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やがて君を魔女にする  〜異能ゼロの俺、最弱魔法少女を世界最強に育てる〜  作者: 蒼久保 龍
第九部 疑惑の忠犬魔法使い

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111話 入隊直後の喧嘩

【前エピソードのあらすじ】

被せた相手を部隊の隊員にする魔女帽子。

フィナはそれを、何の前触れもなくアカリに被せた。

 フィナが被せた瞬間、いつも気怠げで余裕がある様子のアカリも、座ったまま目をパチパチとして固まった。

 クロエも口をポカンと開けて固まっている。


 結成したての未来九九番隊。


 なんと、新たな3人目のメンバーが加入した、のかもしれない。


「あの、フィナーー」


 俺がフィナの方を向き直して声をかけようとした瞬間。


「ちょっとフィナ……、何考えてんの!?」


 隣からクロエが慌てたように言って、フィナの両肩をつかむ。

 俺が改めてそちらを見ると、彼女は呆然として、フィナの両目を見つめていた。


「ちょっとフィナ、本当に何考えてんの」


 煽っていたはずのアカリもほぼ同時に言う。

 アカリは目をパチパチさせ、何が起こったのか分からないような様子だった。


 俺は2人の表情を見届けてから、最後にフィナを見る。


 すると、フィナは輝くような笑顔で、クロエとアカリと俺を順番に見ながら言う。


「私、アカリちゃんのことが好き! だから、隊員にする!」


 なんという短絡的かつ素直かつ手早い決断。


 しかし、リスクが少し大きい気がする。


「フィナ、あのね……」


 俺はそう言いかけたクロエを横目で見る。


 彼女は右手でフィナの方を掴んだまま、左手で胃の辺りを押さえている。

 あのクロエが胃を痛めたというのか。


「いいじゃんいいじゃん! 隊員は多い方が楽しいんだし! ね? ハル」


 突然俺に振るフィナ。


「えーっと……、その、アカリはどうなんだ?」


 赤い手帖、アカリの頁を思い出すが、確か部隊名は書いてなかったはずだ。

 帽子を被せたフィナの隣にいたアカリを見ると、驚いていた彼女はニヤリとクロエに笑って一言。


「うん、いいよ」


「え?」


 俺とクロエが完全にハモる。


 アカリは妙に掴みどころがない。

 断ったと思ったらいいよと言ったりミステリアスだ。


 しかし、アカリも別に良いなら、隊員にする方が良いのか?


 彼女が加入するメリットは、体術での強さだろう。

 この先、また魔法使い以外を相手にするときが来るかもしれない。


 その時、フィナとクロエのコンビは、どちらも相手に対して前線を張れないような印象があった。


 魔法の種類や内容で言うと、どちらかといえばフィナの方が前衛担当だろうが、フィナは中衛が一番向いているような気がする。


 クロエは言わずもがな後衛担当が一番向いていそうだし。


「やったー! じゃ、未来九九番隊、4人目の仲間! 忠犬の魔法使いアカリさん! いぇーい!」


 フィナはクロエの横を通り抜け、座っているアカリをぎゅっと抱きしめる。


 すると、アカリは露骨にフィナから目を逸らし、そして嬉しそうに目を細くした。


 マスクの下はわからないが、おそらく、さっきの笑顔とは異なる、純粋な笑みだっただろう。


 しかし、その笑みをどれほど信用して良いか。

 彼女は他の魔女の弟子。


 さらに、先ほど感じた殺意。


 やはり、リスクが大きいように感じる。


 クロエは絶対反対してくれるだろうし、場のバランスを保ってお茶を濁すような振る舞いが適切だろうか。


 全員で反対すると、アカリとの交流も疎遠になってしまいそうだし、クロエには嫌われ役になってもらおう。


「フィナ、ありがーー」


「いやいやいやいや、待って! いや、待て!」


 2人の抱擁に割って入り、フィナを立たせ、2人を引き離すクロエ。


 やはり、クロエは止めてくれた。クロエは再び両手でフィナの両肩を掴んで言う。


「フィナ! アカリは別の魔女の門下生だし、危険な魔法使いなの! 裏切られたらどうするのよ!」


「アカリちゃんは裏切らないよ」


 フィナがニコッと笑うと、アカリはクロエの後ろから言う。


「忠犬魔法だよ? 忠犬」


 クロエはアカリの言葉を無視し、フィナに問う。


「根拠は? 情報屋とかに話を聞いたの!?」


「私の勘!」


「勘!? まさか、それだけ!? 何も調査してないの!?


 驚くクロエに対し、アカリは気怠げに言う。


「だって私、法則の魔女の弟子だったけど、嫌われ者だったから、友達一人もいないよ?」


「ほら! どう考えたって問題児じゃない! ちゃんと自分で感じたことと、他の人から聞いた情報を総合的に判断しないと!」


「他の人がどういうかなんてーー、あぁぁぁ、ゆらさぁぁないでぇ」


 フィナはおそらく、他の人がどういうかなんて関係ない、と言おうとしたのだろう。


 クロエがフィナの肩を掴んで揺らすので、フィナの頭が前後に激しく揺れて言葉が止まった。


「悔しいけどアカリは強いの。裏切られた時のリスクが大きいでしょ」


 意外と、クロエは冷静にフィナを諭す。

 もっと感情的に拒否すると思っていた。


「確かに、今なら、私はフィナにもクロエにも勝てちゃうかなー」


 アカリは意地悪な表情を見せた。

 すると、クロエはアカリの方を半身で振り返って言う。


「ほら! このスカした態度。いつ裏切るか分かったもんじゃない。アカリが入ったら部隊内での衝突が絶えないわ」


 たしかに、3人部隊で2人が常に喧嘩しているのは嫌だな……。

 クロエは喧嘩上等とアカリを威嚇するように睨む。


 すると、アカリは座りながら両手を頭の後ろで組んで、余裕そうにウインクをした。


「ほら! フィナ! 私たち舐められてるのよ!」


 揺らされ続けていたフィナは、ようやく止まった。

 そして、フィナはクロエの両手を肩から離してから言う。


「アカリちゃんがクロエちゃんのことを大好きなだけ。ね? アカリちゃん」


「うん。クロエ大好き」


 ニヤリと笑って言うアカリ。


「それは絶対ない! ほら、ハルも何か言って!」


 なんか、俺が何を言ってもフィナかクロエかアカリに掻き消されそうだったので黙っていたが、ようやく俺のターンがきた。


「うーん悩むな。アカリはクロエに勝てるほど強いわけだし、仲間になると心強い。ていうか、もうフィナが帽子をかぶせたから、隊員になっちゃったんじゃないのか?」


「うん。私、もう隊員にしちゃった」


 ケロッとした表情で言うフィナ。

 お前はもう少し反省した方が良い。


「届け出れば取り消しできるから! っていうかフィナ! アカリが他の部隊に所属してたらどうするつもりだったのよ! 他の部隊の隊員、ましてや他の魔女の門下生を奪うなんてしたら、その魔女の魔法使い全員にーー」


「アカリちゃんは部隊に入ってないよ? ね?」


 フィナもすでに確認していたらしい。


 ま、俺のスマホを勝手に使って電話をしていたからな。

 その中で聞いていたとしても不思議ではない。


「うん。さっきも言ったけど、私、友達とかいないし。別に誰が魔女になろうがなかろうが関係ないし。暇つぶしがてらフィナの夢を手伝うってんのも、悪くないかなー、なんつって」


 アカリは気怠げなテンションに戻って淡々と言う。


「ちょっとフィナ! もう色々言いたいことがあるけど! とりあえず! そういう大事なことを決める時は、事前に私に相談して!」


「ごめんごめん、今さっき決めたから相談する暇なくて」


「今さっき!?」


 クロエは叫び数秒フリーズした後、両肩を落とし小さな声で言う。


「もう、フィナ……、そんなところ、お師匠様に似ないでよ……」


 お師匠様、とはおそらく未来の魔女のことだろうか。


 クロエは怒りに呆れが勝ったようで、逆立っていたように見える髪の毛もしょんぼりと落ち、がっくりと肩を落とす。


 その間に、俺はアカリに尋ねる。


「アカリは、何のためにこの世界に修行に出たんだ?」


次回の投稿予定日は4/4(土)です。

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