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聖魔大戦ユグドラシル  作者: 真野 時雨


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魔法の使い方

それぞれのテントに戻った後、リアムはアルステラ王国王宮で待つリーフェンタルム宰相宛に文を出す。

遠征先で聖女と思しき少女を保護し、その少女に騎士団の窮地を救われたこと、この手紙が到着した日の日暮れ頃に帰還予定であり到着後すぐに国王との謁見ができるように手配をして欲しいこと。

これらを文に記して封筒に入れるとそこに魔法陣を構築する。

「伝書魔法」

魔法陣が浮かび上がり、髪がなびくくらいの風と淡い光と共に手紙はフクロウの姿に変わる。

「頼んだぞ」

伝書魔法は紙を差出人の意図した飛行動物に姿を変えて目的地まで飛ぶ。目的地は差出人が意図した場所若しくは人物を魔法陣に組み込むことで設定できる。伝書魔法で姿を変えた物体は目的地に到着するで対魔結界を除く全ての魔法的、物理的な干渉を受けない。

────────

翌朝、王宮────

朝日が差し込む執務室でリーフェンタルム宰相は、徐々に活発化する魔物の被害状況とそれに対する騎士団、冒険者の派遣に関する考案書類をまとめていた。

バサッバサッ、カツンッ…

「……? 伝書魔法…」

窓際に留まったフクロウを見て窓を開ける。宰相がフクロウに触れると伝書魔法は解除され手紙に姿を変える。

宰相が椅子に腰かけ手紙を開けると、そこには当代の聖女が王宮ではなく遠征中の騎士団の元に現れたと記されていた。

「マルティネス騎士団長は少女が聖女様の力を使うところを見たというのか…間違いなく聖女様…」

手紙には今日の日暮れ頃には王宮に遠征部隊が到着すると書かれているため、急いで国王陛下とその他有力貴族に文を書き送る。

「伝書魔法」

いくつもの手紙は綺麗な蝶に姿を変えてあちこちへ散っていった。

────────

カナデは目を覚ますと支度をしてテントを出る。騎士団の皆と馬車で王都を目指し街道を走る道中、同じ馬車に乗っていたオーウェンに簡単な魔法を教わる。

「あの、私…魔法の使い方よく分からなくて…」

「確かに、先日の治癒魔法使用の際は身体中から魔力が漏れ出していましたもんね」

シリルはカナデが聖女の力を使った時を思い出した。

「一度も魔法を学んだことがなければそのようになってしまいますね。魔法を使う第1段階は自身の体内魔力の知覚です。まずはそこから練習してみましょう」

オーウェンはカナデの前に両手を差し出す。

「カナデさん、両手をこちらに置いていただけますか? 私からカナデさんに魔力を送り込みますので体内で動くエネルギーに集中してみてください」

そう言われてカナデはオーウェンの手を取る。

「…あっ」

手元を見ていたカナデの顔が上がる。オーウェンがカナデの左手から送り込んだ魔力がカナデの体をゆっくりと巡る。

「何か…暖かいものが体の中を巡っているような…」

「はい、それが魔力です。それを右手から私に送り込むことは出来ますか?」

「やってみます…!」

オーウェンから送り込まれた魔力がカナデの魔力を巻き込みながら体内を巡る。そのおかげでオーウェンの魔力のみならず自身の魔力も知覚することが出来た。

カナデは右手から知覚した魔力をオーウェンに送り込む。

「よくできています、それでは手を離した状態で自分だけで体内魔力を感じてみましょう」

カナデはオーウェンの手を離して自身の体内に集中する。オーウェンが動かしたカナデの魔力は既に静まっているが確かに前世では感じたことがないエネルギーが体内に存在していることをかなでは感じた。そのエネルギーを体内で巡らせる。

「暖かいエネルギーが体内にあるのを感じます。」

「サポートがなくても魔力の知覚はできそうですね、ではその知覚した魔力を収束させます。基本的には手元に魔法陣を構築するので手元に収束させることを先に習得しましょう」

「はい」

知覚した魔力をオーウェンに送り込んだ時と同様に動かして手元に集める。

「手が暖かいです」

「上手く魔力を手元に収束させられているようですね。通常は魔力操作をもっと練習してから実践するのですが、カナデさんはできてしまいそうなので簡単な無属性魔法“ライト”を試してみましょう。放出した魔力を操作してこの魔法陣を構築します。魔法陣は属性、魔法名、規模、その魔法の詳細が書き込まれています。一から構築するのは難しいと思うので今回はこの魔法陣を真似する形で試してみてください」

オーウェンは手元にライトの魔法陣を構築した。

「やってみます」

手に集めた魔力を少しづつ放出して手元で魔法陣の形を作り出す。オーウェンが作り出したお手本を見て同じものを手元に構築した。魔法陣に書かれている古代文字は読むことが出来なかったが見たままを真似した。

すると魔法陣の上方20cm程のところに光る玉が現れた。

「わっ!」

魔法の名前から光ることはわかっていたがカナデの魔力量が多かったことが要因なのか通常よりも強い光が作り出された。

その光に驚いてカナデは魔力の放出を止めてしまい魔法陣は消失した。

「まさかここまで光が強くなるとは思いませんでしたね」

「驚きました」

オーウェンとシリルは驚きを隠せなかった。

「カナデさんの魔力量はやはりかなり多いようですね。驚いて継続させることはできませんでしたが魔法は成功です、おめでとうございます」

「ありがとうございます!」

初めて意識して魔法を使うことができたカナデは、より魔法に興味を持ち、前世では持ち合わせなかった人を守ることができる力があることを実感した。

その後も談笑しながら街道を進み日が落ちてきた頃、王都の城壁が見えてきた。

「あ! 王都が見えてきましたよ!」

「あれが…アルステラ王国王都」

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