# 第56話 八ヶ月の、約束
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満月の夜の祈祷の、翌朝。
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帝城の皇帝の寝室に——穏やかな、深い、秋の朝の光が、満ちていた。
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セレスティアは、ヴォルフラムの腕の中で、穏やかに、目覚めた。
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彼女の細い手が、穏やかに、自分のお腹に、置かれる。
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お腹の中の命は——穏やかに、穏やかに——眠っている。
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けれど、彼女は、感じ取った。
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お腹の中の命の魂の奥に——千年前の『無の魔』の最後の断片の闇が——四人目の純粋な金色の光に、封じ込められている。
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昨夜の、未知の文明の冷酷な再演算が、彼女の魂の奥に、刻まれていた。
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『出産の刻の、内側からの崩壊、確率——百パーセント』
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ヴォルフラムも、穏やかに、目を、開く。
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彼の『夜空の瞳』が、彼女の青の瞳を、見つめる。
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「——セレスティア——」
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「——お腹の中の命は——安らかか」
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セレスティアの青の瞳に、穏やかな、深い、覚悟の光。
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「——ええ、陛下——穏やかに、眠って、おります」
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「——けれど——」
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彼女の細い手が、穏やかに、お腹に、置かれた。
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「——確かに——『あの闇』が——封じ込められて、おります」
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「——『四人目の、純粋な、金色の光』に——」
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二人の視線が、穏やかに、繋がる。
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二人は——『冷酷な再演算』の真実を、共に、引き受けた。
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朝食の刻=帝城の大広間。
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セレスティア+ヴォルフラム+腹心たちが、穏やかに、揃った。
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セレスティアは、穏やかに、口を、開いた。
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「——皆様——」
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「——昨夜の、未知の文明の警告を——皆様も、お聞きで、ござりました」
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「——わたくしのお腹の中の、新たな命の魂の奥に——『無の魔』の闇が、封じ込められて、おります」
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「——出産の刻に——内側から、崩壊する、可能性が——百パーセント」
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腹心たちの瞳に、穏やかな、深い、緊張。
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ジークリンデ、穏やかに:「——皇妃殿下——」
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「——お辛い、お話を、お聞き致します」
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セレスティア、穏やかに、頷く。
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「——けれど——わたくしは——『絶望』致しません」
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彼女の青の瞳に——穏やかな、深い、決意の光が、宿った。
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その刻——彼女の声に、たった一度——震えが、走った。
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恐怖の震え、では、無い。
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絶対的な、覚悟が——魂の根幹から、立ち上がる、震え。
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「——千年前の三人の契約は、千年前の知恵で、お、お築かれました」
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たった一度の『お、』。
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本話の、すべての刻を通じて——この、一打のみ。
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国母としての、絶対的な、覚悟の、震え。
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「——わたくしどもは——昨夜——『四人の契約』に、進化、致しました」
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「——ならば——この『内側からの崩壊』も——わたくしどもの『新たな知恵』で、超えてみせます」
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「——『八ヶ月』、ござります」
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「——『八ヶ月』の、刻で——わたくしどもは——『出産の刻の、新たな知恵』を、築きます」
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吃音は、一切、無い。
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ヴォルフラムも、穏やかに、頷く。
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「——わたくしも、お前と、共に——『新たな知恵』を、築き致す」
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「——お腹の中の命を——絶対に——『無の魔』の、新たな入れ物に、致さぬ」
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数日後——ヴェレナ大司祭は、ヴェネシア聖印国へ、帰還。
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けれど、密接な書簡の連絡を、継続。
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帝城からヴェレナへの正式な書簡:
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『大聖女ヴェネシアの千年の神話の、すべての記述を、再調査、頂きたく』
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『「内側からの崩壊」への対策の知恵が、神話の中に、残されていないか』
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『出産の刻の、本格的な準備の知恵を——』
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ヴェレナからの返信:
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『大聖女ヴェネシアの千年の神話の、すべての記述を、再調査、致しております』
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『「内側からの崩壊」の、僅かな、可能性の記述を、発見、致しました』
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『けれど——対策の具体的な知恵は、ま、だ、不明、で、ござります』
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『大魔女エルメリンダの千年の神話との、照合が、必要、で、ござります』
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セレスティアも、穏やかに、大魔女エルメリンダの千年の神話を、再調査し始める。
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母エレオノーラから継承した、千年の神話の、断片。
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ジークリンデの千年の魔術の知恵。
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すべての知恵を、総動員して——出産の刻の対策を、築こうとする刻。
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三人の血の末裔の、本格的な、知恵の探索の刻。
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数週間後——北方辺境警備の要塞からの書簡が、届いた。
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ヴォルフラム+セレスティアからの真実の告知への、ヴィルヘルムの返信。
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彼の丁寧な、けれど、力強い、筆跡。
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『お母様——お父様——』
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『弟様、もしくは妹様の、魂の奥に——千年前の闇が——』
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『わたくしの心も、震えております』
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『けれど——』
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『わたくしは、北方辺境警備の副将として——「お腹の中の命に、何があろうと、お護り、致す」、決意で、ござります』
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『「未知の文明」が、北方の海から、来るとすれば——わたくしが、北方の盾として、最前線で、お護り、致します』
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『お母様から贈ってくださった、銀色のペンダントを——』
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『わたくしの命の代わりに——お腹の中の、お子様に、お贈り致したい、ほど、で、ござります』
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『けれど——お母様の、ペンダントは——わたくしの、誠実な騎士としての、誇りの、象徴で、ござります』
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『この誇りを、胸に——北方の盾として——絶対に、お護り、致します』
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セレスティアの青の瞳から、穏やかな涙が、滴った。
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第48話の、泥まみれの懺悔の刻に、北方へ旅立った、ヴィルヘルム。
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あれから、彼は——銀色のペンダントを胸に、誠実な騎士として、生まれ変わった。
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今——彼は、『お腹の中の弟様、もしくは妹様』の為に——北方の盾として、命を、賭ける覚悟を、固めた。
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ヴォルフラムも、穏やかに、深く、頷く。
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「——ヴィルヘルムは——『真の兄』として——本格的に、立ち上がって、おる」
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アネリーゼ+ゲオルクからも、穏やかに、祈りの書簡が、届いた。
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千年の、孤独な、血の重みを、超えて——大陸全土が、お腹の中の命の為に、立ち上がる刻。
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時間が、穏やかに、しかし、確実に、進んでいく。
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祈祷の刻から——約三ヶ月後。
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妊娠期間=約四ヶ月の刻=妊娠中期の本格的な開始。
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セレスティアのお腹は——穏やかに、明らかに、膨らんでいた。
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純白の祈祷の衣装+穏やかな金色の刺繍+お腹の膨らみが、目立つ姿。
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ある、秋の夕暮れの刻——
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帝城の庭園=樫の木の下。
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第27話のイザベラとの『お友』の誓いの刻。
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第32話の二人の『静かな抱擁』の刻。
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第40話の完全な人の姿のヴォルフラムからの、プロポーズの再演の刻。
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第41話の、穏やかな新たな日常の散歩の刻。
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すべての、伏線の、聖地。
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セレスティア+ヴォルフラムが、穏やかに、樫の木の下に、座っていた。
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秋の夕暮れの光が——穏やかに、樫の葉の隙間から、二人を、包んでいる。
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穏やかな、深い、金色の、夕暮れの光。
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ヴォルフラムが、穏やかに、セレスティアのお腹に、手を、置いた。
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彼の人間の男の、温かい手のひら。
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千年——獣の皇帝として、誰の体温にも、触れず——孤独に、世界を、睥睨し続けた、男の、手のひら。
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その手のひらが——今、穏やかに、彼の血を引く、新たな命の上に、置かれている。
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その瞬間——
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彼の手のひらに——
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トン——
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穏やかな、小さな、生命の、ノックが——伝わった。
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いや——『ノック』、では、無い。
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もっと、穏やかな——もっと、小さな——けれど、確かに——『生』、の、合図。
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胎動。
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お腹の中の命の——確かな、命の、合図。
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ヴォルフラムの『夜空の瞳』が——
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大きく——大きく——見開かれた。
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千年——獣の呪いの、入れ物として——誰の体温にも、触れず——
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千年——世界の、すべての温かさを、外側に、置いて、生きた、男の、瞳。
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その瞳が——
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今——
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『自分の、血を引く、自分より、小さな命が——確かに、そこで、生きて——自分を、呼んでいる』、その事実に——直面した。
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千年の、孤独な皇帝の——
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千年の、孤独の系譜の——
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最後の、最後の、欠片が——
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その小さな、トン——の、一打、で——
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穏やかに——穏やかに——完全に、崩れ落ちた。
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「——セレスティア——!」
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彼の声が、震えていた。
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千年の獣の皇帝の——絶対零度の皇帝の——ガルバートを粉砕した皇帝の——
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その声が——一人の、父としての、純粋な、歓喜で——震えていた。
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「——お腹の中の命が——動いた——!」
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セレスティアの青の瞳から、穏やかな、感動の涙。
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「——ええ、陛下——お腹の中の、お子様が——確かに、生きて、いらっしゃいます」
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ヴォルフラムの『夜空の瞳』に——
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穏やかな、けれど、絶対的な——『新たな炎』が、宿った。
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千年の孤独の、欠片が、崩れ落ちた、後に——
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その瞳の奥に、立ち上がった、新たな炎。
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ガルバートを粉砕した、絶対零度の冷徹さを——遥かに、超える——
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『この命を、絶対に、死なせない』
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『「無の魔」の、内側からの崩壊を——絶対に、阻止、致す』
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『この、小さな、生命の、合図を——出産の刻まで——絶対に、お護り、致す』
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以前の彼を、遥かに、超える——『狂おしいほどの、父の、執念』。
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彼は、穏やかに、自分の額を、セレスティアのお腹に、寄せた。
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「——お、お腹の中の、お子様——」
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ではなく——
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「——わが、子よ——」
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彼の、初めての、父としての、呼びかけ。
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「——お前を——絶対に——お護り致す」
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「——お前の、お母様も——絶対に、お護り致す」
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「——『無の魔』の、闇が——お前の魂の奥で、崩壊、致す前に——」
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「——わたくしどもは——『新たな知恵』を——必ず、お築き致す」
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「——お前は——お前自身として——この世に、生まれてくる」
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「——『無の魔』の、入れ物では、なく——『わが、最愛の、子』として——生まれてくる」
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お腹の中の命が——穏やかに——彼の額の温かさに、応えるように——再び——
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トン——
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その一打が——
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千年の孤独の皇帝の魂を——完全に、別人にした、刻、だった。
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数週間後——
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ヴォルフラムは、諸国の代表に、正式な書簡で、状況を、正確に、伝えた。
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ヴェネシア聖印国大司祭ヴェレナ=既に、知っている。
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エルディオ王国王太子レオンハルト=穏やかに、深い、衝撃。
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けれど、彼からの返信は——絶対的な、同盟の、誓いだった。
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『皇帝陛下——皇妃殿下——』
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『エルディオ王国の、すべての軍を——お、皇帝陛下の、お命令の下、に——お貸し致します』
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『大陸の、すべての民の為に——「無の魔」の、内側からの崩壊を、阻止、致す戦いに——』
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『エルディオ王国は、絶対的な、同盟、として——参陣、致します』
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諸国の代表+帝国貴族からも、同様の、絶対的な、同盟の誓いの返信。
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第50話の結婚式の祝祭の刻に、参列した諸国が——今、『無の魔』への、本格的な対抗の、同盟として、立ち上がった。
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大陸全土の、本格的な、対応の体制。
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帝国軍+影部隊+ヴェネシア聖印国+エルディオ王国+諸国の連携。
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第50話の結婚式は——単なる、儀式ではなかった。
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千年の、契約の円環の完成と——
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大陸全土の、対抗体制の、本格的な、基盤、だった、のだ。
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ヴォルフラムは、穏やかに、執務室の窓から、夕暮れの空を、見つめる。
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彼の『夜空の瞳』には——『狂おしいほどの、父の、執念』が、宿っている。
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(——わが子よ——)
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(——お前の、命を——絶対に、お護り致す——)
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帝城の庭園=樫の木の下=妊娠中期の本格的な開始の、ある夕暮れの刻。
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セレスティア+ヴォルフラムが、穏やかに、樫の木の下に、座っている。
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秋の夕暮れの光が、穏やかに、樫の葉の隙間から、二人を、包んでいる。
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穏やかな、深い、金色の、夕暮れの光。
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二人の周りに——穏やかな、完璧な、静寂と、愛が、満ちていた。
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セレスティア、穏やかに:「——陛下——」
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「——出産まで——あと、五ヶ月、で、ござります」
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ヴォルフラム、穏やかに、彼女のお腹に、手を、置く。
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お腹の中の命が、穏やかに、応える。
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トン——
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その小さな合図に——彼の『夜空の瞳』が、穏やかに、緩む。
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「——セレスティア——わたくしは——お前と、わが子を——絶対に、お護り抜く」
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「——『内側からの崩壊』を——絶対に、阻止、致す」
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セレスティアの青の瞳に、穏やかな、深い、決意の光。
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「——ええ、陛下——」
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「——わたくしも——お腹の中の、お子様の、本能的な、力を——信じます」
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「——『四人の契約』で——『新たな知恵』を、築き致します」
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二人は、樫の木の下で、穏やかに、抱きしめ合った。
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帝城の庭園に=穏やかな、秋の夕暮れの、金色の光が、満ちている。
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完璧な、夫婦の愛の、聖域の、刻。
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同じ夕暮れの、同じ秋の光の、下——
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遠く、遠く、離れた、北方の海上。
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漆黒の船団=三十隻が、穏やかに、停泊していた。
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帝城の庭園と、同じ、秋の夕暮れの、金色の光が——
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漆黒の船団の上にも、降り注いでいる。
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けれど——
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その金色の光は——
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漆黒の船団に、触れた瞬間——
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穏やかに、しかし、確実に——侵食され始めた。
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漆黒の船体が、夕暮れの金色の光を、吸い込んでいく。
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夕暮れの、温かい、金色の光が——船体の周りで、『色の、無い、何か』に、変わっていく。
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樫の木の下の、夫婦の聖域を包む光と——
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漆黒の船団に侵食される光は——
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同じ、夕暮れの、秋の光。
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けれど——
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漆黒の船団からは——一切、動きは、無い。
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『色の、無い、光』も、現れない。
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ただ——穏やかに、停泊し続けている。
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観測。
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ただ——観測。
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『出産の刻まで、見守る』
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その静けさこそが——絶対的な、恐怖だった。
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攻撃してくる、敵では、無い。
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怒り、嘲笑、感情——一切、無い。
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ただ——『出産の刻の、内側からの崩壊』を、穏やかに、観測している。
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タイムリミットまで——あと、五ヶ月。
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ヴォルフラム+セレスティア+ヴェレナの『新たな知恵』の探索は、続いている。
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大魔女エルメリンダ+大聖女ヴェネシアの千年の神話を、再調査している。
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けれど——『内側からの崩壊』への対策は——ま、だ、見つかっていない。
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樫の木の下の、夫婦の愛と——
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北方の海上の、漆黒の船団の、絶対零度の監視。
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同じ秋の夕暮れの光が——
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二つの、絶対的な、対極の刻を、穏やかに、包んでいる。
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時間は——穏やかに、しかし、確実に——出産の刻に向かって、進んでいく。
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戦慄の、カウントダウン。
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『次の刻』=妊娠後期の進行+お腹の中の命の中の『無の魔』の僅かな揺らぎ+『新たな知恵』の本格的な発見、の、刻が——
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絶対零度の、観測の中で——三人を、待っていた、のだった。




