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世界の為に死んでくれ  作者: ソラ子
第四章 6番目の勇者
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落ち着いてなんかいません

「ルミナさん、シノのこと頼みました」


小声でそう告げると、彼女は笑顔で頷いた。


……どんな状況でも笑顔でいられること、それは強さだ。そんなルミナさんになら、安心してシノを任せられる。


「任せてよアイるん。傷心につけ込んで、シーちゃんを籠絡してみせるから……」


ルミナさんの目はギラギラと輝き、5本の指はいやらしく蠢いていた。


……訂正、やっぱり安心できないかもしれない。


「あまり変なことはしないで下さいね……」


彼女に釘を刺してから、ちらりとシノの方を見る。


彼女はまだ落ち込んでいるようだ。……サクラくんとのやりとりで、相当心を痛めているのだろう。


……シノに声をかけてあげたいが、今は我慢。サクラくんを追うほうが先だ。


それに、シノはとても強い。こんな事で折れる女の子ではない。


だけどサクラくんは……『今は』とても脆くて弱い。彼がどれだけお姉様の事を大切に思っていたかを、私は知っている。


サクラくんにとってお姉様は、『この世界で初めて手を差し伸べてくれた人』だ。


知らない世界で、命まで狙われて。皆に必要ないと言われた中で……


唯一、彼を必要だと言った人。それがお姉様だ。


だからきっと、サクラくんにとっての一番は……


「…………」


頭の中の考えを振り払い、部屋を出ようとする。


だが……ある事を思い出して、私は振り返った。


そして、そのまま第四勇者(フィーア)さんの目の前まで移動した。


「どうしたんだい?」


困惑する彼を無視し、私は……


勢い良く、自らの拳を彼の眼前に突き出した。


「さっき私に『落ち着いているんだね』って言いましたよね?」


所謂『寸止め』をしたというのに、彼は至って平常心だった。……さすがは勇者と言ったところか。


「あぁ、そういったね」


「それは違います。私、落ち着いてなんかいません。だって……大好きな人を目の前で殴られたんですから」


出来る限りの平静を装うが無理だった。私の言葉は、無意識のうちに怒気をはらんでしまう。


「あんまり、サクラくんに酷いことをしないで下さい」


「……覚えて置くよ」


第四勇者(フィーア)さんの答えを聞くと、私は今後こそ部屋を後にした。

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