27 神無月先輩
連れて来られたのは、3年の溜まり場である校舎の裏。
そして、そこには1人の3年の、先輩がいた。
「押忍!先輩、京極と金次、銀次を連れて来ました!!」
鴨川先輩は深く頭を下げる相手。3年の総番である神無月・寮が、ソファに座っていた。ソファも校舎の裏の隅に置いてあるが、外だから雨に濡れないのか?と思うが、最近は雨が降っていないから気にする必要も無いのだろう。それに、大きなパラソルを用意すれば良いのだから。
「悪いな、鴨川」
「気にしないで下さい!先輩、自分もココに居て良いですか!」
「ああ。構わねぇよ」
「押忍!先輩!」
神無月先輩はナナを見た。
「お前が京極か?」
「ええ、先輩」
ナナは堂々としている。そして、後れ髪を耳に掛けた。
「金次とタイマンを張ったんだってな?コイツ強ぇだろ?」
神無月先輩は笑っていた。でも、ずらしたサングラスから見える目は笑っていねぇよ。
でも、俺はナナと友達になったんだ。文句があるなら、俺がやってやる。
「ええ。とても、強かったですよ」
話し方が女の子っぽい?いや、OLみたいだな。事務的なのに、感情を見せていない事を気付かせないような。
そんな先輩は銀次も見た。
「銀次、お前は本当に可愛くなったな」
「寮ちゃんもカッコイイよ」
「ハハハッ!鴨川、こんなに可愛くなった銀次に褒められたぜ!」
本当に嬉しそうだな。まあ、確かに銀次は美人でカワイイ。銀次が嘘も言わないのは神無月先輩も知っている。だから、嬉しそうなのは本音だろうな。
そんで、先輩は俺を見た。目も本気だった。
「なあ、金次。この高校を纏めてくれよ」
「先輩は?」
「俺は引退」
「………害になってんのはマーチンと、他校の三山って奴だろ?殺んなら俺が行くぜ」
「先輩はタバコに火をつける。紫煙が吐き出されて、言葉が出る。
「鴨川、清水と一緒に金次達に付いていてやれ。厳密には銀次の周りだ」
「押忍!分かりました!」
「先輩、銀次のってどう言う意味だ?」
「分かんねぇけど、銀次が狙いらしいんだよ。連中のな」
「銀次が狙い?」
「お前達コンビを潰すためって言った方が早いか?金次………お前、銀次が居ない間どうしていた?この高校に入学してからどうしていた?静かだったろ?だから銀次を潰せば金次も潰せるって思ってんだよ」
俺が………悪いのか?銀次を待ったせいで………舐められたな。
そんな俺に鴨川先輩が言う。
「金次、そうなる前にコッチでマーチンは潰す。お前がどんなに強かろうが、それは先輩の頼みだからな」
「鴨川先輩、それはどう言う事だ?」
「色々とあるんだ」
その口調はどっか殺気立っている。
「神無月先輩、鴨川先輩、あたしの知るマーチンと三山の関係には幾つか秘密がありますわ。でも、先輩方はそれに気付いているのでしょうか?」
ナナの口調は真剣さは無いが、先輩方は頷いた。皆知っているのに、知らないのは俺と銀次だけか?
「なーに、三山の事は知っているよ。昔からの知り合いでな。京極、お前を罠に掛けて、仲間から外されたのもな。だから、ワシ達3年が動こうとしている」
「分かったよ。なら、俺達は俺達にケンカを売ってきたから、俺達は俺達で奴をシメる。でも、ソッチで片を付けるならそれでいい」
「ああ。でも、ケンカの時はお前達を呼ぶ。そして、マーチンにヤキを入れる。そんで、この高校から排除する」
「分かったよ」
俺は銀次とナナを連れてクラスに戻ると、帰りの準備をした。
「銀次、勝手に決めて悪かったな」
「金ちゃんが言わなかったら、僕が言っていたよ。それと、ナナを僕の家に一度泊めても良い?」
「ああ。仲間と思うなら、銀次の好きにしろ」
俺は、こんな銀次が好きだ。1人のナナが仲良くなれるなら、それで仲を深めるのも悪くない。
そして、決して放っておかない、誰よりも強い心を持つ銀次が相棒で良かった。
「ナナ、今夜は俺の部屋で鍋でも食べようぜ。準備したら来いよ」
「うん………金ちゃん、銀ちゃん、ありがとう」
ナナは少し泣いていた………イジメからの支配………そして、また裏切り。
コイツは………苦しんでも、誰も助けて貰えなかったんだろうな………。
今夜は盛り上げよう!




