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『獣の皇帝陛下に溺愛されています ~無能と捨てられた元王女ですが、隣国で最強でした~』  作者: てん
第6章「真実の愛、と、新たな帝国の刻」

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# 第43話 北方の、貴族会議



***


 帝国北方=雪の気配が、滲み始めた、晩秋の刻、だ、っ、た。


***


 アルテンブルク公爵領=帝国北方の凍てつく山岳地帯に、そびえ立つ、古城。


***


 帝都の華やかな帝城とは、対照的な——灰色の石造りの、千年の重厚さを、湛えた、城。


***


 城の大広間=石造りの天井+赤い絨毯+古き紋章。


***


 窓の外には、灰色の空が、低く、垂れ込めて、いる。


***


 その大広間の、奥の窓辺に——当主『ゲオルク・フォン・アルテンブルク公爵』が、穏やかに、立って、いた。


***


 六十がらみ、銀色の髪。


 冷たい灰色の瞳。


***


 そして——左の頬から、顎にかけて——古い、深い、刀傷が、走って、いる。


***


 その刀傷は——若き日の、ゲオルクが、『獣化』した、若き皇帝に、命懸けで、対峙した、刻の——『獣の爪』が、刻んだ、痕跡、だ、っ、た。


***


 彼は——あの刻——自らの手で、皇家を、お護りする為に——『獣』の、首筋を、抑え込み、血を、流した。


***


 その時、彼の頬を、削いだ、爪が——今、なお、彼の顔に、千年の、『契約の入れ物』の、重みを、刻んで、いる。


***


 彼にとって——ヴァルガルド皇家は——『美しき忠誠の対象』であると同時に——


***


 『いつ、牙を、剥くか、分からない、呪われた怪物』、だ、っ、た。


***


 その『狂気』と『恐怖』を、肌で、知る、彼だ、か、らこそ——


***


 今——よそから来た、ファルネーゼの娘が——『愛と、流転』で、簡単に、呪いを解いた、と、言い張る、現状が——


***


 あまりに、都合の良い、おとぎ話に、見えて——信じる事が、出来、な、か、っ、た。


***


 彼の灰色の瞳が——穏やかに、穏やかに——窓の外の、灰色の空を、見据える。


***


 (——千年——わが一族は——『獣』を、抑え、肉を、削ぎ、血を、流して——この帝国を、お、お護り致して、参った)


 (——その『血』の、重みを——『愛』の、たった、一言で——『お、お、解決』、致した、と——どうして、信じられよう、か)


***


 『生ける伝説の老貴族』の——冷徹な、現実主義、だ、っ、た。


***


 大広間の、扉が、穏やかに、開く。


***


 継嗣『ヴィルヘルム・フォン・アルテンブルク』が、穏やかに、入って、来る。


***


 三十がらみ、銀色の髪+冷たい翠玉の瞳+貴族特有の、傲岸な、立ち姿。


***


「——父上」


***


「——北方七家の代表は——すべて、お、お、お、揃いに、なられました、わ」


***


「——『古き血筋の貴族会議』の、開催を——本日、執り行う、準備が、整って、お、り、ま、す、わ」


***


 彼の声には——『誇り』ではなく——『野心』が、滲んで、いた。


***


 ゲオルクの灰色の瞳が——穏やかに、息子を、見据える。


***


「——ヴィルヘルム」


***


「——『古き血筋の貴族会議』は——『野心』の、道具では、ない、のだ」


***


「——千年——わが一族が、血を、流して、お、お護り致して、参った——皇家の——『誇り』を、お守る、為の——『最後の、儀式』、なのだ」


***


 ヴィルヘルムは——穏やかに、頭を、垂れる。


***


 けれど——彼の翠玉の瞳の奥には——父への、深い、苛立ちが、滲んで、いた。


***


 (——父上)


 (——父上の、世代は——『獣』の、機嫌を、伺いながら——千年、北方の、寒空の下で、甘んじて、こられた)


 (——『血を、流す』、こと、を——『お、お、誇り』として——けれど——実際に、得たものは——『顔の、傷』と——『冷たい灰色の空』、だけ、だ、った)


 (——千年、わが一族は——『お、お、護衛』として、扱われ——『お、お、主役』には——な、れ、な、か、っ、た)


***


 彼は——『獣化』の、恐怖を——直接、知らない、『戦後世代』。


***


 だ、か、らこそ——父の世代の『諦念』と『衰退』に——烈しい、苛立ちと、限界を、感じて、いた。


***


 (——皇家は——『獣の呪い』を、解かれた——『人間』に、戻られた)


 (——な、ら、ば——もはや、『怪物への、畏怖』は——不要、なのだ)


 (——今こそ——アルテンブルクが——千年の、お、お、護衛の、立場を、捨て——『帝国の、頂点』に、立つ、好機、なのだ)


***


 彼にとって——『古き血筋の貴族会議』は——『最後の儀式』、では、な、か、っ、た。


***


 『新たな、お、お、始まり』、の、刻、だ、っ、た。


***


 一族の、未来を、憂う——焦燥感、だ、っ、た。


***


 午後——大広間で、『古き血筋の貴族会議』が、本格的に、開幕。


***


 北方七家の当主+夫人=穏やかに、揃った。


***


 千年に渡って、『契約の入れ物』の皇家を、支えてきた、『古き血筋』。


***


 全ての家=千年の『誇り』+セレスティアの『公的な定着』への、微かな、不安を、共有して、いる。


***


 ゲオルクが、穏やかに、開会の言葉。


***


「——『古き血筋』の、皆様」


***


「——千年——我らは——『契約の入れ物』の皇家を——血を、流して、お、お護り致して、参った」


***


「——本日、我らは——『新たな皇妃殿下』の、『大陸全体の聖女』としての、ご公的な、定着に、つきまして——『古き血筋』の、穏やかな、ご審議を、お執り、致す」


***


 大広間に、議論が、穏やかに、広がる。


***


 七家の意見は、様々、だ、っ、た。


***


 強硬派=ヴィルヘルム系列の、若手貴族=『新たな皇妃』への『公的な距離』を、取るべき。


 中道派=多数派=『様子見』。


 穏健派=少数派=『新たな皇妃』への『公的な敬意』を、保つべき。


***


 議論が、穏やかに、続く中——


***


 ゲオルクの隣で、穏やかに、沈黙して、いた、アネリーゼ夫人の——冷たい翠玉の瞳の奥に——帝城の茶会での、セレスティアの『青の瞳』が、穏やかに、宿って、いた。


***


 (——『アルテンブルク公爵家の、皆様の、千年の、忠義の、地続きの、終着点として、わたくしの、救済が、あるのです』)


 (——『皆様の、千年の、お血が、わたくしの、大陸の救済に、脈々と、流れて、お、り、ま、す、わ』)


***


 議論の、合間に——アネリーゼは、ゲオルクに、穏やかに、囁いた。


***


「——あなた」


***


「——わたくし、帝城で——皇妃殿下と、お話を、致しましたのよ」


***


 ゲオルクが、穏やかに、灰色の瞳で、妻を、見る。


***


「——どうで、あ、っ、た、アネリーゼ」


***


 アネリーゼは——しばらく、穏やかに、沈黙。


***


「——皇妃殿下は——わたくしの『言葉の刃』を——『感謝』で——お返しに、なられた、の、です、わ」


***


「——『アルテンブルク公爵家の、千年の、忠義の、地続きの、終着点として——わたくしの、救済が、ある』——と」


***


「——『皆様の、千年の、お血が——わたくしの、大陸の救済に——脈々と、流れて、いる』——と」


***


 ゲオルクの灰色の瞳が——穏やかに、揺らぐ。


***


 けれど——彼の頬の、古い刀傷が、穏やかに、疼く。


***


 (——『流転型魔力』、と、聞き及んで、おる、皇妃殿下の、お力)


 (——『言葉』にも、宿る、のだ、な)


***


 (——け、れ、ど)


***


 彼の灰色の瞳が——穏やかに、深く、曇る。


***


 (——わたくしは——あの『獣』の、爪を——肌に、刻まれた、男だ)


 (——『獣化』の、狂気が——どれほど——制御、不能、で——どれほど——血を、要する、もの、で、あ、っ、た、か——肌で、知って、いる)


 (——『愛』の、たった、一言で——『お、お、解決』、致した、と——どうして、信じられよう、か)


***


 彼は——アネリーゼの、冷たい翠玉の瞳を、穏やかに、見つめた。


***


「——アネリーゼ」


***


「——皇妃殿下の、お言葉は——美しい」


***


「——け、れ、ど——わたくしは——あの『獣』の、本当の、恐ろしさを、知って、いる」


***


「——『美しい言葉』だ、け、で——千年の、わが一族の、『血の、重み』を——『お、お、お、引き継ぐ』、こと、が——本当に、出来る、のか」


***


「——わたくしは——まだ、信じる、こと、が——出来、ぬ」


***


 アネリーゼは——穏やかに、夫の、灰色の瞳を、見つめ返す。


***


「——あなた——あなたが、お、お、お信じに、ならない、お、お、お気持ちは——わたくしも、よく、わかります、わ」


***


「——わたくしどもの、千年の、お、お、お護りは——『言葉』では——お、お、簡単に、お、お、引き継がれる、もの、では、ござり、ま、せ、ん、わ」


***


 彼女は——穏やかに、穏やかに、続けた。


***


「——け、れ、ど——皇妃殿下の、お言葉は——『言葉』だ、け、では、ご、ざ、り、ま、せ、ん、で、し、た、わ」


***


「——皇妃殿下の、青い瞳の、奥に——わたくしどもの、千年の、お、お、孤独を——『お、お、お、見て』いらっしゃ、る、光が——あ、り、ま、し、た、わ」


***


 ゲオルクの灰色の瞳が——穏やかに、穏やかに、揺らぐ。


***


「——『孤独』を、見て、いた——か」


***


 大広間の、議論は、深夜まで、続いた。


***


 結論=保留=様子見=戴冠式までの、最終的な判断は、後日、改めて、執り行う、こと、に、なる。


***


 強硬派(=ヴィルヘルム系列)=不満を、内に、秘める。


 穏健派+中道派=様子見を、選ぶ。


***


 会議が、お開きに、なった、夜——


***


 ヴィルヘルムは——一人——城の、北の塔の、最上階で——北方の、凍てつく夜空を、見上げて、いた。


***


 (——父上——母上——揺らがれて、いる)


***


 (——母上は——皇妃殿下の、『お、お、お言葉』に、惑わされ)


 (——父上は——『血の、重み』を、お、お、お、お話、しながら——けれど——内心では、お、お、お揺らぎを、お見せに、なられた)


***


 彼の翠玉の瞳が——冷たく、燃える。


***


 (——わたくしが——アルテンブルク公爵家の、『新たな、お、お、道』を——お、お、お開かねば)


***


 (——『獣』が——『人間』に、戻られた——今——千年の、お、お、お護りの、立場、を——『お、お、捨てる』、時——なのだ)


***


 (——アルテンブルクが——『お、お、護衛』、では、なく——『お、お、主役』に、立つ——時——なのだ)


***


 彼は——穏やかに、北方の、灰色の月を、見上げた。


***


 その月は——同じ刻——帝城の、皇帝の寝室の窓にも——穏やかに、射し込んで、いた。


***


 帝城——ヴォルフラムの執務室。


***


 ハルトムートが——影部隊からの、最新の報告。


***


「——陛下。アルテンブルク公爵領で——『古き血筋の貴族会議』が、本日、本格的に、お、お、開幕、致しました、わ」


***


「——北方七家=完全に、揃って、お、り、ま、す、わ」


***


「——派閥は、三分=強硬派(=継嗣ヴィルヘルム系列)+中道派(=多数)+穏健派(=少数)、で、ござ、り、ま、す」


***


「——け、れ、ど——当主ゲオルク+夫人アネリーゼ=アネリーゼ夫人が、皇妃殿下の、茶会の、お、お、お言葉を、ゲオルクに、お、お、お伝え、致しました」


***


「——影部隊の、お、観察によれば=ゲオルクの灰色の瞳が——穏やかに、揺らいで、おら、れ、る、と——」


***


 ヴォルフラムの『夜空の瞳』が——穏やかに、セレスティアを、見つめる。


***


「——セレスティア」


***


「——お前の、茶会での、お言葉が——アルテンブルク公爵領の、当主夫妻の魂を——遠隔で、揺らし始めて、おる、の、だ」


***


 セレスティアは——穏やかに、微笑む。


***


「——陛下——わたくしは——『古き血筋』の、皆様を——『敵』として、お、お、討つ、こと、を——望んで、お、り、ま、せ、ん、わ」


***


「——『古き血筋』の、皆様の、千年の、お、お、お護りを——『お、お、引き継ぐ』、こと、で——『新たな帝国の刻』を、お、お、築き致したい、の、です、わ」


***


「——アルテンブルク公爵領に——わたくしの『書簡』を、お、お、お送り致しても、よろしい、でしょうか」


***


 ヴォルフラムは、穏やかに、頷く。


***


「——よかろう、セレスティア」


***


「——け、れ、ど」


***


 彼の『夜空の瞳』の奥に——冷徹な牙が、静かに、宿る。


***


「——わたくしの、影部隊も——お、動かし、致す」


***


「——もし——アルテンブルク公爵家の、継嗣ヴィルヘルムが——一線を、越えれば——『容赦、致さ、ぬ』のだ」


***


 セレスティアは、穏やかに、頷いた。


***


 皇妃の執務室で——セレスティアは、穏やかに、書簡を、認めた。


***


 宛先=『アネリーゼ・フォン・アルテンブルク様』、お一人。


***


 公的な書簡では、なく——『お一人の、魂への、お便り』。


***


 書簡の内容:


 茶会の刻の、お、お、お振る舞いへの、お礼。


 アルテンブルク公爵家の、千年の、お、お、お護りへの、深い、敬意。


 わたくしの『大陸の救済』が、アルテンブルク公爵家の、千年の、お、お、忠義の、地続きの、終着点として、ある、こと、の、再確認。


 戴冠式に、お、お、お参列を、心から、お、お、待ち、致して、お、り、ます、こと。


 そして——『古き血筋』の、皆様の、千年の、お、お、お、お護りを、誰よりも『お、お、お、お、孤独』に、お、お、お続けに、なられて、参られた、こと、への——『お、お、お、お、感謝』と『お、お、お、敬意』。


***


 同じ刻、ハルトムートが——ヴォルフラムの執務室で、穏やかに、お報告。


***


「——陛下。影部隊の、第二の動きを、お、お、執り、致しました」


***


「——北方七家の、各家の、財務状況+家督継承の弱点+過去の、不正の、痕跡——を、穏やかに、お、お、お調査、致して、お、り、ま、す」


***


「——もし——『古き血筋の貴族会議』が——本格的な『陰謀』に、お転じ、なら、れ、れ、ば——」


***


「——『個別に、お、お、追い詰める』材料は——既に、揃いつつ、ござり、ま、す」


***


 ヴォルフラムは、穏やかに、頷く。


***


「——よかろう、ハルトムート」


***


「——わたくしの、セレスティアが——『敵』として、お、討たない、と、決めた、以上——わたくしも——『表向き』は、それに、お、従う」


***


「——け、れ、ど——『舞台裏』では——『絶対的な、お、警戒』を、絶やさぬ」


***


「——セレスティアの『愛』が、彼らの、魂を、お、お、揺らし、致す、その傍らで——わたくしの『影』が、彼らの、足元を、すべて、押さえ、致す」


***


 二人の——二段構えの、完成。


***


 セレスティアの『言葉と心』の遠隔発揮。


 ヴォルフラムの『影と牙』の徹底的な備え。


***


 その夜——アルテンブルク公爵領。


***


 アネリーゼが、自室の窓辺で、北方の凍てつく夜空を、穏やかに、見上げて、いた。


***


 彼女の冷たい翠玉の瞳の奥に——帝城の茶会での、セレスティアの『青の瞳』が、穏やかに、宿って、いる。


***


「——皇妃殿下——」


***


 彼女の声が——北方の冷気の中で、微かに、響く。


***


「——わたくしの、千年の、誇りを——あ、な、たは——本当に——『お、お、引き継いで』——くださる、お、つもり——なのですか」


***


 彼女の魂の、奥が——穏やかに、揺らぐ。


***


 その刻——侍女が、穏やかに、アネリーゼの自室に、入って、来た。


***


「——奥様。皇妃殿下から——お便りが、お、お、お届き、致しました、わ」


***


「——奥様、お一人、宛、と、ござり、ます、わ」


***


 アネリーゼの冷たい翠玉の瞳が——大きく、見開かれる。


***


「——皇妃殿下——から——わたくし——お一人——?」


***


 彼女は、穏やかに、書簡を、受け取り——震える指で、開いた。


***


 書簡の冒頭の、セレスティアの、穏やかな、丁寧な、筆跡=『アネリーゼ・フォン・アルテンブルク様』。


***


 公的な書簡では、なく——『お一人の、魂への、お便り』、だ、っ、た。


***


 アネリーゼは——穏やかに、書簡を、読み始めた。


***


 セレスティアの、丁寧な、筆跡が——穏やかに、彼女の魂に、流れ込む。


***


 茶会への、お礼。


 千年の、お護りへの、深い、敬意。


***


 そして——


***


 『古き血筋の、皆様が——千年——『誰よりも、お、お、孤独』に——『獣化』の、『狂気』を、お、お、お護りに、なられて、参られた、こと——わたくしは、深く、深く、お、お、知り致して、お、り、ま、す、わ』


***


 『皆様の、千年の、お、お、お護りは——世界からは、決して、お、お、お、報われる、こと、の、なかった——『お、お、お孤独な、番人』の、お、お、お、お務め、で、ございました、わ』


***


 『その、千年の、お、お、お孤独を——わたくしは——「お、お、お、無駄では、ござり、ま、せ、ん、で、し、た」と——お、お、お、申し上げ、致したい、の、です、わ』


***


 『皆様の、千年の、お、お、お、お護りが、あ、っ、た、か、ら、こそ——わたくしの、『大陸の救済』が、生まれた、の、です、わ』


***


 『皆様の、千年の、お、お、お孤独は——わたくしの、『救済』に、繋がる——『お、お、お、最も、尊い、お、お、お、お、お務め』、で、ござ、い、ま、し、た、わ』


***


 アネリーゼの、冷たい翠玉の瞳から——穏やかに、穏やかに——涙が、滴り、始めた。


***


 千年——『古き血筋』の、誇りを、背負ってきた——老貴族夫人の、魂の奥が——本格的に、震えた。


***


 (——千年——わたくしどもは——『誰よりも、お、お、孤独』、だ、っ、た)


***


 (——『獣化』した、皇帝を——冷たい、北方の、地で——お、お、監視し、お、お、お護り、致して、参った)


***


 (——世界は——わたくしどもの、『血の、重み』を——お、お、お、見て、お、お、くれ、な、か、っ、た)


***


 (——帝国の、貴族たちは——わたくしどもを、『北方の、お、お、護衛』として——『お、お、お、見下し』に、なられた)


***


 (——わたくしどもの、千年は——『お、お、お、誰にも、お、お、お、報われない、お、お、お務め』、だ、っ、た)


***


 (——け、れ、ど——皇妃殿下は)


***


 (——『無駄では、ご、ざ、り、ま、せ、ん、で、し、た』——と——お、お、お、っ、しゃ、っ、て、くださった)


***


 (——『お、お、お、孤独な、番人』の、千年の、お、お、お務めを——『お、お、お、最も、尊い』、と——お、お、お、っ、しゃ、っ、て、くださった)


***


 帝国の、歴史上——初めて——


***


 アルテンブルクの、千年の、血を——『全肯定』し、『抱きしめて』、くださ、っ、た——光、だ、っ、た。


***


 千年の、孤独からの——『救済』、の、瞬間、だ、っ、た。


***


 アネリーゼの、頑なな、貴族夫人の、仮面が——穏やかに、穏やかに、割れた。


***


 涙が——止まら、な、か、っ、た。


***


 彼女は、書簡を、胸に、抱きしめた。


***


「——皇妃殿下——」


***


「——あ、な、たは——わたくしどもの、千年の、お、お、孤独を——『お、お、お、お、見て』、くださ、っ、た、の、です、わ」


***


 北方の凍てつく夜空の月+帝城の穏やかな夜の月=同じ月が、二つの『刻』を、穏やかに、見守って、いる。


***


 セレスティアの『言葉と心』が、北方の老貴族夫人の魂を、穏やかに、揺らし——


***


 ヴォルフラムの『影と牙』が、北方七家の足元を、静かに、押さえ始めて、いた。


***


 けれど——


***


 城の、北の塔の、最上階で——継嗣ヴィルヘルムは——父母の揺らぎを、遠目に、見て——


***


 彼の翠玉の瞳の、奥に——ますます、危険な、色合いの、野心が——燃え始めて、いた。


***


 (——父も——母も——皇妃の光に、惑わされた)


***


 (——な、ら、ば——わたくしが——アルテンブルク公爵家の、『新たな、お、道』を——お、お、開く)


***


 (——『お、お、護衛』では、なく——『お、お、主役』に——立つ)


***


 彼は——穏やかに、北方の凍てつく月を、見上げた。


***


 その月の、光は——彼の翠玉の瞳に——冷たく、宿った。


***


 『次の刻』=『古き血筋の貴族会議』の最終的な判断+ヴィルヘルムの危険な単独行動+戴冠式の更なる準備の本格化、の刻が——穏やかに、穏やかに、二人を、待って、いた、の、だ、っ、た。

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