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『獣の皇帝陛下に溺愛されています ~無能と捨てられた元王女ですが、隣国で最強でした~』  作者: てん
第6章「真実の愛、と、新たな帝国の刻」

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# 第47話 戴冠の、刻、決戦



***


 戴冠式の、当日の、夜明け。


***


 帝都の中心の『黄金の大聖堂』に——穏やかな金色の朝の光が、満ち始めて、いた。


***


 聖堂の天井+大理石の柱+磨き上げられた床=穏やかに、穏やかに、光り輝いて、いる。


***


 ヴェネシア聖印国大司祭ヴェレナ+エルディオ王国王太子レオンハルト+諸国の代表=順番に、穏やかに、入場。


***


 帝国貴族=北方+南方+東方+西方=ほぼ、全員=穏やかに、整列。


***


 アルテンブルク公爵家=ゲオルク・フォン・アルテンブルク公爵+アネリーゼ夫人が、穏やかに、入場。


***


 二人の隣の席は——息子ヴィルヘルムの為に、空けられた、ま、ま、だ、っ、た。


***


 け、れ、ど——ガルバート公爵家の席=未だ、姿が、見えない。


***


 聖堂の前列=空席のま、ま——穏やかに、置かれて、いる。


***


 ハルトムートの影部隊=聖堂の聖壇の奥+柱の影+地下=徹底的に、配備されて、いる。


***


 帝国軍=東方への、密かな、配備=完了。


***


 け、れ、ど——聖堂の地下に=ガルバートの独自の魔導士団=三十名が——既に、密かに、潜伏、して、いた。


***


 二つの『包囲』が——同じ聖堂の、同じ床の、表と裏で——互いに、影で、向き合って、いた。


***


 諸国の立会人が、揃った、その刻——


***


 聖堂の大扉が、穏やかに、開いた。


***


 セレスティアが、穏やかに、入場。


***


 彼女が纏うのは——エルザベートが仕立てた『青の皇妃の衣装』+『純白の花嫁衣装』を、融合させた——戴冠式の正装。


***


 青い、深い、シルクの生地。


***


 そ、の、生地に——穏やかな、穏やかな、金色の刺繍が——精緻に、刻まれて、いた。


***


 大魔女エルメリンダの『穏やかな金色の光』+母エレオノーラの『穏やかな金色の光』+大陸全体の聖女のモチーフ。


***


 千年と、母の、二代の、神話の継承が——彼女の衣装の、奥で、穏やかに、息づいて、いた。


***


 彼女の青の瞳には——穏やかな、深い、決意の光が、宿って、いる。


***


 諸国の立会人+帝国貴族が——息を、呑む。


***


 『神話の継承』の象徴の——本格的な、顕現、だ、っ、た。


***


 ヴェレナ大司祭の聖印が——穏やかに、穏やかに、輝き始める。


***


「——皇妃殿下——」


***


「——『大魔女エルメリンダ』の、血の末裔+『母エレオノーラ』の、流転型魔力の継承者=『大陸全体の聖女』として——」


***


「——お、お戴冠の、刻を——お、執り、致しましょう」


***


 セレスティアは、穏やかに、聖堂の中央に、進んだ。


***


 彼女の歩みが——穏やかに、聖堂の大理石の床に、響いた。


***


 その後から——ヴォルフラムが、穏やかに、入場。


***


 彼の正装=黒の、皇帝の、礼装+銀色の長髪+夜空の瞳。


***


 彼の表情は——穏やかな、微笑み。


***


 け、れ、ど——その『夜空の瞳』の奥には——『絶対零度の静寂』+『最大限の警戒』が、宿って、いた。


***


 彼は、穏やかに、セレスティアの隣に、立った。


***


 彼の手が、穏やかに、彼女の細い手を、握る。


***


 彼の声が、低く、セレスティアにだけ、聞こえるよう、囁いた。


***


「——セレスティア——お前は——わたくしの、唯一の、最愛、なのだ」


***


「——『お、戴冠の、刻』を——わたくしの『影』が、完全に、お護り致す」


***


 セレスティアの青の瞳に、穏やかな涙が、滲む。


***


「——陛下——お、有難く、存じます、わ」


***


「——わたくしも——『国母』として——『最後まで』、お、信じて、お、り、ます、わ」


***


 ヴェレナ大司祭が、穏やかに、戴冠の儀式の、本格的な開始を、宣言。


***


 戴冠の祭壇に——穏やかな金色の光が、満ちる。


***


 ヴェレナの手に=『青の皇妃の冠』=穏やかな金色の光を宿した、戴冠の冠。


***


 セレスティアが、穏やかに、戴冠の祭壇の前に、跪いた。


***


 彼女の細い首が、穏やかに、垂れる。


***


 ヴェレナが、穏やかに、戴冠の冠を、彼女の頭上に、捧げる、準備——


***


 そ、の、瞬間——


***


 聖堂の大扉が——荒々しく、押し開かれた。


***


 諸国の立会人+帝国貴族の視線が、瞬時に、大扉に、集まる。


***


 そこには——ヴィルヘルム・フォン・アルテンブルクが、立って、いた。


***


 彼の翠玉の瞳には——一晩、流し続けた、涙の、痕。


***


 彼の姿は——アルテンブルクの古き紋章の盾を、掲げた、『新たな皇統の宣言』の、姿——では、無、か、っ、た。


***


 ただの——若者の、姿、だ、っ、た。


***


 いや——ただの、若者、ですら、無、か、っ、た。


***


 馬を、飛ばし続けて——髪は、乱れ、額には、汗。


***


 貴族の正装の、裾は、土と、埃に、塗れて、いる。


***


 千年の『古き血筋』の、誇りも——『新たな帝国の頂点』の、矮小な英雄願望も——一切——彼の身体からは、消えて、いた。


***


 ただ——『一人の、息子』の——泥まみれの、必死の、姿、だ、っ、た。


***


 彼が、聖堂の中央に向かって、駆け出す。


***


「——お、お、お止め、くださりませ——!!」


***


 彼の声が——聖堂の大理石の柱に、跳ね返り、響き渡る。


***


「——皇妃殿下——お、お戴冠の、刻を——お、お止め、くださりませ——!!」


***


「——聖堂の、地下に——ガルバートの、魔導士団が——!!」


***


「——『致死の、魔法』を——お、お、執行、致す——準備を——!!」


***


 アネリーゼとゲオルクの視線が、瞬時に、息子に、向く。


***


 アネリーゼの冷たい翠玉の瞳から、穏やかな、感動の、涙が、滴る。


***


「——ヴィルヘルム——!!」


***


 ゲオルクの灰色の瞳から、千年、頑なに、流すことを、許してこなかった、涙が、滴る。


***


「——わが息子——!!」


***


 ヴィルヘルムが、聖堂の中央で——膝を、ついた。


***


 いや——膝を、つく、というよりは——崩れ落ちた、と、いう、方が、正確、だ、っ、た。


***


 彼は——大理石の床に——両手を、突いた。


***


「——皇妃殿下——!」


***


「——わたくしは——わたくしは——お、お、貴方の——お、お、お、お、息子様、で、ござ、り、ま、す——!!」


***


 彼の声は——もはや、貴族のものでは、無、か、っ、た。


***


 ただ——母を、お、お、お、お、呼ぶ——子供の、泣き叫び、だ、っ、た。


***


「——お、お、赦し、くださ、り、ま、せ——!!」


***


「——わたくしは——『新たな帝国の頂点』を——『矮小な、英雄願望』を——お、お、抱いて——お、お、貴方を——お、お、害そう、と——致しました——!!」


***


「——け、れ、ど——昨夜——お、お、貴方の、お、お手紙を——読みました——!!」


***


「——『お、お、お、お、お息子様へ』——と——お、お、呼びくださった、お、文字に——わたくしは——魂の、奥が——震えました——!!」


***


「——わたくしは——『戻りたかった』——!!」


***


「——け、れ、ど——『戻れば、母上+父上が、消される』——絶望の中で——夜明けまで——震えて、お、り、ま、し、た——!!」


***


「——け、れ、ど——夜明けと共に——『一族』、よ、り、も——『母の、心』を——選び——馬を、お、走らせ、致し——参り、ま、し、た——!!」


***


 彼の翠玉の瞳から——涙が、止まらなく、なる。


***


 貴族の、誇りも——古き血筋の、威厳も——『新たな帝国の頂点』の、夢も——一切、無、か、っ、た。


***


 ただ——母を、お、お、求める——一人の、若い、息子の——泥まみれの、姿、だ、っ、た。


***


「——皇妃殿下——お、お、赦し——くださ、り、ま、せ——!!」


***


 諸国の立会人+帝国貴族が——息を、呑んだ。


***


 その、若者の、必死の、訴えに——聖堂の空気が、震えた。


***


 ヴィルヘルムの叫びが——聖堂に、響き終わる、と、同時に——


***


 聖堂の地下から——黒い、邪悪な、魔力の波が、立ち上った。


***


 ガルバートの『致死の魔法』の——本格的な、発動の、刻、だ、っ、た。


***


 黒い、邪悪な魔力が——聖堂の大理石の床を、伝い——戴冠の祭壇の、セレスティアに、向かって——襲いかかる。


***


 諸国の立会人=息を、呑む。


***


 帝国貴族=完全に、凍りつく。


***


 ヴォルフラムの『夜空の瞳』の奥が——『絶対零度』から、瞬時に、覚醒——


***


「——セレスティア——!」


***


 彼が、瞬時に、彼女を、抱きしめよう、と——


***


 け、れ、ど——その、瞬間——


***


 セレスティアの青の瞳が、穏やかに、開いた。


***


 彼女の細い手が、穏やかに、戴冠の祭壇に、置かれる。


***


 彼女の身体から——穏やかな、深い、『金色の光』+『青の光』が——穏やかに、放出された。


***


 第33話の、血の月の夜の——『流転型魔力』+大魔女エルメリンダ+母エレオノーラの『穏やかな金色の光』の——本格的な、再発動の、刻。


***


 黒い、邪悪な魔力が——セレスティアの『金色+青の光』に——瞬時に、包まれる。


***


 『流転型魔力』の本質=『冷たい悪意』を『温かい敬意』に転換、する力。


***


 セレスティアの『国母としての愛』の光が——『致死の、魔法』そのものを——転換、する。


***


 黒い、魔力が——穏やかな、金色の光に——転換、される。


***


 諸国の立会人+帝国貴族=完全に、凍りつく。


***


 ヴェレナ大司祭が——穏やかに、低く、震える声で。


***


「——大聖女ヴェネシアの——再臨——!」


***


 セレスティアは、穏やかに、立ち上がった。


***


 彼女の青の瞳には、穏やかな、深い、決意の光。


***


「——わたくしは——『国母』、で、ござ、り、ま、す、わ」


***


「——『致死の、魔法』を——『穏やかな、祝福』に——転換、致しました、わ」


***


 け、れ、ど——その、瞬間——


***


 聖堂の大扉から——ガルバート公爵が、穏やかに、入場、した。


***


 彼の漆黒の髪+冷たい琥珀色の瞳。


***


 顔には、傷一つ、無い。


***


「——皇妃殿下——『流転型魔力』を——お、お、見せて、頂きました、わ」


***


「——お、お、見事、で、ござ、り、ま、す」


***


「——け、れ、ど——『第二の罠』が、ござ、り、ま、す、わ」


***


 彼の合図で——聖堂の側面の、扉が、開く。


***


 ガルバートの私兵が、長身の男を、聖堂の正面に、押し出した。


***


 その男は、身分を、隠した、貴族の正装+古い、皇家の紋章の指輪。


***


 ガルバート:「——この、お、若者は——『初代ヴァルガルド皇帝』の——『隠された、傍系の、血筋』、で、ご、ざ、る」


***


「——わが家が、千年、密かに、お育てに、なられて、参った、お皇統、で、ご、ざ、る」


***


「——皇妃殿下が、ご自身の力で『致死の魔法』を、お、転換、致された、今——」


***


「——皇帝陛下は、もはや、お、心を、お失われる、機会を、お失いに、なられ、ました」


***


「——け、れ、ど——わが家の『千年の計算』は——『更に、その先』を——見据えて、お、り、ま、す、わ」


***


「——『この、隠された皇統』が、聖堂で、公的に、名乗りを、お挙げに、なられた、その、瞬間——」


***


「——帝国の、北方+南方+東方+西方の、すべての、『古き血筋』が——お動きに、なります、わ」


***


「——『古き血筋』の、千年の、お護りを——『現在の、皇統』では、なく——『隠された、皇統』へと——『お移譲』、致させます、わ」


***


 彼の冷たい琥珀色の瞳には——絶対的な、確信が、宿って、いた。


***


 ヴォルフラムの『夜空の瞳』が——再び、『絶対零度』に、凍りついた。


***


 彼の声が、穏やかに、低く、響く。


***


「——ガルバート」


***


「——お、貴方は——『千年の計算』を——『完璧』、と——お思いで、ご、ざ、る、か」


***


 ガルバートが、穏やかに、微笑む。


***


「——左様、で、ご、ざ、る」


***


 ヴォルフラムは、穏やかに、合図を、した。


***


 聖堂の大扉から——ハルトムートが、穏やかに、入場、した。


***


 彼の手には——古い、羊皮紙の、巻物。


***


「——皇帝陛下——皇妃殿下——」


***


「——ガルバート公爵の『隠された皇統』は——『偽の、血筋』、で、ご、ざ、り、ま、す」


***


「——わが、影部隊が、千年、わが家が、密かに、保管、致して、参った——古き帝国の、家系図の、原本——を、お、確認、致しました」


***


 彼が、穏やかに、巻物を、開く。


***


「——『初代ヴァルガルド皇帝』の、傍系の血筋は——千年前に、断絶——致して、お、り、ま、す」


***


「——ガルバート公爵が、お育てに、なられた、お若者は——『養子』、として、お迎えに、なられた——『血筋の、無い』、お若者で、ご、ざ、り、ま、す」


***


 その、瞬間——


***


 ガルバートの冷たい琥珀色の瞳から——


***


 一瞬で——血の気が、引いた。


***


 彼は、声を、上げ、無、か、っ、た。


***


 彼は、取り乱さ、無、か、っ、た。


***


 ただ——彼の冷たい琥珀色の瞳の、奥の——千年の、計算の、光が——


***


 完全に——色を、失った。


***


 知性の、化け物だ、か、ら、こそ——


***


 ハルトムートが、開いた、家系図の、原本の——『偽物である、証拠の、完璧さ』に——一目で、気づいた。


***


 反論の、余地は——一文字も、無、か、っ、た。


***


 千年——彼が、信じて、組み上げて、きた、完璧な、チェス盤が——音もなく——崩れ去った。


***


 彼の唇が——穏やかに、震える。


***


 け、れ、ど——叫び声は——上がら、無、か、っ、た。


***


 彼は——穏やかに——膝を、折った。


***


 『知の、敗北』の——絶対的な、静寂、だ、っ、た。


***


 千年の、砂上の、楼閣の——音もない、崩壊の、刻、だ、っ、た。


***


 ヴォルフラムが、穏やかに、ガルバートを、見据える。


***


 その『夜空の瞳』には——一切の、感情が——無、か、っ、た。


***


 彼の声が、低く、聖堂の、全空間に、響いた。


***


「——ガルバート」


***


 その一言が、聖堂の大理石の柱を、震わせる。


***


 諸国の立会人+帝国貴族=息を、呑み——背筋に、悪寒が、走る。


***


「——お、貴方は——千年——『計算』、だ、け、を、続けて、参った」


***


「——東方の、安全圏で——わが家の、『獣化の、苦しみ』を——『他人事』として、お、お、計算、致して、参った」


***


「——わが家の、千年の、血の、苦闘を——『お、お、駒』として、お、お、お、お、お、お数えに、なられて、参った」


***


 彼の声に——『憎悪』も、『怒り』も、無、か、っ、た。


***


 ただ——千年の、歴史の、重みの——絶対的な、覇気、だ、け、が、宿って、いた。


***


「——け、れ、ど——わが家は——」


***


「——『計算+愛』を、続けて、参った」


***


「——獣の、爪に、肉を、削がれ——血を、流しながら——『愛する者を、お、護る、為の、計算』を——」


***


「——『泥を、すすり、ながら』——続けて、参った」


***


「——アルテンブルクの、千年の、血——母エレオノーラの、流転型魔力——大魔女エルメリンダの、千年前の、契約——」


***


「——す、べ、ては——『愛』が、なければ——成立、致さ、な、か、っ、た、ものだ」


***


「——お、貴方が、『軽んじた』、『愛』が——」


***


「——千年の、わが家の、苦闘の——根幹、だ、っ、た、のだ」


***


 彼の『夜空の瞳』が——穏やかに、ガルバートを、見下ろす。


***


「——『愛』を、お、軽んじた——お、貴方の、千年は——」


***


「——今——ここで——終わる」


***


 聖堂の、全空間が——凍りついた。


***


 諸国の立会人+帝国貴族=穏やかに、深く、頭を、垂れる。


***


 ガルバートは——膝を、ついたまま——もはや、顔を、上げる、ことも——出来、無、か、っ、た。


***


 千年の、計算の、化け物が——『愛』という、たった一つの、要素を、軽んじた、為に——完全な、無効化の、刻に、立ち会った。


***


 ヴォルフラムが、穏やかに、合図を、する。


***


 ハルトムートが、穏やかに、ガルバートを、捕縛。


***


 ガルバートの私兵=聖堂の中で、瞬時に、影部隊に、制圧される。


***


 聖堂の地下の、魔導士団三十名=既に、影部隊に、瞬時に、制圧。


***


 帝国軍=東方の、ガルバート公爵領を、完全に、包囲。


***


 ガルバートの『偽の皇統』の、若者=帝国貴族の前で、身分の、嘘を、白状。


***


 千年の、ガルバートの、野心が——完全に、崩壊、した、刻、だ、っ、た。


***


 け、れ、ど——


***


 その、刻——


***


 セレスティアが、穏やかに、聖堂の中央に、跪く、ヴィルヘルムに、歩み寄った。


***


 彼女の青の瞳から、穏やかな、涙が、滴って、いる。


***


 彼女は、穏やかに——大理石の床に、膝を、ついた。


***


 戴冠の、青い、深い、シルクの、ドレスの裾が——大理石の床に、穏やかに、広がる。


***


 彼女の細い手が、ヴィルヘルムの頬を、穏やかに、包む。


***


 ヴィルヘルムの泥まみれの頬が——彼女の温かい手のひらに、包まれる。


***


「——ヴィルヘルム様——」


***


「——お、お戻り、くださ、い、ま、し、た、わ」


***


「——『お、お、お、お、お息子様』、として——お、お抱きしめ、致します、わ」


***


 彼女が、穏やかに——ヴィルヘルムを、抱きしめた。


***


 戴冠の、青の、ドレスの胸に——泥まみれの、若者の、頭が、穏やかに、包まれる。


***


 ヴィルヘルムの翠玉の瞳から——涙が、止まらなく、なった。


***


「——皇妃殿下——!!」


***


「——お、お、赦し——くださ、り、ま、せ——!!」


***


「——わたくしは——お、お、貴方を——害そう、と——!!」


***


 け、れ、ど——セレスティアは、穏やかに、彼の背中を、撫でた。


***


「——よろしい、の、です、わ」


***


「——お、お、お、お、お息子様——」


***


「——よろしい、の、です、わ」


***


 完璧な、『国母の、慈愛』、で——若者の、泥まみれの、懺悔を——全肯定、する、刻、だ、っ、た。


***


 そ、の、刻——


***


 アネリーゼとゲオルクが、穏やかに、聖堂の中央に、駆け寄った。


***


 二人が、穏やかに——セレスティアとヴィルヘルムを——同時に、抱きしめる。


***


 アネリーゼ:「——ヴィルヘルム——わが息子——お、お、お戻り、くださ、い、ま、し、た、わ——!!」


***


 ゲオルク:「——ヴィルヘルム——」


***


 彼の灰色の瞳から、千年の、頑なな、誇りの、涙が、滴る。


***


 四人が——大聖堂の中央で——一つの、抱擁に、包まれる。


***


 第46話の『お、戻りに、なられた、刻、三人で抱きしめましょう』の——約束の、完成、だ、っ、た。


***


 いや——『三人』では、無、か、っ、た。


***


 『国母セレスティア+アネリーゼ+ゲオルク+ヴィルヘルム』——四人の、家族の、再生の、刻、だ、っ、た。


***


 諸国の立会人+帝国貴族が——穏やかに、涙を、流す。


***


 ヴェレナ大司祭の聖印が——穏やかに、輝き続ける。


***


 四人の抱擁の、刻が——穏やかに、終わる。


***


 セレスティアが、穏やかに、立ち上がり——戴冠の祭壇に、戻った。


***


 彼女は、再び、穏やかに、跪いた。


***


 ヴェレナ大司祭が——穏やかに、戴冠の冠を、彼女の頭上に、捧げる。


***


 『青の皇妃の冠』が——穏やかに、彼女の頭上に、降りた。


***


 黄金の大聖堂の天井から——穏やかな、金色の光が——セレスティアに、降り注ぐ。


***


 大魔女エルメリンダの『穏やかな金色の光』+母エレオノーラの『穏やかな金色の光』が——穏やかに、宿る。


***


「——セレスティア・ヴァルガルド——」


***


「——ヴァルガルド帝国の、皇妃、として——」


***


「——大陸全体の、聖女、として——」


***


「——『国母』、として——」


***


「——お、お戴冠、致します、わ」


***


 諸国の立会人+帝国貴族+ヴォルフラム+アネリーゼ+ゲオルク+ヴィルヘルム=穏やかに、感動の、涙を、流す。


***


 『真の、戴冠』の——刻の、完成、だ、っ、た。


***


 ガルバートの千年の野心=完全な、崩壊。


***


 ヴィルヘルムの救済=完成。


***


 アネリーゼ+ゲオルクの千年の呪縛からの解放=完全な、定着。


***


 セレスティアの『国母』としての戴冠=完成。


***


 黄金の大聖堂の天井からの、穏やかな金色の光が——『国母』の、肩に——穏やかに、降り注いで、いた。


***


 『次の刻』=ガルバートの正式な裁き+ヴィルヘルムの正式な処遇+結婚式の準備+第7章の『新たな皇統の誕生』への、刻が——穏やかに、二人を、待って、いた、の、だ、っ、た。

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