# 第34話 必然の、運命
# 第34話 必然の、運命
## 第5章「完全解呪、と、命の対価」
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「——お、聞き、致します、わ、エルメリンダ様」
***
セレスティアの穏やかな、け、れ、ど、揺るがな、い声が——『呪詛の間』の岩盤に、静かに、染み込んで、い、っ、た。
***
大魔女エルメリンダの淡い青白い光の姿が——わずかに、揺れる。
物理的な身体は、な、い。
か、つ、て『無の魔』に封印を施した時、魂の大半を『契約』に捧げた、『魂の残響』、だ、っ、た。
***
『——そう、だわ、セレスティア……』
『——千年前——大陸全体が——『真の呪いの発生』に包まれて、い、た、の、よ……』
***
セレスティアと、ヴォルフラム——互いに、目を、交わす。
「——『真の呪い』、でござりますか?」
***
『——『無の魔』、よ……』
***
『——大陸の地殻に刻まれた『古き闇』——魂を喰い、愛を喰い、命を喰う存在……』
『——大陸の終末をもたらす存在……』
***
二人の背筋に——冷たい何か、が、宿る。
***
『——千年前——『無の魔』は大陸を侵食、し始めて、い、た、の、だ、わ……』
***
『——わ、たくし——大魔女エルメリンダ——大聖女ヴェネシア——初代ヴァルガルド皇帝——三者が——『無の魔』を封じるた、め、の『大陸の大魔導儀式』を執行、致しました、わ……』
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『呪詛の間』の空気が——静かに、揺れた。
***
ヴォルフラムの赤く染まりかけた瞳が——大きく、見開かれる。
「——大魔女エルメリンダ——大聖女ヴェネシア——初代ヴァルガルド皇帝——三者が、協力、してい、ら、っ、し、ゃ、っ、た……?」
***
『——そう、だわ、ヴォルフラム……』
***
『——か、つ、て——ヴェネシア聖印国も——エルディオ王国も——あ、な、たの、ヴァルガルド帝国も——『無の魔』と戦う、『同志』、だ、っ、た、の、よ……』
***
『——け、れ、ど——千年の時が——彼らの記憶を風化、させた、の、だ、わ……』
***
『——『歪んだ権威』、だ、け、が——残った、の、よ……』
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セレスティアの魂が——深く、揺さぶられた。
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(——諸国会議でわ、たくしを『偽聖女』、とお呼びにな、っ、た、ヴェネシア聖印国の司教たち……)
(——わ、たくしの出自を問題にな、さ、っ、たエルディオの貴族たち……)
(——そ、のお方たちの国は——か、つ、て——帝国と共に『無の魔』と戦った同志、だ、っ、た、の、です、わ……)
***
『歪んだ権威』の意味が——今、完全に、公開、された、の、だ、っ、た。
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諸国会議で——セレスティアが挑戦を受けた『二大権威』=ヴェネシア聖印国+エルディオ王国=千年前は『同志』、だ、っ、た存在。
そして——現在——ヴェレナ大司祭+レオンハルト王太子が——『大陸の公的な立会人』として参列、して、いる、の、は——『千年の忘却の風化』を乗り越えた、『再びの同志』の姿、だ、っ、た、の、だ、っ、た。
***
第3章+第4章の社会的戦場の描写のす、べ、て、が——今、『千年の歴史』に繋がった瞬間、だ、っ、た。
***
エルメリンダの声、穏やかに、続く。
『——『無の魔』を封じるた、め、の『最後の要』は——『初代ヴァルガルド皇帝の魂』を『契約の入れ物』として使う事、だ、っ、た、の、だ、わ……』
***
ヴォルフラム——『獣化』の圧力に耐えながら——呟く。
「——『初代皇帝の魂』を『契約の入れ物』、に……?」
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『——そう、だわ、ヴォルフラム……』
『——あ、な、たたちヴァルガルド皇帝家の血筋は——千年前の『契約』の末裔、な、の、だ、わ……』
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『——け、れ、ど——『契約の入れ物』は『単独』では——『無の魔』を完全に封じる事が、出来、な、か、っ、た、の、よ……』
***
『——必要だ、っ、た、の、は——『契約の入れ物』の『相手』——『大魔女の血を引き、転換の魔力を完成させた聖女』、だ、っ、た、の、だ、わ……』
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セレスティアの呼吸が——止まった。
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(——『大魔女の血を引き、転換の魔力を完成させた聖女』……?)
(——そ、れ、は——わ、たくし、では?)
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『——そう、だわ、セレスティア……』
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『——け、れ、ど——千年前——そ、の聖女はまだ存在、して、い、な、か、っ、た、の、よ……』
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『——わ、たくしの魔力の未来予知=『千年後——わ、たくしの直系の血筋から、転換の魔力を完成させた聖女が誕生、致す、だ、ろ、う』、の予知を受けて、い、た、の……』
***
セレスティアの魂が——深く、揺さぶられた。
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(——わ、たくしの誕生は——千年前から、予知されて、い、た、の、です、わ……?)
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『——『そ、の未来の聖女』と、『契約の入れ物=皇帝』を、『時間を越えて』結びつけるた、め、に、は——『装置』が必要、だ、っ、た、の、よ……』
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『——そ、の『装置』が——『獣の呪い』、だ、っ、た、の、だ、わ……』
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ヴォルフラム——低く、応じる。
「——『獣の呪い』が——『装置』、に……?」
***
『——そう、だわ、ヴォルフラム……』
『——『獣の呪い』は——二つの機能を持って、い、る、の、よ……』
***
『——第一の機能=『契約の入れ物』を『千年生かす』装置、だ、っ、た、の……』
『——『獣化』のたびに——皇帝の魂と寿命が『更新』される……『千年生きる呪い』、な、の……』
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『——あ、な、たの千年の孤独は——『契約の入れ物』、と、しての『千年の生存』、だ、っ、た、の、だ、わ……』
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『——第二の機能=『未来の聖女と出会う時間の架け橋』、な、の……』
***
『——あ、な、たの千年の孤独は——セレスティアと出会うた、め、の——『唯一の架け橋』、だ、っ、た、の、よ……』
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ヴォルフラムの瞳が——完全に、大きく、見開かれた。
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彼の魂の奥で——何か、が、崩れ落ちる音が、していた。
***
千年の孤独——
誰一人として、理解者のい、な、い、地獄。
『化け物』、と、『獣』、と、呼ばれ続けた、無限の歳月。
***
彼は——そ、のす、べ、て、を——『神の嫌がらせ』=『理不尽な悲劇』、と、受け入れ、諦めて、生きて、きた。
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け、れ、ど——今、エルメリンダの声が、彼にお伝えになって、い、る——
***
彼の千年の孤独は——『理不尽な悲劇』ではな、か、っ、たの、だ。
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『大陸の終末(=無の魔)を水際で食い止め続けた——唯一の架け橋』、だ、っ、た、の、だ。
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『未来のセレスティアと出会う為の——必然の使命』、だ、っ、た、の、だ。
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彼の千年の絶望が——一瞬にして——『世界を救う為の気高い聖戦』、に、反転、したの、だ、っ、た。
***
ヴォルフラムは——低く、呟いた。
「——わ、たくしの千年は——『理不尽』、では、な、か、っ、た、の、か……」
「——『大陸を救う為の——意味のあ、る、千年』、だ、っ、た、の、か……」
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『——報われた』——
そ、の静かな得心、が、彼の赤く染まりかけた瞳に、宿った。
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セレスティアの目から——涙が、溢れた、溢れた、溢れた。
***
(——あ、の、方の千年の孤独……)
(——あ、の、方の千年の絶望……)
(——あ、の、方の千年の『化け物』と呼ばれ続けたお苦しみ……)
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(——す、べ、て、が——『大陸を救う為の意味のあ、る時間』、だ、っ、た、の、です、わ……)
(——そ、して——わ、たくしと出会う為の——『唯一の架け橋』、だ、っ、た、の、です、わ……)
***
彼女は——ヴォルフラムの手を、更に強く、握った。
***
「——陛下」
「あ、な、たの千年のお苦しみを——わ、たくしは——何一つお報い致す、事が出来、ま、せ、ん、わ」
「——け、れ、ど——あ、な、たの千年が——『大陸の救済』の意味、をお持ちでいらっしゃった事は——わ、たくしの魂の誇り、でござります、わ」
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ヴォルフラム、低く、穏やかに、涙ながらに:「——セレスティア」
「お、前と出会えた事が——『千年の報い』、だ、っ、た、の、だ、な」
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二人の魂の繋がりの光が——更に、更に、穏やかに、強く、なって、い、っ、た。
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エルメリンダの声、穏やかに、続く。
『——『血の月の夜』は——『無の魔』の気配が大陸に滲み出す刻、な、の、だ、わ……』
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『——『血の月の夜』に『獣化』の発動が起きる、の、は——『契約の入れ物』を『稼働』させるた、め、の『鼓動』、な、の、だ、わ……』
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『——『獣化』を『完全に解く』事=『契約の入れ物』の『最後の機能』=『無の魔』を完全に封じる事=『大陸を救う』事、な、の、よ……』
***
ヴォルフラム——大きく、目を見開く。
「——わ、たくしの『獣化』を『完全に解く』事が——『大陸を救う』事、だ、っ、た、の、か……?」
「——わ、たくしの『獣化』は——『災い』ではな、く——『大陸の救済の装置』、だ、っ、た、の、か……?」
***
『——そう、だわ、ヴォルフラム……』
『——今宵——セレスティアが——あ、な、たの『獣の呪い』を完全に解く事、によ、り——大陸の地殻に封じられた『無の魔』も——完全に、封じられるの、だ、わ……』
***
セレスティアと、ヴォルフラム——互いに、目を、交わす。
***
『——わ、たくしたちの『愛』は——大陸全体を救う『運命』、だ、っ、た……』
***
エルメリンダの声、穏やかに、続く。
***
『——セレスティア。あ、な、たの『流転型魔力』は——『大魔女の呪いの魔力』を『癒やしの魔力』に転換、致した完成形、な、の、だ、わ……』
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『——あ、な、たの魂自体が——『大魔女の呪い』と『聖女の癒やし』の融合体、な、の、よ……』
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『——あ、な、たの『流転型魔力』を、ヴォルフラムの『獣の呪い』に繋ぐ、事は——『無の魔』を完全に封じる『最後の契約』の完成、な、の、だ、わ……』
***
『——あ、な、たと、ヴォルフラムの『魂の繋がり』は——『契約の入れ物』と『契約の鍵』の完全な結合、な、の、よ……』
***
『——二人の『愛』は——『偶然の恋』ではな、く——『千年の時を越えて、大陸を救う為の、必然の運命』、だ、っ、た、の、だ、わ……』
***
セレスティアと、ヴォルフラム——互いに、手を、強く、握り合った。
***
『——わ、たくしたちの『出会い』も——『愛』も——す、べ、て、が——千年前から、定められて、い、たの、だ……』
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『偶然の悲劇』か、ら『必然の運命』への完全なシフトの完成、の瞬間、だ、っ、た。
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そ、の、時——エルメリンダの声が——微かに、震えた。
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『——セレスティア、ヴォルフラム……』
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『——わ、たくしは——千年前——『未来の二人』に——『十二年の地獄』+『千年の孤独』を背負わせる呪いを発動、させた事を——悔いて、い、る、の、よ……』
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『——け、れ、ど——『大陸を救うた、め』の——『他に道はな、か、っ、た』、の、だ、わ……』
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『——セレスティア、ヴォルフラム——わ、たくしをお赦し、くださりませ……』
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『大魔女エルメリンダ』の懺悔の声が——『呪詛の間』の岩盤に、静かに、染み込んだ。
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淡い青白い光の姿が——微かに、震えて、いた。
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セレスティアは——穏やかに、穏やかに——エルメリンダの淡い光の姿に、歩み寄った。
***
彼女の細い指から——淡い乳白色の光、が、穏やかに、流れ始めた。
***
流転型魔力の光、だ、っ、た。
***
け、れ、ど——今、そ、の光は——『呪いを解く魔力』、だ、け、では、な、か、っ、た。
***
『——受け入れた運命を、愛によ、っ、て、祝福に転換する魔力』、だ、っ、た。
***
『流転型魔力』の本来の意味、の顕現、だ、っ、た。
***
セレスティアは——穏やかに、静かに、応じた。
「——エルメリンダ様」
「わ、たくしは——あ、な、たの呪いを——『憎んで』お、り、ま、せ、ん、わ」
「『感謝』、致して、お、り、ま、す、わ」
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『——セレスティア……?』
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セレスティア、穏やかに、涙ながらに:「あ、な、たの呪いが——わ、たくしと——あ、の、方を——結びつけて、くださ、い、ま、し、た、わ」
「あ、な、たがい、な、け、れ、ば——わ、たくしと、あ、の、方は——決して、出会わ、な、か、っ、た、の、です、わ」
「あ、な、たの千年の『苦しみ』を——今、お引き受け致します、わ」
「『憎しみ』では、な、く——『感謝』、を、お捧げ致します、わ」
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セレスティアの流転型魔力の光、が——エルメリンダの淡い青白い光の姿、を——穏やかに、穏やかに、包んで、い、っ、た。
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『千年の呪い(=冷たい因果)』、が——『感謝(=温かい救済)』、に——流転、していく『精神的な解呪儀式』、だ、っ、た。
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ヴォルフラムも、低く、穏やかに、涙ながらに、続けた。
「——エルメリンダ……わ、たくしも——お、前の『感謝』、に、頷く」
「お、前の呪いが、な、け、れ、ば——わ、たくしは——セレスティアと出会う事が出来、な、か、っ、た、の、だ」
「お、前の千年の『苦しみ』に——感謝、致す」
「お、前を『同志』と呼ばせて、頂きとう、存じる」
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『大魔女エルメリンダ』の淡い青白い光の姿が——わずかに、揺らぎ——涙の気配が、宿った。
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『——セレスティア——ヴォルフラム——有難う、ござります、わ……』
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『——わ、たくしの千年の『贖罪』が——今、完成、致しました、わ……』
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『——二人の『感謝』の赦しによ、っ、て——わ、たくしの『冷たい呪い』の魂の残響が——『救われて消え入る』事が出来る、の、だ、わ……』
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エルメリンダの淡い青白い光の姿が——徐々に、徐々に、穏やかな金色の光、に、変じ、始めた。
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『冷たい呪いの魔力』、が——『温かい救済の魔力』、に——完全に、流転、していく『美しい消失』、の瞬間、だ、っ、た。
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セレスティアの流転型魔力の本来の意味の完全な顕現、だ、っ、た。
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『——セレスティア——ヴォルフラム——有難う……有難う……有難う、ござります、わ……』
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エルメリンダの穏やかな金色の光の姿が——徐々に、徐々に、『呪詛の間』の岩盤の奥に、溶け込んで、い、く。
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『——セレスティア——ヴォルフラム——お、二人の『完全解呪』、の成功を——お祈り致します、わ……』
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『——大陸の救済、を——お願い、致します、わ……』
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『大魔女エルメリンダ』の魂の残響が——穏やかに、穏やかに、『呪詛の間』の岩盤の奥に、消え入って、い、っ、た。
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千年の『贖罪』の完成、の瞬間、だ、っ、た。
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セレスティアと、ヴォルフラム——二人だけが——『呪詛の間』の中央で、残された。
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『呪詛の間』の空気が——『真実』の公開で——完全に、『新しい形』を帯びて、いた。
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セレスティア、穏やかに:「——陛下」
「今宵——わ、たくしのお魔力を、あ、な、たに捧げ——あ、な、たの『獣の呪い』を完全に解き——『無の魔』を封じ——大陸を救う、の、でござります、わ」
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ヴォルフラム、低く、穏やかに:「——セレスティア——並んで、お執り、致そう、な」
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二人は——手を、強く、握り合った。
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セレスティアの流転型魔力が——更に、穏やかに、穏やかに、脈動を、強める。
三重の魔法陣+『一対の魔導具』+二人の魂の繋がりの光、が——完全に、完全に、同期、して、い、く。
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け、れ、ど——『血の月』の赤さが——更に、更に——月の表面を染めて、いく。
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ヴォルフラムの身体の『獣化』の圧力が——更に、更に、強くなる。
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彼の手の爪が、更に尖る。
彼の瞳の色が、更に赤く染まる。
彼の肉体が、更に内側から軋む。
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け、れ、ど——『真実』を知った今——彼の意志は——更に、更に、強くなって、い、た。
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『——大陸を救う為の聖戦、の時、だ……』
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ヴォルフラム——歯を食いしばりながら、低く、呟く。
「——セレスティア——『獣化』の完全な発動が——近づいて、い、る」
「——お、前のお魔力で——わ、たくしの呪いを——引き剥がして、くれ」
「——『大陸の救済』を——二人で完成、致そう、な」
***
セレスティア、涙ながらに、穏やかに:「——は、い、陛下」
「わ、たくしの魂を——あ、な、たに捧げ致します、わ」
「『大陸の救済』を——二人で完成、致しましょう、わ」
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『呪詛の間』の空気が——金色+銀色+青色の三色の光+二人の魂の繋がりの光、に完全に包まれて、いる。
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月の表面の赤さが——更に、更に——完全な血の月、の姿に、近づいて、いる。
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『真実』は——完全に公開された。
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『偶然の悲劇』は——『必然の運命』、に完全にシフト、した。
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二人の『愛』は——『大陸全体を救う運命』、の姿を帯びた。
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『大魔女エルメリンダ』の千年の『贖罪』は——二人の『感謝』の赦しで、完成、した。
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あ、とは——『獣の呪い』の完全な引き剥がし=『無の魔』の完全な封じ=『命の対価』の具体化を——執行するだ、け、だ、っ、た。
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『運命の完成』の刻が——静かに、静かに、近づいて、い、る、の、だ、っ、た。
***
月の表面の赤さが——完全な血の月、の『満ち』の刻に向かって——徐々に、徐々に、染まり続けて、い、た。
***
そ、して——セレスティアの首から下がった青の宝玉と手首の青の腕輪と並んで——十二歳の時から彼女が、肌身離さず身に着けてきた——『母エレオノーラの形見の薄青い石の指輪』、が——微かに、微かに——『血の月』の気配に呼応するよ、うに——脈動を、始めて、いた、の、だ、っ、た。
***
『——母の形見の指輪が……?』
***
セレスティアの目が——大きく、大きく、見開かれた、の、だ、っ、た。




