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やがて君を魔女にする  〜異能ゼロの俺、最弱魔法少女を世界最強に育てる〜  作者: 蒼久保 龍
第九部 疑惑の忠犬魔法使い

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113話 疾風の魔法使いソラ来訪

【前エピソードのあらすじ】

アカリが予定よりも早く帰宅した後、三人がアカリについて話していた。

その中で、アカリが金髪の魔法使いに「人殺し」と呼ばれていたことを、フィナが聞いていたと判明する。

 え。

 フィナ、その話を聞いていたのか。


「フィナ、その話聞こえてたの!?」


 クロエと思考がシンクロしたようだ。


「だって、あの金髪の魔法使い、大声で言ってたじゃん」


「え、え!? フィナ!? いつも絶対に人殺しを許さないじゃない! それなのに、アカリが人を殺したことがあると知っていて、あんなに仲良く……」


「別に良いじゃん。仮にアカリちゃんが人を殺していたとして、それは過去のことでしょ?」


「でも、少なくともフィナの理想には反して……」


「もちろん、ダメなことだし、許せないことだけど……。反省して改心して生きている人を責めてしまうと、一度過ちを犯した人は永遠に許されなくなっちゃうじゃん」


 いつしか、フィナが言っていた言葉。


 ――過ぎたことは水に流すってね!


 目の前の人殺しは許さないが、過ぎた過去までの追及はしない。

 それがフィナの正義、名付けるのであればーー。


 性善説に依る勧善懲悪不殺主義とでも呼ぼうか。


「いや、ちょっとごめん……、いつもフィナは人殺しを絶対に許さないからつい」


 クロエが肩をすくめて言うと、フィナは悩むように頭を捻りながら返答する。


「反省してないならダメだけど、私はアカリちゃんが今、人殺しをしているようには見えない。まあでも、私がアカリちゃんを部隊に勧誘したのは、これから人殺しをしないように見張りたかった、って言うのもあって」


 へえ、そういう発想になるのか。

 いや待て。


「その理屈だと、人殺しをしたことがある人は、全員がフィナの隊員になるだろ」


 俺が突っ込むと、フィナは大真面目な顔で言う。


「え、ダメな理由ってある?」


 ……確かに、ルール上は問題ないが。


 やはり、フィナの正義は綺麗事で塗りたくられていて、あまりにも現実が見えていない。


 本当に良いのだろうか。


 この正義を掲げ続けることは、フィナ自身のためになるのだろうか。


 現実的にも、フィナの部隊が最終的には前科持ちだらけになるなんて、本当に笑えない話だ。


 と、そんなことを思った時。


 コンコンコン。


 窓の方から音が響く。


 俺が音の方を見ると、サラサラとした黒色の髪を耳が見えるほどショートカットにして、黒いワンピースを着ている女性が立っていた。


 どこかで見たことがある気がする……が、気のせいだろうか。


 身長は高く、風に靡く髪の毛や雰囲気はどこか男らしく、カッコ良い雰囲気を感じる。


 女性らしいと言うよりも凛とした美男子のような印象。

 彼女は細い切れ長な二重を細め、柔らかい表情で微笑んでいる。


「ソラ様!?」


 声を出したのはフィナ。


 ソラ……?

 どこかで聞いたような……。


 彼女は勢いよく窓を開け、裸足のままベランダに飛び出し、頭を垂直に下げて言う。


「ご、ご無沙汰してます! 未来の魔女の弟子のフィナです!」



 こたつ机の前に座ったソラと呼ばれた魔法使いに対して、俺はお茶を用意する。


 たしか、ソラはどこかの魔女の門下生筆頭だった。

 お茶を用意しながら、識者の手帖を覗くと……。


・疾風の魔法使いソラ

・学術560、体術900、魔術750

・法則の魔女 門下生筆頭 師範代域 九番旗手 12年目 法則108番隊

・五芒星の宝玉、他84個

・疾風魔法


 魔法使いは魔女を師匠と呼んでいる。


 師範代と書かれていることから、師匠から師匠の代わりを任せられるレベルと言うことだろうし……、何より100個の宝具を集める修行で85も宝具を持っている。


「どうぞ」


 そう言いながら入れたお茶を机に出す。


 ソラは正座でこたつ机の前に座っている。

 だからか、フィナもクロエも正座している。


「どうぞ!」


 何故かフィナも俺に追随するように言う。


 フィナは目を輝かせて、ソワソワしながら座っている。

 一方、クロエも目を丸くしており、かなり驚いている様子だった。


「ありがとう。フィナちゃんと、クロエちゃんだったかな」


 ソラが耳元の髪の毛をさらりと触りながら言うと、その三倍くらいの音量でフィナが答える。


「お、覚えていてくださって、とても嬉しいです! ありがとうございーー」


 フィナが勢いよく頭を下げると、その頭が机に衝突した。


 ガンッと音が響く。


「痛っーー」


「ちょっとフィナ!?」


 慌てて顔を覗き込むクロエ。


「フィナ、大丈夫か?」


 俺がフィナの顔を覗き込もうとすると、ソラが言う。


「フィナちゃん。私のせいで緊張してない?」


「い、いえいえ、そ、そんなことは全然!」


 フィナはえへへと笑って見せているが、表情は硬い。

 そんなフィナに対して、ソラはとてもやさしい目で言う。


「そんな緊張しなくてもいいからね?」


「いえ、緊張してないです! ハルとクロエちゃんも、大丈夫だから!」


 フィナは額を真っ赤にしてそういう。

 と、ソラはフィナを見てから、俺を見てにっこりと笑った。


 おそらく、可愛いよね、とでも伝えたかったのだろうか。


 俺は相手に合わせ、下手なりに笑顔を作る。


 このソラという魔法使いはかなり頭が良い。学校や、バイト先のおばちゃんを見たときに感じるような、表面上に透けている軽薄さを全く感じない。

 俺はソラという魔法使いに興味を持っていた。


「ソラ様、早速ですが、私やフィナのような駆け出しの魔法使いに会いに来てくださった理由を、教えてくれませんか」


 動揺するフィナに対し、クロエが普段通りの様子で淡々と言うと、ソラはフィナとクロエを交互に見て言う。


「フィナちゃんの話は、昔から未来の魔女様から聞いているから、会いたかったというのが1つ」


 すると、フィナの顔と耳を真っ赤になる。


「法則の魔女様からフィナの話を聞いたりするんですか?」


 クロエが少し緊張した様子で尋ねると、ソラは言う。


「いえ、未来の魔女様からね。クロエちゃんなら分かると思うけど、たぶん、あの方には何か見えているの。おそらく、私とフィナちゃんを繋げようとしていることも、何か意味がある」


 俺の知らない情報を前提に会話をしているようだがーー。


 クロエはきょとんとしている。

 おそらく、クロエには伝わっていなさそうだ。


「そして、2つ目はアカリちゃんのこと」


 ソラはそう言うと、正座のままフィナとクロエに頭を下げる。


「2人はアカリちゃんと仲良しでしょ」


「違います」


 クロエは頭を下げている大先輩に対して、食い気味にかつストレートに即答した。


 すると、隣でフィナが慌てたように言う。


「ちょっとソラ様! 顔を上げてください! それに、クロエちゃんは恥ずかしがってこう言ってるだけで、みんな仲良しです!」


 フィナがそう言うと、ソラはパッと頭を上げる。


「ありがとう。単刀直入に言うと、私はお師匠様から色々な任務を受けているんだけどーー、その一つがアカリちゃんの見張りでね」


「やっぱり問題児なんですね。ソラ様が直々に見張るなんて」


 クロエは悪気がなさそうにズケズケと言う。


「やっぱり、そう見えるかな?」


 ソラがフィナを見てそう言うと、フィナは少し考えてから言う。


「正直に言って、普段過ごしていてそう感じることはあんまりないんですけど、そのーー」


 フィナが言い淀んだ。


 だが、彼女が言いたいことは容易に想像できるが、フィナは気配りができる人間だから言いにくいだろう。

 だから、俺は代わりにソラヘ言う。


「アカリは実際に人を殺したことがあるんですか?」


 突如口を挟んだからか、3人は驚いたように俺を見た。


次回の投稿予定日は4/11(土)です。

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