デジャブ
う~ん、どうしよう。
青年は目の前の光景にあっけにとられたようだ。
目的がこうもあっさり達せられて拍子抜けしたのかもしれない。
「はい、終わりました。これでいいですか」
アウルムは青年にそう言った。
ハッと我に返ったように青年はなぜか僕を見て、アウルムに体を向けた。
そして、驚くべき速さで頭を下げた。
「ありがとうございました!」
とてもはきはきとした声でそうアウルムにそう言った。
アウルムは迷惑そうに青年を見て、こう言った。
「じゃあ、もう帰ります」
「お疲れさん」
何もやっていないはずなのになんかどや顔でそう言ってみた。
邪魔しかしていない気がする。
「え?もう帰るんですか。何もお礼できていないんですが」
「別にいらないです。必要なことだからしただけです。それでは」
そう言って走って行ってしまった。
僕はそれに出遅れてしまったためにちょっとだけ青年の表情を見てしまった。
その目はアウルムが走っていった方向を見ていて、なんだか熱ぽかった。
もしかして惚れたか?
そう思いながら僕は走り出した。
走って走って走ってもアウルムの姿が全く見えなかった。
あの野郎僕を置いていきやがったな。
別に一緒に行きたかったというわけではないが重大な問題があった。
「帰り道どこだっけ?」
適当についていったために道を忘れてしまった。
このお茶目さんめっ!
うん、自分で言ってて気持ち悪い。
本当に僕どこ歩いてるんだ?
方角すら間違えているかもしれない。
誰かに聞こうにも近くには誰もいない。
さて、どうするか。
「まあ、何とかなるだろう」
僕は意外と楽観的な人間なのだ。
おっぱいのことでも考えていればいい。
アウルムのおっぱい、防具屋のお姉さんのおっぱい、肉屋の店番をしていた女の人のおっぱい。
皆、良いおっぱいだった。
一人、貧乳もいたが。
おおっとなんだか寒気がしたぞ。
「襲われたらどうしようか」
言った後になんだかフラグっぽくてすぐに口をふさいだ。
本当に襲われたらどうするんだ。さっきだってボロボロだったのに。
なんて思っていると、
「ありゃ」
ゴブリンに遭遇しちゃいました。そしてこちらを見ています。
どう見ても仲間に入れて欲しそうではない。
そろりと逃げ出そうとゆっくりと後ずさりをした。
しかしゴブリンもこちらに近付いてくる。
別に逃げてもいいのだが雑魚キャラのゴブリンに背を向けるのはなんだか癪だ。
だから僕は小剣を取り出して、挑発した。
「ちゃんと栄養取ってますか~。栽培マンかよ、この野郎!」
挑発にしてもこれは酷いな、30点。
そんな風に自分の挑発に点数をつけていると、ゴブリンがこちらを襲う。
棍棒を僕の頭めがけて狙うが遅い。
僕はその攻撃をさっと避けてゴブリンに小剣を刺した。
どこに当たったかは分からないが、手ごたえはあった。
「がぁぐ」
よし弱ったらしい。
僕はゴブリンに近付いてその首を掻っ切った。
その時勢いよく首から血が吹いた。
青色に近い紫のその血が体中に付いたせいで匂いが気になる。
げえ、汚い。
「近くに川とか湖とかないか」
とりあえず体を洗いたい。
僕は水のある場所を目指しながら歩くことにした。
ぶらぶらとしばらく歩いていると後ろから気配がした。
そして衝撃が体を襲う。
「っ!」
不意だったので避けられなかった。
後ろを向いて血の付いた小剣を構えるとそこにいたのはまたもやゴブリンだった。
「連続かよ!」
あまりダメージはなかったがゴブリンなんかに攻撃されたことにムカついた。
だから力任せにゴブリンの肩に小剣を振る。
少しだけ肉に喰いこんで途中で止まる。
「やっば!」
肩に喰いこんだまま小剣が抜けなくなった。
なんとか抜こうと苦心していると、
「っが!」
ゴブリンが僕の腕に喰いついてきた。
しかも地味にキラーウルフに噛まれたところだったので痛い。
「この!」
ゴブリンの眉間を殴ってひるませるとゴブリンの歯から腕を抜くと足を払ってゴブリンを倒す。
そして、両手で小剣を掴みゴブリンに足を置いて一気に引き抜く。
そのまま、心臓の位置に小剣を刺す。
少しだけ痙攣してしばらくしたら完璧に絶命した。
「よし」
その時、頭でピコーンと電子音のようなものが鳴った。
これは本能のようなもので自分のレベルが上がったということが分かった。
「ステータス」
樫本 光紀
種族:人間
Lv 2
HP 90/110
MP 50/50
筋力 40
頑丈 40
敏捷 40
器用 4
知力 60
運 110
スキル
鑑定 異世界語 日本語 英語(義務教育) 努力 痛み分け 痛覚軽減
SP 2
色々と上がっていた。
器用が低いのは変わらないが……。
小剣が抜けなかったのはこれが原因かもしれない。
それでも全体的に上がっていることは確かなので嬉しい。
はは、これでゴブリンなんて簡単に倒せる。
そんなことを思っている時代が僕にもありました。
「ぎゃああああ!」
5体のゴブリンに追い回されています。
本当にやばい!
というか地味にゴブリン速いぞ!?
そろそろ体力も尽きそうだ。
「うわ!」
どこかに足を引っかけて転んでしまった。
「やばっ!」
死ぬ!
そう思い目を閉じた。
しかし一向に何も起きない。
恐る恐る目を開けるとそこにはゴブリンが全部倒されていた。
「やあ、またあったね」
そこにはウルが立っていた。
あれ?これなんかデジャブだわ。
貧乳再登場!




