# 第26話 鳥籠の輪郭
# 第26話 鳥籠の輪郭
朝の光が、セレスティアの寝室に——昨日と、同じ、金色の帯で、射し込んで、いた。
昨日と、同じ——穏やかな、朝。
けれど——今朝、か、ら——世界が、わずかに、『歪み』、始める、の、だ、っ、た。
***
朝食卓——二人ぶんのカップ、温かい食事。
セレスティアが、穏やかに、告げる。
「陛下——本日も、帝都を、散策、致したく、存じます」
「リーゼロッテちゃんに——お、花の、お礼を、お、渡し、致したい、の、です」
***
ヴォルフラムは——穏やかに、応じる、つもり、だった。
け、れ、ど——彼の応答には、わずかな、間、が、あった。
「——今日、は」
「——護衛の都合が、つかぬ、の、です」
「明日、に——お、延期、致しましょう」
***
セレスティアの胸が、微かに、揺れる。
(——護衛の都合……?)
(——昨日は、問題、なかった、の、に——)
け、れ、ど——彼女は、穏やかに、頷いた。
「——わかり、ました、陛下」
「明日、お、願い、致します」
***
それが、今朝の、『最初の、あれ?』、だった。
彼女は——『あ、の、方の、お、心遣い』、として——受け取った。
け、れ、ど——心の片隅に——微かな、『あれ?』、が、刻まれた、の、だった。
***
朝食後——帝国の侍女頭、レナーテが、本日の公務を、報告、に、来た。
「皇妃殿下——本日、午後、に——帝国貴族との、公式の、接見、が、手配、されて、お、り、ま、す」
「お、相手は——フロリアン・ヴェルデンベルク侯爵様——並びに、令嬢、イザベラ・ヴェルデンベルク様、に、ござります」
***
セレスティアの胸が——わずかに、跳ねる。
「ヴェルデンベルク侯爵様、と、は?」
***
レナーテが、静かに、頭を、下げて、説明、する。
「帝国の高位貴族の、お、一人、に、ござります」
「侯爵家は——代々——皇族の、血の純度、を——帝国の、根幹として、大切に、なさって、きた、お家、に、ござります」
***
『血の純度』——
そ、の、四文字、が——セレスティアの心に——微かな、不安の影、を、落とす。
け、れ、ど——彼女は、穏やかに、頷いた。
「——わかり、ました」
「お、お、出迎え、の準備を、致します」
***
そ、の、時——
傍らに、座っていた、ヴォルフラムが——わずかに、目を、細めた。
彼の夜空の瞳の、奥に——冷たい、計算の光、が、宿る。
「——セレスティア」
「侯爵との接見は——私と、ご一緒、で、お、受け、頂きとう、存じます」
「あなた、お、一人で、お、相手させたく、ござりません」
***
セレスティアは——穏やかに、微笑む。
「——ご一緒、頂ければ、心強く、存じます」
け、れ、ど——心の中で——また、微かな、『あれ?』、が、生まれた。
(——『お、一人で、お、相手させたくない』、と、い、う、の、は——?)
(——侯爵様、は——そ、れ、ほ、ど、の、お、方、な、の、か?)
(——わ、たくしを——お、護りに、なる、べき、相手、な、の、か?)
***
今日、二つ目の『あれ?』、だった。
***
午後——帝城の、大広間。
セレスティアと、ヴォルフラムは——皇帝席に、並んで、座って、いた。
扉が、静かに、開く。
***
最初に、入場、してきたのは——
五十代の、貴族。
銀髪を——綺麗に、後ろに、撫でつけて、い、る。
灰色の瞳に——冷たい、計算の光が、宿って、いる。
貴族としての、完璧な、公的礼儀、の、身のこなし。
フロリアン・ヴェルデンベルク侯爵。
***
彼の後ろから——令嬢、イザベラが、入場、する。
二十代前半、金髪、碧眼。
淡い金の、ドレスに、繊細な、刺繍。
帝国の『純血の姫君』として——長年、育てられてきた、品格、を、纏って、いる。
***
二人は——皇帝席の前で——公式の、作法で——頭を、垂れた。
「皇帝陛下——並びに——皇妃殿下——お、目通り、頂きまして——誠に、ありがとう、ござります」
***
表面は、完璧、だった。
けれど——侯爵が、顔を、上げた、瞬間——
彼の灰色の瞳に——一瞬だけ、『軽蔑』、の、影が、宿って、消えた。
セレスティアの、敏感な目には——それが、見えた、の、だった。
***
侯爵が——穏やかな、声色で——け、れ、ど、内容は、挑発、そのもの、の、言葉を、発した。
「皇妃殿下——お、聞きに、なられて、い、る、か、存じませんが——」
「わ、たくしの、令嬢、イザベラは——帝国の『純血の姫君』、として——長年、皇族との姻戚を、期待されてきた、者、に、ござります」
***
「皇帝陛下が——諸国の姫君を——お、皇妃に、お、迎えに、なられた、こと——」
「帝国貴族、の、多くは——わずかな、『戸惑い』、を、感じて、お、り、ます」
***
挑発、の、内容、だ、っ、た。
け、れ、ど——侯爵の声、は——決して、感情論、では、な、か、っ、た。
***
「皇妃殿下——お、間違いなく——本物の、聖女、でいらっしゃる——それは、諸国会議で、公的に、認定された、事実、でござります」
「わ、たくし、個人——皇妃殿下、の、お、お、力を——信じて、お、り、ます」
***
「——け、れ、ど——」
「——帝国の皇統は、千年の歴史と、血の純度の中で——積み重ねられて、参りました」
「——外国の、血を、皇室に、お、入れに、なる、の、は——帝国の、根幹を、揺るがす、の、では、な、い、か——」
「——それが、帝国貴族の、多くの、お、心の、声、に、ござります」
***
彼の言葉は——感情、では、な、か、っ、た。
『帝国の、歴史と、プライド』に、基づいた——硬質な、大義名分、だ、っ、た。
『帝国の、皇族は、純血で、あるべし』、と、い、う——千年、続いてきた、伝統と、法理を、本気で、信じて、い、る、貴族の、声、だ、っ、た。
***
大広間の空気が——凍りつ、い、た。
『感情論』、なら——簡単に、斥けられた。
け、れ、ど——『帝国の、歴史と、プライド』を、背負った、侯爵の言葉、の、前には——帝国貴族たちも——簡単に、彼を、否定、できない、の、だ、っ、た。
***
セレスティアの胸が——静かに、揺れる。
十二年の地獄で、身につけた、『無表情』、が——今、彼女を、護った。
***
そ、の、時——ヴォルフラムが、静かに、声を、発した。
***
彼の声は——低く、凍るような、冷たさを、宿して、いた。
「フロリアン・ヴェルデンベルク侯爵」
「貴殿、は——私の選んだ、皇妃の、出自に——疑問を、呈されて、いる、の、か?」
「諸国会議で——大陸全体が、公的に、認定した、私の皇妃を——」
「帝国の筆頭貴族の、貴殿、が——未だ、認められて、い、な、い、と、い、う、こと、か?」
***
侯爵の頬が——わずかに、引きつる。
け、れ、ど——彼は、穏やかに、応じた。
「——い、いえ、陛下」
「決して、そういう、意味、では、ござりません」
「わ、たくしは——た、だ、帝国貴族の、微かな、戸惑いを——お、伝え、致した、だけ、に、ござります」
***
ヴォルフラム——更に、冷たく、応じる。
「『微かな、戸惑い』——は、『帝国貴族の、総意』、では、あり、ま、せ、ん、か?」
「ヴェルデンベルク侯爵、の、影響力で——『帝国貴族の、総意』、として——そ、の、言葉を、お、遣いに、なられた、の、では、な、い、の、か?」
***
侯爵は——完全に、押し黙った。
大広間の、帝国貴族たちが——わずかに、目を、交わす。
***
そ、の、時——
***
ヴォルフラムは——セレスティアの細い手を——公然と、握った。
***
大広間の、空気が——更に、凍った。
帝国貴族の前で——皇帝が、皇妃の手を、公然と、握る、の、は——前例のない、溺愛の公的な発露、だ、っ、た。
***
「皇妃、セレスティア・ヴァルガルドは——諸国会議で、公的に、認定された、帝国の、正式な、皇妃、でござります」
「貴殿の令嬢、イザベラ嬢——帝国の、姫君として、敬愛、致しております」
「——け、れ、ど——皇妃の、地位は——永遠に、セレスティアの、もの、でござります」
***
『永遠に』——
そ、の、三文字、が——大広間に、残響を、残した。
***
イザベラの、碧眼に——涙が、滲んだ。
***
彼女は——十数年、帝国の『純血の姫君』として——皇帝に、娶られる、未来を、信じて、自分を、律して、きた、令嬢、だ、っ、た。
『皇妃』、の、二文字、が——彼女の生涯の目標、だ、っ、た。
今、そ、の、目標、が——『永遠に』、の、三文字、で——完全に、閉ざされた、の、だ、っ、た。
***
セレスティアは——イザベラの涙、を、見た。
***
そ、の、瞬間——彼女の胸に——奇妙な、痛み、が、走った。
***
(——あ、の、お、嬢様の、涙、は——)
(——わ、たくしが——ファルネーゼで、偽聖女と、弾劾されず——順調に、育って、い、た、ら——)
(——もしも、皇族との姻戚が、なかった、誰か、の、登場で——す、べ、て、を、奪われ——)
(——わ、たくしも——あ、の、お、嬢様、の、よ、う、に——泣いて、い、た、か、もしれない、の、です、ね)
***
『もう、一つの、可能性』、の、姿。
イザベラの涙、は——セレスティアにとって——『鏡』、だ、っ、た。
彼女自身が、別の、運命、を、歩んだ、ら——あ、そ、こ、に、い、た、か、もしれない——もう、一人の、自分の、姿。
***
だ、か、ら——セレスティアは——た、だ、憎む、こと、が、出来、な、か、っ、た。
『罪悪感』、と、『心の、痛み』、が——彼女の胸に、静かに、宿る、の、だ、っ、た。
***
接見は——侯爵が、完全に、押し黙った、まま——終了、した。
侯爵と、イザベラは——頭を、垂れて——退出、して、いった。
***
け、れ、ど——侯爵が、大広間を、出る、直前——彼の灰色の瞳に——一瞬、凍るような、怒り、が、宿った、こと、を——ヴォルフラムだけ、は、見て、い、た。
***
接見が、終わった、あと——皇帝の私室、に、戻る、二人。
セレスティアは——わずかに、沈んだ、表情で、歩いて、いた。
***
ヴォルフラムが、彼女の様子に、気づく。
「セレスティア——お、顔色が、わずかに、沈んで、いらっしゃる」
***
セレスティアは——静かに、応じた。
「——イザベラ嬢の、涙、が——お、気の、毒で、ござりました」
「わ、たくしが、い、なければ——あ、の、お、嬢様、が、皇妃に、なれた、か、も、しれない、の、です、もの……」
***
ヴォルフラムは——彼女の細い肩に、手を、添えた。
「セレスティア——お、聞き、くださりませ」
「私が、皇妃に、迎えるのは——貴方、だけ、だった、の、です」
「あの侯爵令嬢が、どれほど、優秀で、も——私が、愛するのは——貴方、だけ、でござります」
「貴方が、気に、病む、必要は——微塵も、ござりません」
***
セレスティアは——穏やかに、頷いた。
け、れ、ど——彼女の心の中で——今日、三つ目の、『あれ?』、が、生まれて、い、た。
***
(——あ、の、方は——侯爵様の、存在を——事前に、察知、して、いらっしゃった——)
(——そ、して——わ、たくしの、お、心の、負担を——わざわざ、お、引き受け、くださって、いる——)
***
『あ、の、方は——わ、たくしから——何かを——隠して、い、ら、っ、し、ゃ、る』
微かな、察知、だ、っ、た。
***
接見のあと——セレスティアは、魔導士団の塔に、向かおう、と、した。
け、れ、ど——門前で——護衛責任者が、穏やかに、彼女に、告げる。
***
「皇妃殿下——魔導士団への、お、往復は——」
「護衛の、都合により——『二刻、まで』、に、お、戻り、くださりますように、と——」
「皇帝陛下の、お、お、命令、に、ござります」
***
『二刻、まで』——
そ、の、具体的な、数字、が——セレスティアの胸に、刺さった。
***
前日、帝都を、散策、した、時——彼女は、自由、だった。
温かい人々と、交流、して、花を、もらい——時間に、縛られず——穏やかに、散策、した、の、だ、っ、た。
け、れ、ど——今日、か、ら——『二刻、まで』、の、具体的な、数字、が——彼女に、嵌められた、の、だ、っ、た。
***
目に、見える、『檻の、輪郭』、の、始まり、だ、っ、た。
***
護衛責任者:「——お、許し、くださりませ。帝都内の、わずかな、不穏な動き、が、あり——皇妃殿下の、お、身の、安全の、ため、に、ござります」
***
セレスティアは——頷いた。
け、れ、ど——彼女の心の中で——今日、四つ目の、『あれ?』、が、刻まれた。
***
(——帝都内の、不穏な、動き?)
(——わ、たくしは——何も、聞いて、い、な、い……)
(——あ、の、方は——わ、たくしに、お、伝えに、な、ら、な、い、『何か』、を——お、抱えに、なら、れ、て、いらっしゃる、の、だ、な)
***
け、れ、ど——彼女の中に——『疑い』、は、な、か、っ、た。
***
『あ、の、方は、わ、たくしを、疑って、いらっしゃる、の、か?』では——な、い。
『あ、の、方の、お、横で——戦いたい、の、に——わ、たくしは——ま、だ、戦力、として——信頼されて、い、な、い、の、でしょうか?』の——切ない、飢餓感、だ、っ、た。
***
信頼の飢餓感。
『護られる、だけ、の、存在で、終わりたく、な、い』、の——魂の、渇望、だ、っ、た。
***
夜——皇帝の私室、の、窓辺。
夕餉の、あと——セレスティアは、静かに、ヴォルフラムに、向き直った。
***
「陛下——お、尋ね、致したい、こと、が、ござります」
***
ヴォルフラムの夜空の瞳が、わずかに、揺れる。
「——何でしょう?」
***
セレスティアの声は——静かだった。
け、れ、ど——揺るがなかった。
「本日——わ、たくしに、お、伝えに、ならなかった——『何か』、が——ござりますで、しょう、か?」
***
大広間の、空気が——静かに、凍った。
***
ヴォルフラムは——長く、沈黙、した。
そして——穏やかに、応じる。
「帝都内の、わずかな、不穏な、動き——の、報告、を、受けて、お、り、ます」
「あなたの、お、耳に、入れたく、な、か、っ、た、の、です」
「あ、なたが、過去、十二年の地獄で、受けて、きた、呪いの言葉、を——再び、お、聞きに、なら、れ、る、の、を——私は、許せない、の、です」
***
彼の声には——純粋な、愛、が、宿って、いる。
過保護の怪物、の、表層、の甘さ、が、宿って、いる。
***
け、れ、ど——セレスティアは——静かに、彼の手を、握った。
「——陛下」
「お、心遣いを——有難く、存じます」
***
「——け、れ、ど」
「わ、たくしも——あ、な、た、の、お、横で——戦う、者、に、ござります」
「どうか——大切な、お、話は——お、分かち合い、くださりませ」
***
『お、分かち合い、くださりませ』——
そ、の、一言、に——セレスティアの、魂の、渇望、が、宿って、い、た。
『護られる、だけ、では、な、く——並んで、戦いたい』の——並ぶ、意志の、要請、だ、っ、た。
***
ヴォルフラムは——長く、沈黙、した。
彼の中で——『過保護の、怪物』と——彼女の『並ぶ、意志』が——静かに、綱引きを、して、いた。
***
そ、して——彼は、『今、お、話、できる、範囲』、だけ、を、明かす、決意を、した。
「——帝国貴族の、一部、が——わずかな、戸惑い、を、示して、お、り、ます」
「ヴェルデンベルク侯爵、の、本日のお、言葉も——そ、の、一環、に、ござります」
***
『匿名チラシ』、の、存在、は——完全に、隠した、の、だ、っ、た。
『偽聖女』、の、二文字、が——彼女の十二年の、トラウマを、再び、刺激しないため——徹底的に、隠す、の、意志は——崩さなかった、の、だ、っ、た。
***
セレスティアは——頷いた。
け、れ、ど——彼女は、気づいて、い、た。
彼が——『今、お、話、できる、範囲』、だけ、を——明かした、の、だ、と。
***
二人の間に、あった——『情報非対称性の、壁』、が——今、完全に、顕在化、した、の、だ、っ、た。
『鳥籠の輪郭』、が——徐々に、徐々に——彼女の、目に、見え始めて、いた、の、だ、っ、た。
***
過保護と、並ぶ意志の、綱引きは——今、始まったばかり、だ、っ、た。
***
深夜——ヴォルフラムの執務室。
クロウが、新しい報告書を、持って、入ってきた。
「陛下——匿名チラシの、発信源——特定、致しました」
「ヴェルデンベルク侯爵家の——印刷工房、から——出て、お、り、ます」
***
ヴォルフラムの夜空の瞳が——凍りつ、い、た。
「——フロリアン・ヴェルデンベルク侯爵——やはり、貴殿、か」
***
彼の声、は——穏やかだった。
け、れ、ど——穏やかすぎる、の、だ、っ、た。
***
「クロウ——証拠を、完全に、確保、致せ」
「直ちに、逮捕、する、の、では、な、い」
「——侯爵を、『裁く、機会』、を——私が、静かに、お、待ち、致す」
***
『裁く、機会』——
そ、の、三文字、が——執務室の空気、を、凍らせる。
***
それは——『法』、や、『正義』、で、動いて、いる、男の、声、では、な、か、っ、た。
『セレスティアを脅かす羽虫を——最も、確実、かつ、冷酷に、圧殺する』、過保護の怪物としての計算、だ、っ、た。
***
「セレスティアには——ま、だ、お、知らせ、す、る、な」
「あの方の、耳に——『偽聖女』、の、二文字、が——入って、は、な、ら、な、い」
***
クロウは——頭を、垂れて、退出、した。
***
ヴォルフラムは——窓辺に、立った。
月を、見上げる、彼の夜空の瞳の、温度は——今宵——最も、低、か、っ、た。
***
月は——半分より、更に、大きく、なって、いた。
血の月まで——あ、と、十三日。
***
『過保護の鳥籠』、は——徐々に、徐々に——具体的な輪郭を、帯び始めて、いた。
『陰謀の敵』、は——侯爵家、という——具体的な名前を、帯びた。
『解呪儀式のタイマー』、は——刻々と、進んで、い、た。
***
三つの戦場、が——交差し始めて、い、た、の、だ、っ、た。
***
そ、して——セレスティアの心には——今日、四つの『あれ?』、が、刻まれた。
『何か、が、お、か、し、い』、の、気配は——静かに、静かに——彼女の魂に、沁み込み、始めて、い、た、の、だ、っ、た。
***
鳥籠の輪郭、が——徐々に、徐々に——彼女、に、見え始めて、い、た、の、だ、っ、た。




