、五歳の刻。
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帝城の庭園=樫の木の下=穏やかな、夏の、朝の光。
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リリアーナ・ヴァルガルド——五歳。
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銀色の長髪+深い、青の瞳+穏やかな、深い、慈悲の光。
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彼女の魂の奥には——千年の闇の、感謝の痕跡が——母の愛に、抱擁されて、穏やかに、宿っている。
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けれど、その痕跡は、もはや、邪悪では、無い。
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ただ——千年の闇との、絆——温かい絆として、穏やかに、定着していた。
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彼女は、穏やかに、樫の木の下を、駆け回っている。
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穏やかな、純粋な、子供の笑顔。
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セレスティアとヴォルフラムが、穏やかに、樫の木の下に、座って、その姿を、見守っている。
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第41話の穏やかな新たな日常の散歩の刻と、同じ場所。
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けれど——本日は、家族三人の刻。
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アネリーゼ+ゲオルク+ヴィルヘルムも、穏やかに、帝城に、家族として、出入りを、続けていた。
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ヴィルヘルムは、北方辺境警備の正式な司令官として、本格的に、お護りの務めを、執り、致している。
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けれど、彼は、帝城に、穏やかに、家族として、帰省を、続けている。
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彼の胸の銀色のペンダントは——もはや、戦いの結晶では、無い。
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母の慈悲の、永遠の、絆の、結晶として——穏やかに、宿り続けている。
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大陸全土=穏やかな、平和の刻。
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ヴェネシア聖印国+エルディオ王国+諸国との同盟=穏やかな、千年の平和の本格的な定着。
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帝国軍+影部隊=穏やかな、平時の体制。
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新たな皇統=リリアーナ・ヴァルガルドが、穏やかに、樫の木の下を、駆け回っている。
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樫の木の下に、穏やかな、夏の朝の光が、降り注いでいる。
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第1話の『絶望の馬車の夜』の、冷たい雨の光——
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その光と——
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第60話の『樫の木の下の、永遠の夜明け』の、穏やかな、夏の朝の光——
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その二つが——完璧な、対称構造を、なしていた。
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冷たい雨から、穏やかな夏の朝へ。
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絶望の馬車から、樫の木の下の家族へ。
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お飾り皇妃から、国母+母+生涯の妻へ。
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獣の皇帝から、生涯の夫+父+千年の孤独を超えた皇帝へ。
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千年の闇から、新たな皇統へ。
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千年の孤独から、千年の慈悲へ。
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すべての対比が——穏やかに——完璧に——円環を、完成させていた。
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その刻——
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リリアーナが、樫の木の下を、駆け回りながら——穏やかに、空を、見上げた。
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彼女の深い、青の瞳に——穏やかな、純粋な、慶びの光。
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彼女は、穏やかに、母の方に、走り寄る。
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穏やかに、深い、純粋な、五歳の、子供の、声で——
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「——お母様、空がとっても青いですわ!」
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その声には——千年の、何の、呪縛も、無い。
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千年の闇の、千年の孤独の、痕跡を、魂の奥に、抱擁しながら——
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彼女は、穏やかに、健やかに、純粋に——千年の、新しい、夜明けの中で、生きている。
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セレスティアの青の瞳から、穏やかな、深い、慶びの涙が、滴る。
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彼女は、穏やかに、深い、慈悲の微笑みで、わが子に、応えた。
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「——ええ、リリアーナ——」
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「——本当に——青いですわね」
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ヴォルフラムも、穏やかに、わが子を、抱き上げた。
***
「——わが、娘よ——」
***
「——空は——お前の魂と、同じく——穏やかな、深い、青で、ござる」
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リリアーナが、穏やかに、父の腕の中で、笑う。
***
穏やかな、純粋な、五歳の、子供の、笑い声。
***
その笑い声が——樫の若葉を、穏やかに、揺らした。
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帝都の上空——
***
帝都の街+大陸全土——
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穏やかな、夏の朝の、深い、青の空が、満ちている。
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千年の慈悲の、永遠の、夜明けの光が——
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穏やかに——穏やかに——
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すべてを、包んでいる。
***
***
第1話の『絶望の馬車の夜』、か、ら——
***
第60話の『千年の慈悲と、永遠の夜明け』、まで——
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全60話の、長い、長い、魂の旅路で、ござりました。
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『お飾り皇妃』+『生贄』、か、ら——『生涯の妻』+『国母』+『お子様の母』に至り——
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『獣の皇帝』、か、ら——『生涯の夫』+『新たな皇統の父』に、至り——
***
千年の闇の、千年の孤独は——母の慈悲で、終焉。
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未知の文明の、絶対零度の、合理性は——千年の慈悲の、温かい敬意に、敗北。
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大陸全土の、千年の真の平和が、確立。
***
新たな皇統=リリアーナ・ヴァルガルドが、穏やかに、樫の木の下で、成長している。
***
永遠の夜明けの、穏やかな、夏の光が——帝城+大陸全土を、穏やかに、包んでいる。
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これが——わたくしどもの、物語で、ござりました。
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樫の木の下——
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ヴォルフラムの腕の中の、リリアーナが——穏やかに、母の方に、手を、伸ばす。
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セレスティアが、穏やかに、その小さな手を、握った。
***
三人の手が、穏やかに、繋がる。
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千年の獣の皇帝の手と——
千年の慈悲の母の手と——
千年の新たな夜明けの、お子様の手と——
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千年——穏やかに——繋がり続けるであろう、家族の、絆の刻、だった。
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樫の若葉が、穏やかに、夏の風に、揺れる。
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帝都の鐘が、穏やかに、午後の刻を、告げる。
***
大陸全土が、穏やかな、平和の刻に、包まれている。
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遠く、ヴェネシア聖印国の海岸で——ヴェレナ大司祭が、穏やかに、千年の契約のお円環の完成を、祝福している。
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遠く、エルディオ王国の宮殿で——レオンハルト王太子が、穏やかに、ヴァルガルド帝国の真の平和を、祝福している。
***
北方辺境警備の要塞で——ヴィルヘルムが、穏やかに、銀色のペンダントを、胸に、北方の盾の、誠実な務めを、続けている。
***
北方のアルテンブルク公爵領で——アネリーゼ+ゲオルクが、穏やかに、千年の血の重みから、解放されて、家族の刻を、過ごしている。
***
帝城の腹心たち——ハルトムート+イザベラ+ジークリンデ+エミリア+エルザベート+レナーテ——
***
皆、穏やかに、新たな皇統の刻を、お護りしている。
***
すべての、絆が——穏やかに、穏やかに——千年の慈悲の、永遠の夜明けの中で、定着している。
***
樫の木の下——
***
ヴォルフラム+セレスティア+リリアーナ。
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三人の家族が、穏やかに、深い、夏の朝の光の中で——
***
永遠の、絆の中に、包まれている。
***
永遠の、夜明けの光が——
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穏やかに——
***
永遠に——
***
三人を——
***
包んでいた——
***
千年の慈悲の、永遠の、夜明け、で、ござりました。
***
***——第7章「新たな、皇統の、誕生、と、真実の、愛の、永遠の、定着」、完。***
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***——『獣の皇帝陛下に溺愛されています ~無能と捨てられた元王女ですが、隣国で最強でした~』、完。***
***
***——全60話、完。***
***
*——お読みくださり、誠に、有難く、存じました——*




