表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『獣の皇帝陛下に溺愛されています ~無能と捨てられた元王女ですが、隣国で最強でした~』  作者: てん
第7章「新たな、皇統の、誕生、と、真実の、愛の、永遠の、定着」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/59

# 第54話 千年の、契約の、知恵



***


 帝城の皇帝の執務室。


***


 帝城の窓の外=夕暮れが、夜に、変わっていく刻。


***


 ヴォルフラム+セレスティアが、穏やかに、向き合っていた。


***


 第53話の『色の、無い、光』の本格的な接触と、未知の文明の冷徹な提案——その絶対的な拒絶の決意の、直後の刻。


***


 セレスティアが、穏やかに、口を、開いた。


***


「——陛下——」


***


「——わたくしどもは、『あれ』の提案を、絶対に、拒絶、致しました」


***


「——けれど——『あれ』の最後の断片への、別の対処を、考え、致さなければ、なりませぬ」


***


「——千年前——大魔女エルメリンダ+大聖女ヴェネシア+初代ヴァルガルド皇帝の、お三人の契約が——『あれ』を、外側に、追放、致しました」


***


「——わたくしどもは、お三人の、千年の、契約の知恵を、継承、致して、おります」


***


「——その知恵の中に——『無の魔』の最後の断片への対処が、ござるのでは、ないでしょうか」


***


 ヴォルフラム、穏やかに、頷く。


***


「——お前の、申す通りだ、セレスティア」


***


「——千年前の、三人の契約の、知恵——」


***


「——わたくし、ヴァルガルド皇家——お前、大魔女エルメリンダの血の末裔——」


***


「——そして——大聖女ヴェネシアの血の末裔——」


***


 二人の視線が、穏やかに、繋がる。


***


「——ヴェレナ大司祭を、帝城に、お招き致す」


***


 ヴォルフラムは、ハルトムートに、緊急の伝令を、命じた。


***


「——ヴェネシア聖印国大司祭ヴェレナ様に——帝城への、緊急の来訪を、お願い致せ」


***


「——『あれ』への対処の為に——三人の血の末裔が、再び、揃う、刻、なのだ」


***


 ハルトムートが、深く、頭を、垂れる。


***


「——畏まりました、陛下」


***


 翌朝=帝城の正門。


***


 ヴェレナ大司祭が、馬車で、穏やかに、到着した。


***


 彼女は、第50話の結婚式以来の、帝城への来訪。


***


 ヴォルフラム+セレスティアが、穏やかに、迎える。


***


 ヴェレナの瞳に——穏やかな、けれど、深い、覚悟の光が、宿っていた。


***


「——皇帝陛下——皇妃殿下——」


***


「——緊急のお招き、で、ござりますわね」


***


 セレスティアの青の瞳に、穏やかな涙。


***


「——ヴェレナ様——お、有難く、ござります」


***


「——『あれ』の、本格的な接触の刻、で、ござります」


***


 ヴェレナの瞳が、穏やかに、見開かれる。


***


「——『あれ』、と——?」


***


 ヴォルフラム、穏やかに、絶対零度の冷徹さで、応える。


***


「——『色の、無い、光』が、帝都に、到達致した」


***


「——その『色の、無い、光』の中の、未知の文明が——『無の魔』の最後の断片への対処を、提案致して、参った」


***


「——けれど——その提案は——皇妃の、お腹の中の、新たな命に、『触れる』こと、を、含む」


***


 ヴェレナの瞳から、穏やかな涙が、滴る。


***


「——『無の魔』の——最後の断片——」


***


「——大聖女ヴェネシアの、千年の神話の中に——『無の魔』の追放の刻に、千年前——『最後の断片が、新たな命の宿りの刻に、戻る可能性』が——記されて、おりました」


***


「——千年——わが家は、その『可能性』を、祈り続けて参りました」


***


「——『新たな、皇統』の宿りの刻に——『無の魔』の最後の断片が、戻らぬよう——」


***


「——大聖女ヴェネシアの祈祷石を、千年、お護りして参りました」


***


 セレスティアの青の瞳が、穏やかに、見開かれる。


***


「——大聖女ヴェネシアの祈祷石——?」


***


 ヴェレナが、穏やかに、頷いた。


***


「——千年前の、三人の契約の刻に——大聖女ヴェネシアが、お授けに、なられた、祈祷石、で、ござります」


***


「——お持ち致して、参りました」


***


 彼女は、穏やかに、懐から、青の、深い、輝きの、祈祷石を、取り出した。


***


 その祈祷石は——第19話の『祈祷石の、共鳴』の、青の祈祷石、と——同じ、深い、輝きを、宿していた。


***


 千年——ヴェネシア聖印国に、お護りされて、参った祈祷石が——千年の、契約の、本格的な再結集の、刻に——帝城に、戻って、来た。


***


 帝城の対策会議室。


***


 集まったのは——


***


 ヴォルフラム=初代ヴァルガルド皇帝の血の末裔。


 セレスティア=大魔女エルメリンダの血の末裔。


 ヴェレナ大司祭=大聖女ヴェネシアの血の末裔。


***


 そして——ハルトムート+イザベラ+ジークリンデ+エミリア+エルザベート+レナーテ。


***


 千年前の三人の契約の、本格的な、再結集の刻。


***


 ヴェレナが、穏やかに、大聖女ヴェネシアの千年の神話の知恵を、披露し始める。


***


「——千年前——『無の魔』の追放の刻に——お三人は、『無の魔』を、わたくしどもの世界の、外側に、追放、致しました」


***


「——けれど——『無の魔』の、最後の、ほんの僅かな、断片だけが——わたくしどもの世界の根幹に、刻まれた『千年の契約の円環』の中に、潜伏致しました」


***


「——『千年の契約の円環』が、完成、致すまで——『無の魔』の最後の断片は、眠り続ける、はずで、ござりました」


***


 セレスティアの青の瞳が、穏やかに、見開かれる。


***


「——千年の契約の円環が、完成、致すまで——眠り続ける——」


***


「——その円環の完成は——わたくしどもの、結婚式の刻、で、ござります」


***


 ヴェレナ、穏やかに、頷く。


***


「——左様で、ござります、皇妃殿下」


***


「——円環の完成の、その瞬間——『無の魔』の最後の断片が、目覚めました」


***


「——そして——円環の完成の刻と、同時に、宿った、新たな命——皇妃殿下のお腹の中の、新たな命——」


***


「——その『新たな命の宿り』を、利用して——『無の魔』の最後の断片は、わたくしどもの世界、に、戻ろうと、しております」


***


 ヴォルフラムの『夜空の瞳』が——絶対零度に、凍りつく。


***


「——わたくしどもの、結婚式と——新たな命の宿りが——『無の魔』の最後の断片の、目覚めの、刻、で、あったのか——」


***


 千年の、最も尊い、慶びの刻が——同時に、千年の、最も古き、闇の、目覚めの、刻、でもあった。


***


 セレスティアの青の瞳に——穏やかな、深い、決意の光。


***


「——では——わたくしの、お腹の中の、新たな命を——『無の魔』の最後の断片、から、お護りする、知恵が——千年の神話の中に、ござるはずで、ござります」


***


 ヴェレナが、青の祈祷石を、対策会議室の中央に、置いた。


***


 祈祷石は、穏やかに、深い、青の輝きを、放つ。


***


 第19話の『祈祷石の、共鳴』の刻と、同じ、深い、青の輝き——


***


 けれど、本日は——千年の契約の根幹に、繋がる、本格的な、神話の輝き。


***


 ヴェレナ、穏やかに:「——大聖女ヴェネシアの祈祷石の、本来の役割は——」


***


「——『三人の血の末裔が、揃って、祈祷を、捧げる』刻の、媒介、で、ござります」


***


「——千年前——三人の契約の刻に——お三人は、この祈祷石を、通じて、祈祷を、捧げ——『無の魔』を、外側に、追放、致しました」


***


「——『無の魔』の最後の断片への対処も——同じ祈祷の知恵で、可能で、ござります」


***


 セレスティアの青の瞳が、穏やかに、見開かれる。


***


「——わたくしどもが——三人で、祈祷を、捧げれば——『無の魔』の最後の断片を、再び、外側に、追放、致せる——?」


***


 ヴェレナ、穏やかに:「——左様で、ござります」


***


「——けれど——」


***


 彼女の瞳に、穏やかな、深い、苦悩。


***


「——祈祷には——三人の魔力の、深い、深い、結集が、必要で、ござります」


***


「——皇妃殿下の、流転型魔力——皇帝陛下のヴァルガルド皇家の魔力——わたくしの、大聖女ヴェネシアの血筋の魔力——」


***


「——三つの魔力の、深い結集が——『無の魔』の最後の断片を、再び、追放、致す力に、なります」


***


「——けれど——」


***


 ジークリンデが、穏やかに、瞳を、見開く。


***


「——皇妃殿下は——お腹の中の、新たな命の刻で、ござります!」


***


「——魔力の、深い結集を、行えば——お腹の中の、新たな命に、影響が、出る、可能性が、ござります!」


***


 対策会議室に——穏やかな、けれど、絶対的な、沈黙が、降りた。


***


 ヴォルフラムの『夜空の瞳』が——絶対零度に、凍りつく。


***


「——セレスティアの、魔力の結集に——お腹の中の命への、影響が——」


***


 解決と——リスクの、二重構造。


***


 三人の血の末裔が、揃って、祈祷を、捧げれば——『無の魔』の最後の断片を、追放、致せる。


***


 けれど——セレスティアの魔力の結集は、お腹の中の命に、影響を、与える、可能性が、ある。


***


 セレスティアは——穏やかに——対策会議室の、絶対的な、沈黙の中で——立ち上がった。


***


 彼女の青の瞳に、穏やかな、深い、決意の光。


***


 けれど、ヴォルフラムが、穏やかに、彼女の手を、握り、止める。


***


「——セレスティア——」


***


「——わたくしは——お前の、魔力の結集を——絶対に、許さぬ」


***


「——お腹の中の、新たな命を——絶対に、危険に、晒さぬ」


***


 セレスティアは、穏やかに、彼の手を、握り返す。


***


「——陛下——」


***


「——わたくしは——『国母』、で、ござります」


***


「——『お腹の中の、新たな命』も——わたくしの、最愛の、子で、ござります」


***


「——けれど——」


***


 その刻——彼女の声に——たった一度——震えが、宿った。


***


 恐怖の震え、では、無い。


***


 背負うべき、千年の重みの——魂の、深い、震え。


***


「——大陸の、お、すべての民——」


***


 たった一度の『お、』。


***


 お腹の中の、たった一つの命と——大陸の、千年の、すべての民の命と——両方を、同時に、抱える、母の、魂の、震え。


***


 けれど——その震えの、直後に——


***


 彼女の声は——穏やかに、しかし、絶対的な、凛とした響きに、戻った。


***


「——も——わたくしの、子で、ござります」


***


 吃音は、一切、無い。


***


「——『無の魔』の最後の断片が、わたくしどもの世界、に、戻れば——大陸の、すべての民が、危険に、晒されます」


***


「——わたくしは——お腹の中の、新たな命を、お護りする為に——大陸の、すべての民を、犠牲、致す、ことは、出来ません」


***


「——『国母』として、『大魔女エルメリンダの血の末裔』として——わたくしは——祈祷の、結集に、加わります」


***


「——陛下が、『大陸の、皇帝』で、いらっしゃる、と、同じく——」


***


「——わたくしも、『大陸の、国母』、で、ござります」


***


「——『等価』の、覚悟、で、ござります」


***


 国母の覚悟の、本格的な、発揮の刻。


***


 ヴォルフラムの『夜空の瞳』が——穏やかに、揺らいだ。


***


 千年の獣の皇帝の——


***


 千年の絶対零度の皇帝の——


***


 ガルバートを粉砕した、皇帝の——


***


 その瞳の奥で——


***


 初めて——『震え』が、宿った。


***


 千年——彼の魂を、震わせた、ものは——『獣化の恐怖』+『孤独の重み』だけ、だった。


***


 今——


***


 彼の魂を、震わせる、ものが——『真の伴侶の、神聖な威厳』に——変わった、刻。


***


 千年の、孤独な皇帝が——『真の伴侶』を、得ただけで、なく——『真に、対等な、伴侶』を、得た、刻、だった。


***


「——セレスティア——」


***


 彼の声には、僅かな、深い、震えが、宿った。


***


「——お前は——お、お、本当に——」


***


「——大陸の、国母——」


***


「——わたくしの、想像の、はるか、向こうの、高みに、いる、のだ、な」


***


 彼は、穏やかに、深く、深く、頷いた。


***


「——セレスティア——お前の覚悟を、わたくしも、引き受ける」


***


「——『等価』、で、引き受ける」


***


 その刻——


***


 ジークリンデが、穏やかに、瞳を、見開いた。


***


「——皇妃殿下——お、お待ちくださりませ」


***


 彼女の声には——穏やかな、けれど、深い、確信が、宿っていた。


***


「——わたくしは——魔導士団の筆頭、として——皇妃殿下が、帝城に、お、お、お、来訪、なられた、その日、から——」


***


「——皇妃殿下の『流転型魔力』を——深い、敬意と、忠義をもって——観察、致して、参りました」


***


「——『流転型魔力』には——『冷たい悪意を、温かい敬意に、転換する』、力が、ござります」


***


「——わたくしは——その力の、根幹を——千年の、神話の、知恵と、お、お、照らし合わせて、参りました」


***


 彼女の瞳に、穏やかな、深い、感動の涙が、滲む。


***


 第29話の、ファルネーゼの致死毒からの救済の刻。


 第42話の、お茶会の言葉の刃の転換の刻。


 第47話の、ガルバートの致死の魔法の祝福への転換の刻。


***


 彼女は——『流転型魔力』の、すべての、本格的な、発揮を——傍らで、深い、敬意を持って、観察、致して、参った。


***


 その忠義の、観察の、歴史の、結晶が——今、この刻に——千年前の、大魔女エルメリンダの、千年の神話の、知恵と——時を超えて、ピタリと、噛み合った。


***


「——『流転型魔力』を、お腹の中の、新たな命を、お護りする為に、使い——『無の魔』の最後の断片への祈祷には、皇妃殿下の『神話級魔力』の根幹だけを、使う、と、すれば——」


***


「——お腹の中の命への影響を、最小限に、抑え、致せるかも、しれません」


***


 セレスティアの青の瞳が、穏やかに、見開かれる。


***


「——流転型魔力で、お腹の中の命を、お護りし——」


***


「——神話級魔力の、根幹だけで、祈祷を——」


***


 ヴェレナ大司祭も、穏やかに、頷く。


***


「——ジークリンデ様の、お提案は——千年前の、大魔女エルメリンダの、神話に——記されて、おります」


***


「——大魔女エルメリンダは——『二つの魔力を、同時に、使う』こと、で——お腹の中の命を、お護りしながら、祈祷を、捧げる、知恵を、お持ちでした」


***


「——皇妃殿下は、大魔女エルメリンダの血の末裔——同じ知恵を、継承、致して、おります」


***


 対策会議室の中央の、青の祈祷石が——穏やかに、深い、輝きを、増した。


***


 千年前の、大魔女エルメリンダの神話の知恵と——


***


 現代の、ジークリンデの、深い忠義の観察眼が——


***


 時を超えて——一つに、繋がった、刻。


***


 セレスティアの青の瞳から、穏やかな、感動の涙。


***


 (——ジークリンデ——)


***


 (——わたくしを、お、お、見守り続けて、くださった、お、お刻の、すべての結晶が——今、この刻に——お、お、宿った——)


***


 ヴォルフラムも、穏やかに、頷く。


***


「——よし——」


***


「——『二つの魔力を、同時に、使う』、知恵で——祈祷を、執り行う」


***


「——お腹の中の命を、お護りしながら——『無の魔』の最後の断片を、追放、致す」


***


 対策会議は、穏やかに、結論を、導いた。


***


 祈祷の刻=三日後の、夜=満月の刻=千年前の三人の契約の刻と、同じ条件。


***


 祈祷の場所=帝城の中央の、結婚式の聖堂=千年の契約のお円環の完成の、聖なる場所。


***


 セレスティアは、流転型魔力で、お腹の中の命を、お護りしながら、神話級魔力の根幹だけを、祈祷に、捧げる。


***


 ヴォルフラムは、皇家の千年の魔力を、捧げる。


***


 ヴェレナは、大聖女ヴェネシアの血筋の魔力を、捧げる。


***


 三つの魔力の結集で——『無の魔』の最後の断片を、再び、外側に、追放。


***


 一方、未知の文明への返事を、ヴォルフラムが、決定した。


***


「——『あれ』への返事は——『絶対に、拒絶』、する」


***


「——わたくしどもは——わたくしどもの、千年の契約の知恵で——『無の魔』の最後の断片に、対処、致す」


***


「——『あれ』に——お腹の中の、新たな命に、触れる、機会は、与えぬ」


***


 帝都の上空に、再び、『色の、無い、光』が、現れた。


***


 『色の、無い、光』が、穏やかに、ヒトに、似た、輪郭を、なす。


***


 帝城の城門で——ヴォルフラムが、穏やかに、絶対零度の冷徹さで、応えた。


***


「——『絶対に、拒絶』、する」


***


「——わたくしどもは——わたくしどもの、千年の契約の知恵で——『無の魔』の最後の断片に、対処、致す」


***


 『何か』は、穏やかに、変化を、見せ、無かった。


***


 怒りも、嘲笑も——一切、無い。


***


 ただ——『予測演算の、完了』、だけ、を、淡々と、響かせた。


***


 『——左様で、ござりますか』


***


 『——わたくしどもの、合理的な提案を、拒絶、致される、と——』


***


 『——お、貴方たちの、対処の、成功確率を、再演算、致しました』


***


 その『言葉』には——感情の余韻が、一切、無い。


***


 ただ——『計算の結果』だけが、淡々と、響く。


***


 『——成功確率=四十二パーセント』


***


 『——失敗確率=五十八パーセント』


***


 『——失敗の刻には——「無の魔」の最後の断片が——お腹の中の、新たな命の中に、定着、致します』


***


 『——その刻、には——わたくしどもは、再び、お参り致します』


***


 『——けれど——その刻、には——わたくしどもの、お提案は——お、貴方たちに、有利な、形では、ござりませぬ』


***


 その『言葉』に——余韻が、宿った。


***


 『——お、貴方たちの、お腹の中の、命を——強制的に、回収、致す、提案、に、なります』


***


 『——お、ご了承くださりませ』


***


 悪意も、嘲笑も、無い。


***


 ただ——『失敗の刻の、合理的な、後処理の、予告』、だけが、淡々と、響いた。


***


 『色の、無い、光』が、穏やかに、空中で、消える。


***


 帝都の上空に、再び、穏やかな、秋の夕暮れの光が、戻る。


***


 けれど——


***


 その『冷徹な合理性』の、警告は——


***


 ヴォルフラム+セレスティアの魂の奥に——絶対零度の、緊張感を、刻んだ。


***


 成功確率=四十二パーセント。


***


 失敗の刻の——お腹の中の命の——強制的な回収。


***


 三日後の満月の夜——


***


 三人の血の末裔が、揃って、祈祷を、捧げる。


***


 千年前の三人の契約の知恵と——現代のジークリンデの忠義の観察眼が、時を超えて、結集する、刻。


***


 大聖女ヴェネシアの祈祷石+大魔女エルメリンダの神話級魔力+ヴァルガルド皇家の千年の魔力。


***


 三つの魔力の結集で——『無の魔』の最後の断片への、再度の追放。


***


 けれど——失敗の刻には——未知の文明が——お腹の中の命を、強制的に、回収する為に、戻って来る。


***


 猶予なき、三日間の、タイムリミット。


***


 『次の刻』=三日後の満月の夜の、祈祷の刻+『無の魔』の最後の断片との、本格的な対峙——の、刻が——


***


 絶対的な、緊張感の中で——三人を、待っていた、のだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ