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4.未来を救って。
父の腹を押さえ、出血を少しでも少なくする。
何をやっているんだ、私は。
それでも父の手を握り、
「これから助けを呼びますから。」
そう言うと、父は首を横に振った。
「いや......もうダメだ......と思う。
この家にある......資料や、研究に関するものを......
廃棄して......。悪用されないよう......。」
そう言い残すと、父の荒い呼吸は、だんだんと途切れ途切れになっていった。握っていた手も冷たくなっていった。
やがて力尽きたようにその手が床へと零れ落ちた。
涙が止まらない。
でも私にはまだやることがある。
家を結界で囲んでから、魔法であちこちに火をつけて燃やす。
灰化病のウイルスは高温に弱い。
この家ごと燃やせばいい。
研究資料、実験用のウイルス、書きかけの論文。
思いつく限りのものを燃やした。
父と母が写っている写真もあった。
それも目に焼き付けてから、燃やす。
結界の中は、火の海になった。
やがて、アイリスの体は、透明になっていった。
よかった。
ウイルスもパンデミックもなくなった。
私が過去に戻る理由もなくなった。
未来は救われたのだ。
エリオット・ヴァレンの死によって。
やがてアイリスは、光の粒となって消えていった。




