# 第25話 溺愛の、目覚め
# 第25話 溺愛の、目覚め
## 第4章「溺愛の日々、と、忍び寄る、陰謀」
***
朝の光が——まだ、淡い、金色、の、帯、に、な、り、き、れ、な、い、うちに——
セレスティアは、ふと、目を、覚ました。
***
(——あ、今朝も——まだ、早い、時間……?)
寝室の中は、薄明るい。
窓の外で——小鳥が、微かに、鳴き始めて、いる。
***
隣に——ヴォルフラムが、横臥して、彼女を、見つめて、いた。
彼の夜空の瞳は——穏やかに、彼女に、注がれて、いる。
彼の片手は——彼女の手を、握ったまま、だった。
***
セレスティアは——頬を、染めた。
「あ、の、陛下——いつ、から——ご、起床、に、なられて、い、ら、っ、し、ゃ、い、ま、す、か?」
ヴォルフラム——穏やかに、微笑む。
「——夜明け、の、前、から——でしょうか」
「——あなたの、寝顔、を——見つめて、い、た、の、です」
***
セレスティアの胸が、跳ねる。
「そ、そ、そんな——お、忙しい、お、時間、に——」
ヴォルフラム、静かに——彼女の細い指を、そっと、握り直す。
「——皇帝の、公務、より——あなたを、見つめる、時間、が——私には——大切、な、の、です」
***
セレスティアの胸が——温かい、もので——満たされた。
『あ、の、方は——わ、たくしを——どこまでも、愛して、くださって、い、ら、っ、し、ゃ、る』。
純度、百パーセント、の、幸福、だった。
***
十二年の地獄、の、中、で——過剰すぎる、善意や、愛、に対する——防御策、を、身につける、機会、を、奪われていた、彼女、の、心は——
『この、溺愛』、を——無防備に、無防備に——そのまま、受け取った、の、だった。
***
けれど——
ヴォルフラムの、穏やかな、微笑み、の、奥に——宿って、いた、もの、は——
た、だ、の、愛、では、な、か、っ、た。
***
『お、前は——今朝も、生きて、い、る、な』
『お、前が——夜の間に——私の、手から、す、り、抜けて、消えて、しまわ、な、か、っ、た、な』
『生きて——生きて——私の、傍に——留まって、い、て、くれ』
***
千年——呪いの中で——誰一人として、繋がれなかった、男、の——根源的な、恐怖、と、強迫観念、の、裏返し、だ、っ、た。
『目を、離せば——彼女は、消えるかも、しれない』。
そ、の、不合理な、恐怖、に——彼自身も、まだ、気づいて、い、な、か、っ、た。
***
セレスティアは——彼の微笑み、の、表層、だ、け、を、受け取って、穏やかに、微笑み返した。
「——わ、たくしも——あなたの、お、姿を、見つめて——過ごしたい、でござります」
ヴォルフラムは——静かに、彼女の額に、自分の額を、寄せた。
***
朝食卓——二人ぶんのカップ、温かい食事。
帝国の侍女頭、レナーテが——皇妃としての、公務の、スケジュールを、報告、する。
帝国貴族との公式の接見、帝国内慈善活動の計画、諸国との外交書簡の確認。
***
セレスティアは——戸惑いながらも——穏やかに、頷いて、公務を、引き受ける。
「皇妃として——わたくしに、できる、お、役目を——尽くさせて、頂きとう、存じます」
レナーテは——涙ぐみながら、頭を、垂れた。
「皇妃殿下の、お、心遣いに——わたくしども、侍女一同——感激、致して、お、り、ま、す」
***
ヴォルフラムが、穏やかに——セレスティアに、告げる。
「——セレスティア。本日の、公務の、大半は——わたくし、並びに、官僚たちが、担います」
「あなたは——本日は、帝都の街、を、お、散策、して——帝国の人々と、親しんで、くださりませ」
「——護衛は、クロウと、影部隊が、お、付き、致します」
セレスティアは——穏やかに、頷いた。
***
午前——
セレスティアは、簡素な、外出着で——帝都の、街、を、散策、して、いた。
護衛の、クロウは——わずかに、後ろに、控えて、いる。
帝都の街では——皇妃の凱旋の余韻が、まだ、残って、いた。
***
花屋の、前を、通りかかった、時——
幼い、女の子が——セレスティアに、駆け寄ってきた。
手に、小さな、白い、花を、持って、いる。
「皇妃様! 皇妃様! ——どうぞ!」
***
セレスティアは——腰を、落として——穏やかに、花を、受け取った。
「——ありがとう、お、嬢様」
「お、花、の、お、名前は?」
女の子:「——『月の、雫』、でござります」
「お、母さんが——皇妃様の、お、髪の色に——一番、似合う、花、だ、と——言って、い、ま、し、た」
***
セレスティアの胸が——温かい、もので、満たされる。
「——お、嬢様の、お、名前は?」
「リーゼロッテ、でござります!」
「リーゼロッテ様。大切に、お、身に、つけさせて、頂きます、わ」
セレスティアは、白い花を、髪に、挿す。
***
その、微笑み、を——花屋の主が、老婆が、周囲の街の人々が——全員、頭を、垂れて、見て、いた。
『あ、の、皇妃殿下、が——普通の、子供と——あんな、風に——お、話、を、して、お、られる』。
『——なんと、お、温かい、お、方……』。
***
歩を、進める、たびに——帝都の人々が、頭を、垂れて、くる。
老婆が、涙ながらに——セレスティアの手に、触れる。
「皇妃様の、お、手で——呪われた帝国が、清められた、の、でござりますね……」
***
セレスティアは——穏やかに、微笑む。
彼女は——まだ、完全解呪を、していない、事実を——自分、よく、知って、いた。
け、れ、ど——帝国の人々は——すでに——『清められた』、と、信じて、いる。
(——わ、たくしは——帝国の、人々の、期待に、お、応え、致さねば、な、り、ま、せ、ん)
(——あ、の、方の、完全解呪、まで——わ、たくしの、本当の、お、役目は——これから、に、ござります)
***
帝城——塔の窓辺、から——ヴォルフラムが——セレスティアの散策を、見つめて、いた。
***
遠望鏡で——彼女が、幼い女の子から、花を、受け取る、瞬間が——彼の、目に、映る。
セレスティアの、穏やかな、微笑み。
女の子の、手の中に、彼女の、細い手が、触れる、瞬間。
***
ヴォルフラムの夜空の瞳が——わずかに、細まった。
彼の、胸の中で——微かな、『嫉妬』、が——静かに、目覚めた。
***
(——あ、の、子供は——お、前の、温かさを——分けて、もらえた、な)
(——羨ましい、な)
(——本来——お、前の、温かさを——独占したい、の、は——私だけ、の、つもりだった、の、に)
***
それは——彼女が、光、を、放てば、放つ、ほど——彼の中で、静かに、伸びていく、『怪物の、影』、だった。
『独占欲』、の、影。
『過保護』、の、影。
『底知れない、執着』、の、影。
光と、影の、反比例。
彼女が、帝国民との温かさを分かち合うたびに——彼の中の怪物は静かに、静かに、肥え太って、いく、の、だ、っ、た。
***
彼自身も——『嫉妬』、の、単純な感情、として、認識した、まま——
そ、の、奥の、怪物には——まだ、気づいて、い、な、か、っ、た。
***
昼前——セレスティアは、帝城に、戻った。
門前に——ヴォルフラムが、出迎えに、立っていた。
彼の手には——小さな、宝石箱、が、握られて、いる。
***
「お、帰りなさい、セレスティア」
「街の散策は——楽しゅう、ござりましたか?」
セレスティアは——穏やかに、微笑んだ。
「——ええ、とても」
「帝国の人々が——本当に、温かく——お、迎え、くださりました」
「リーゼロッテ、と、い、う、お、嬢様、から——お、花を、頂きました」
彼女は——髪に挿した、白い花を、示す。
***
ヴォルフラムは——穏やかに、頷いた。
け、れ、ど——彼の指、が——わずかに、宝石箱を、強く、握り直した、の、を——セレスティアは、気づか、な、か、っ、た。
***
「——セレスティア、これを——あなたに、お、渡し、致したい、の、です」
宝石箱を、彼女の前で、開ける。
中には——繊細な、銀の細工の、腕輪。
腕輪の中心に——青の宝玉と、揃いの、小さな、青の宝石、が、嵌め込まれていた。
***
「これは——皇妃の宝玉と、揃いの、腕輪、に、ござります」
「——お、身に、つけて、頂きとう、存じます」
***
セレスティアは、戸惑いながら、腕輪を、受け取る。
「あ、の、これは——あまりに、お、大層な、もの、では——」
ヴォルフラム、静かに、彼女の細い手首に——腕輪を、嵌めた。
「——あなたを、身に纏う、あらゆる、宝玉が——帝国の、皇妃の、印、でござります」
「帝国民の前で、外出される、時、に、は——どうか、お、身に着けて、くださりませ」
***
セレスティアは——頷いた。
純粋に——『皇妃の身分の象徴』、と、い、う、表向きの、意味だけ、を、受け取って——頷いた、の、だ、っ、た。
***
けれど——
彼女は、気づいて、い、な、か、っ、た。
ヴォルフラムが——腕輪を、彼女の手首に、嵌めた、時——わずかに、長い、彼の指、の、残留時間。
『誰の、者か』、を——帝国民の前で——目に見える、形で、示す、印。
独占欲の、物的、象徴の、始まり、だ、っ、た。
***
午後——魔導士団の塔。
ジークリンデと、魔導士団の長老たちが、セレスティアを、出迎えた。
完全解呪儀式の準備の本格化。
「セレスティア様——今日から——あなたの流転型魔力の、本格的な、稽古を、始めましょう」
***
稽古は——ジークが、『標的』、に、なって——セレスティアが、魔力を、『流す』、練習、だった。
彼女の指から——淡い、乳白色の光、が、ジークに、流れる。
ジークの身体に、温かさが、宿る。
そして——魔力が、セレスティアの指先に、戻って、くる。
***
「——お、お、完璧、よ、セレスティア様」
ジーク、興奮で、目を、細める。
「あなたの流転型魔力は——本当に——『循環』、することが、出来るみたい、だ、わ」
「儀式の本番で——あなたが、皇帝陛下の、呪いを、引き剥がして——代わりに、あなたが、完全に、魔力を、失うのでは、なく——」
「——二人の、魔力が、互いに、循環、して——呪いだけが、消える、可能性が、高い、わ」
***
セレスティアの胸が——わずかに、跳ねた。
「——では——わ、たくしは——お、生き残れる、かも、しれない、の、です、か?」
***
ジーク——穏やかに、け、れ、ど、冷徹に、告げる。
「——可能性は、高い、わ」
「——け、れ、ど——完全な、保証は——まだ、な、い」
「『前例が、な、い』、事実だけは——変わらない、わ、ね」
「アタシたちが、出来るのは——あなたに、『循環の感覚』、を、身体で、覚えて、もらう、こと、だけ、よ」
***
セレスティアは——頷いた。
希望、と、不安、が——彼女の中で、同居、して、いる。
「——わかり、ました」
「——残り、十四日、の、うちに——完全な、『循環』、を、身体に、覚えさせます」
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ジークは——頷いた。
稽古は、夕方、まで、続いた。
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そ、の、間——ヴォルフラムは、執務室で——別の、戦場、に、向き合って、いた。
***
クロウが、新しい報告書を、手に、入ってきた。
「陛下——保守派の、動きが——具体化、致しました」
「——三つの、具体的な、報告が、ござります」
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ヴォルフラムは——静かに、耳を、傾ける。
「一つ目——帝国内、十二の貴族家」
「『純血の皇妃』、を、求めて——秘密の会合を、繰り返して、お、り、ます」
「会合の頻度は、諸国会議の、あとから——週に、二回に、増えて、お、り、ま、す」
***
「二つ目——帝国軍内、一部の将校、たち」
「『外国の姫、を——皇妃として、認めて、よ、いのか』、の、発言を——繰り返して、お、り、ま、す」
「主に、中堅の将校、たち、に——広がりつつ、お、り、ます」
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「三つ目——帝都の街中」
「匿名のチラシ、が——散布、されて、お、り、ます」
***
クロウは——懐から、一枚の、チラシを、取り出した。
粗い、印刷の、紙。
表面に、書かれた、文字:
『偽聖女、セレスティア・ファルネーゼ、に——帝国を——奪われるな』
***
ヴォルフラムの夜空の瞳が——凍り、つ、い、た。
***
『偽、聖、女』——
そ、の、二文字、が——彼の、脳裏で——残酷な、連鎖を、引き起こした。
『——十二年の地獄の中で——彼女が、何度、何度、何度、『魔女』、『偽聖女』、と——罵られてきた、ことか』
『——やっと、帝国に、来て——『本物』、と、認められた——そ、の、彼女に——また、同じ、呪いの言葉が——帝国民の前で——降り注ごう、としている』
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ヴォルフラムの手が——チラシを、強く、握り潰した。
彼の声は——低く、冷たく——凍るような、激昂、を、宿して、いた。
「——クロウ」
「徹底的に——発信源を、追え」
「十二の貴族家——個別に、私的、な、会見を、手配、致せ。私が、直接、お、相手致す」
「軍内の将校——名簿を、わたせ。順次、人事の、配置換えを、致す」
「匿名チラシの、発信源——捕らえ次第——帝国法に、基づいて、裁け」
***
「そして——」
ヴォルフラムの声、が、更に、低く、なる。
「——セレスティアには——まだ、お、知らせするな」
「あの方は——解呪儀式の準備で——心を、尽くしている。これ以上の、お、心の負担は——私が、引き受ける」
***
「——あの方の、耳に、『偽聖女』、の、言葉が——二度と——入って、は、な、ら、な、い」
***
『護るために——彼女に、知らせない』——
『過保護の、怪物』、の、意志、の、本格的な、発露、だ、っ、た。
け、れ、ど——そ、の、動機は——『彼女の、地獄の十二年の、トラウマを、再び、刺激したくない』の、純粋な、愛、でもあった。
愛、と、怪物、が——同じ場所、に、宿る、難しさ、を、誰も、まだ、分けることが、出来ない、の、だ、っ、た。
***
クロウは——頭を、下げて、退出、した。
ヴォルフラムは——窓辺に、立つ。
月が、半月、より、少し、大きく、なって、いる。
血の月まで——あ、と、十四日。
彼の右手の指の、疼きが——わずかに、強くなって、いる。
***
夜——
帝城の私室、での、二人だけの、夕餉。
二人ぶんの、温かい食事。
二人ぶんの、カップ。
穏やかな、時間、だった。
***
セレスティアは——今日の、帝都散策、の、話を、楽しげに、語る。
リーゼロッテちゃんと、白い花の話。
老婆との、温かい交流。
帝都の街の空気。
***
ヴォルフラムは——穏やかに、耳を、傾ける。
け、れ、ど——彼の心の中で——もう、一つの、声、が——静かに、呟いて、いた。
『——今は——お、前の、笑顔を——私だけ、の、目で、見たい、な』
『——お、前を、帝城の、奥、に——私だけ、の、目で、見られる、場所に——閉じ込めて、おきたい、な』
***
そ、の、声を——彼自身、『嫉妬』、の、単純な、感情、として、認識して、いた。
け、れ、ど——そ、の、奥に、宿って、いた、の、は——『監禁』、の、気配、でもあった。
『監禁、したい、ほど、愛して、いる』——そ、の、二つの、矛盾、の、境界線、は——すでに、曖昧、に、なり、始めて、い、た、の、だ、っ、た。
***
夕餉のあと——窓辺で、月を、見上げる、二人。
月は——半分、より、少し、大きい。
次の血の月、まで——十四日。
***
セレスティアが——そっと、彼の手を、握った。
「陛下——今日の、魔導士団の、稽古——うまく、参り、ま、し、た、わ」
「ジーク様、の、お、言葉、に、よれば——わたくしは——お、生き残れる、可能性が、高い、そう、でござります」
***
ヴォルフラムの胸が——跳ねた。
彼は、セレスティアの手を、強く、握り返した。
「——セレスティア」
「——お、前を、失わずに——呪いを、解ける、の、なら——私には——それ以上の、喜びは、な、い」
***
セレスティアは——穏やかに、微笑む。
「——あ、の、方の、お、呪いを——わたくしの、手で、お、解き、致したい、でござります」
ヴォルフラムは——彼女の額に、そっと、自分の額を、寄せた。
***
深夜——
セレスティアは——夕餉と、稽古の、疲労で——穏やかに、眠りに、落ちた。
ヴォルフラムは——寝室に、入って——寝台の脇に、静かに、腰を、下ろした。
***
月光が——セレスティアの白金の髪、に、降り注いで、いる。
彼女の細い手首には、今朝、彼が、嵌めた——青の腕輪、が、静かに、光って、いる。
***
『この、腕輪は——帝国の、皇妃の、印、だ』
彼は——低く、呟いた。
『け、れ、ど——本当は——『誰の、者か』、の、印——でもあるのだ』
『——お、前を、誰にも、渡したくない、私の——印、だ』
***
眠っている、彼女の前で、だけ——彼は、『独占欲の宣言』、を、静かに、告白できる、の、だった。
起きて、いる、彼女の前では——『甘い、溺愛』、の、表層、だ、け、を——彼は、示す、の、だ、っ、た。
完璧な、情報非対称、だった。
***
『——どんな手段を、使って、でも——私は——お、前を——護る』
『——そして——お、前を——誰にも——渡さない』
***
彼の囁きは、甘かった。
け、れ、ど——『誰にも、渡さない』、の、意志は——徐々に——『お、前自身に、知らせず——私が、お、前を、閉じ込める』、の、形に——変質、して、い、く、気配を、纏って、い、た。
どこまでも、甘美で——どこまでも、危うい——美しい、狂気、だった。
***
そ、の、甘い、溺愛、の、裏で——帝国内、保守派、の、陰謀、は——刻々と、具体化、して、いた。
そ、の、危うい、過保護、の、目覚め、の、裏で——匿名の、チラシ、が——帝都の街に、散布、されつつ、あった。
そ、して——血の月、までの、十四日、の、タイマー、は——静かに、静かに、刻々と、進んで、い、た。
***
ヴォルフラムは——セレスティアの額に、そっと、自分の額を、寄せた。
「——何があろうとも——私は——お、前、を——護る」
***
窓の外——月光が、微かに、揺らぐ。
秒針の音が——帝城の、時計塔から——低く、低く、帝城全体に、響いて、いた。
甘い、溺愛、の、空気、の、中、に——冷たい、時間の音、だけ、が——静かに、静かに——耳鳴り、のように、響き、続けて、いた、の、だ、っ、た。
***
第4章——『溺愛の日々、と、忍び寄る、陰謀』——静かに、目覚め、始めて、いた。




